ビジネスフォンからクラウドPBXへ乗り換え!手順や選び方を紹介|トラムシステム
主装置なしで使えるビジネスフォンをご存じでしょうか。「クラウドPBX」は、主装置機能をクラウド上で構築することで、インターネットのみで電話システムを利用できる仕組みです。初期費用を抑えられるだけではなく、クラウドPBXならではの機能も魅力になっており、昨今の働き方の変化の中でクラウドPBXが選ばれています。本記事では、ビジネスフォンからクラウドPBXに乗り換えるメリットや手順について詳しく解説します。
目次
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、オフィスに設置していたPBX(主装置)の機能をクラウド上に構築し、インターネット回線のみで電話機能が利用できるサービスです。オフィスでPBXなどの機器設置や配線工事を行う必要がなくなり、小規模~中規模企業でクラウドPBXの導入が増えています。
その中の多くは、スマートフォンやパソコンでの外線・内線利用を目的とし、従来の電話の在り方を変えるためにビジネスフォンからクラウドPBXへ乗り換えています。テレワークやコミュニケーションツールの普及で、クラウドPBXが選択されています。
ビジネスフォンとクラウドPBXの違い
ビジネスフォンの特徴は以下の通りです。
・物理的な電話回線を自社内に設置されたPBX(主装置)に収容
・端末は主に固定電話機
・同じPBX(主装置)に収容された電話同士は内線通話可能
・設置・増設・移設にはベンダーへ工事依頼が必要
ビジネスフォンはPBX(主装置)などの機器設置・購入費や配線工事による初期費用が高額になります。おおよその導入費用は以下の通りです。
【主装置とビジネスフォンの導入費用】
・主装置:1台200,000円~
・電話機(新品):1台10,000円~40,000円
・電話機(中古):1台3,000円〜15,000円
・設置工事:1台10,000円〜
最低限の電話設備でも、総額300,000円以上は必要となります。
一方、クラウドPBXの特徴は以下の通りです。
・インターネット経由でクラウドにあるPBXに接続し電話システムを利用
・端末は主にスマートフォン、パソコン、IP電話機
・離れた拠点や外出中でも内線通話可能
・設置・増設・移設のほとんどを自社で対応できる
PBX(主装置)などの機器設置・購入費が必要なく、端末をすべてスマートフォンや既存のパソコンにすれば、端末購入費や配線工事も必要ありません。初期費用が大幅に抑えられること以外にも、クラウドPBXを選ぶ理由は多くあります。次の項でその主な理由をご紹介します。
ビジネスフォンからクラウドPBXに乗り換えるべき6つの理由
クラウドPBXには、ビジネスフォンにはないメリットがあります。ビジネスフォンからクラウドPBXに乗り換えるべき理由を6つ紹介します。
1.工事不要・短期間で電話設備の構築が出来る
迅速に電話設備の構築をおこなえる点がクラウドPBXのメリットです。
新規事業の立ち上げにおいては、事務的な手続きを含め多くのやるべき作業が発生します。電話やインターネットサービスの設備構築に関しては業務に直結する部分であるため、早めに手をつけたいところです。特に電話番号に関しては法人登記や、代表番号を公開する際に必要となるため、速やかに取得することが大切です。
従来のビジネスフォンを導入する場合、PBX(主装置)の設置や配線などの各種工事が必要となり、要する期間は1ヶ月以上となるケースも少なくありません。ビジネスフォンでは工事業者との打合せや費用など、手間とコストのかかる点がデメリットです。一方、クラウドPBXは工事が不要のため、契約手続きから最短1週間で導入することができます。
2.事業拡大時の柔軟性が高い
将来的な事業の拡大・縮小を検討する場合、最大接続数が限定されていることが多いビジネスフォンでは実用性に欠けるといえます。今の経営状態が今後5年、10年変わらず続くかどうかはわかりません。例えば、今後別の事業所を設けることになった場合は、現地のオフィスに新たにPBX (主装置)を設置する必要があり、その際の手間とコストがかかります。
クラウドPBXの場合、インターネットにさえつながってさえいれば通話が可能なため、オフィスの増加や移転にも柔軟に対応できる点もメリットです。
3.運用・保守に専門知識がいらない
通常、企業が自社内に保有するシステムの保守(定期点検やソフトウェのアップデート、トラブル対応など)は、専門の人材を雇用し、一定のコストをかけて行う必要があります。
クラウドPBXでは、システム(PBX)の運用・保守はベンダー(業者)が行うため、企業は自社で専門知識を持つ人材を確保する必要がありません。システムのアップデートや最新のセキュリティ対策、トラブル対応などはすべてベンダー側で対応してくれるため、専門知識がなくても安心して利用可能です。
4.災害対策(BCP対策)になる
地震や台風といった自然災害はいつ起きるかわかりません。特に日本は地震の国といっても過言ではないほど頻繁に地震が発生します。もし大きな地震が起きてPBXや固定電話機が損壊した場合、機器の買い換えや新たな設備投資が必要となり復旧まで時間がかかります。
PBXがクラウド上にあり、オフィスに物理的な設備がないクラウドPBXなら、災害によって機器が破損する心配はありません。インターネット回線さえあれば通常の電話業務が行えるため、仮にオフィスのインターネット通信が切断されたとしても、自宅のWi-Fiを利用してマートフォンやパソコンで業務をすることができます。
5.ブラウザからいつでも設定変更が可能
クラウドPBXはブラウザからいつでも設定変更が可能です。利用状況やニーズにあわせてオプション機能やユーザー数、回線数を変更できます。オプション機能の追加、削減はブラウザで即座に反映されるため、タイムラグによる業務の遅延も防止できます。
ユーザーの新規追加も、ライセンスの余剰を保有していれば、新しく入社した社員への内線番号付与もスムーズに行えます。ただし、ライセンスの新規発行が必要な場合には少し時間がかかることに注意しましょう。
6.外出先やテレワークで電話の発着信が可能
ビジネスフォンの場合、会社の電話番号宛ての電話や、相手に会社の電話番号を通知したいときは、事務所の固定電話を使用する必要がありました。
クラウドPBXは、会社の電話番号の発着信をスマートフォンやパソコンから行えます。例えば、会社の代表番号宛ての着信を、固定電話とテレワーク中の従業員のスマートフォンを同時に鳴動させることもできます。また、外出先から会社の電話番号で発信できるため、事務所へ戻る手間もなくなります。
自社に適したクラウドPBXの選び方
では、どのような点を重視してクラウドPBXを選べばいいのでしょうか。選び方のポイントを3つ紹介します。
必要な機能を明確にする
ビジネスフォンで利用できている機能も、サービスによっては実現できない可能性もあります。まずはクラウドPBXで実現したい機能を明確にし、そのために必要な機能を選定しましょう。その上で、それらの機能を備えているサービスを選ぶことが大切です。
音声品質を確認する
価格と納期を優先しすぎるあまり、音声品質が悪く使い物にならなかったというケースはよく耳にします。また、インターネットを介したサービスのため、自社のネットワーク環境も音声品質に影響を及ぼす可能性もあります。
サービス選定には必ず無料トライアルを実施し、内線や外線の通話に問題がないか確認しましょう。
初期費用・ランニングコスト
機器設置がないクラウドPBXは、初期費用を大幅に抑えられます。費用の条件はベンダーにより異なるため、希望する機能や構成を伝え、見積りを取るようにしましょう。
初期費用は抑えられる一方で、クラウドPBXはランニング費用が発生します。ライセンス数やオプション機能により月々の費用が変わるため、必要最低限の契約に抑えましょう。
また、ビジネスフォンと異なる点は、自社で設定変更を行えること、機器の管理が不要なことです。メンテナンス費用がかからないことで、長期的な目で見たときにコストを抑えられます。
ビジネスフォンからクラウドPBXへ乗り換える時にやるべきこと
ビジネスフォンからクラウドPBXに移行する際「既存PBXと併用する」「クラウドPBXへ完全に乗り換える」の2つの選択肢が存在します。併用する場合にはそのためのシステムを構築、完全に乗り換える場合にはビジネスフォンやPBXの破棄または返却を行わなければなりません。
既存PBXと併用したい場合
既存PBXと併用したい場合は、アナログ電話機をIP電話網へ取り次ぐVoIPゲートウェイを導入することで、固定電話設備を残したままクラウドPBXへ移行することができます。
ビジネスフォンをそのままIP電話にできるだけでなく、距離に関係なく通話料が一定となるため、通話料削減も可能です。比較的安価で購入可能となっており、レンタルであればさらにリーズナブルに利用できます。
クラウドPBXに完全に乗り換える場合
クラウドPBXに完全に乗り換える場合、これまで利用していたビジネスフォンやPBXは廃棄となります。購入品の場合は自社で責任をもって処分し、リース品の場合はリース会社に変換しましょう。比較的新品の場合は、下取りに出して資金に変えることもできます。下取り時の査定ポイントは以下の通りです。
【下取り時の査定ポイント】
・ビジネスフォンが正常に作動するか
・ビジネスフォンのメーカーや機種
・破損や汚れの状態
また、乗り換えたクラウドPBXに不具合が生じる可能性もあります。トラブル時にはビジネスフォンに切り替えられるように備え、クラウドPBXの運用に問題がないと判断してから、ビジネスフォンの廃棄をするようにしましょう。
クラウドPBXの構築手順
クラウドPBXを構築するプロセスを解説します。導入時のトラブルや行き違いを防ぐため、ひとつずつ対応しましょう。
1.既存設備の確認
まず、既存の電話設備の状態をチェックしましょう。不要となる既存の固定電話回線やPBXは撤去する必要があります。
ポイントは「クラウドPBXに活かせる設備は可能な限り流用する」です。ビジネスフォンとクラウドPBXに必要な設備の多くは共通です。設備を流用することで、導入コストや納期の削減に繋がります。
【クラウドPBXに流用できる既存設備】
・インターネット回線
・Wifi(無線LAN)環境
・インターネット回線を利用する電話機(SIP電話機やソフトフォンなど)
・社用(または社員個人の)スマートフォン
固定式のIP電話機などは、積極的に流用しましょう。クラウドPBXでも継続利用が可能となっており、端末購入費用をカットできます。ただし、サービスによっては対応機種に制限があるため、事前に使用できるか確認しましょう。
2.要件定義
次に、クラウドPBXに必要な機能の要件を整理します。現在の電話を使った業務のやり方を把握した上で、理想とする電話業務のあり方を考えてみましょう。
例えば、外線対応のために誰かが出社しなければいけないことが現在の悩みであったとしましょう。この場合、スマートフォンを内線化して、会社番号への着信をスマホへ転送することで、自宅など離れた場所からも会社の電話を受けられるようになります。
クラウドPBXには様々な機能が搭載されていますが、一部の機能は追加料金が発生するオプション機能です。「便利そうだから」とあれこれ追加してしまうと、結果的にコストが増大してしまう可能性もあります。
「なぜ導入するのか?何を期待するのか?」を考えながら、必要最低限の機能をあげましょう。
3.クラウドPBXベンダーの選定
クラウドPBXサービスを販売するベンダーは多数存在するため、信頼できるベンダーの選定が欠かせません。以下のポイントに気を配り、最良のベンダーを選択しましょう。
1.会社規模と利用人数にマッチしているか
数人による小規模利用から1000人以上の大規模利用に至るまで、それぞれのベンダーが得意とする領域は異なります。小規模利用の実績しかないベンダーに大規模利用の案件を依頼するといったミスマッチは避け、自社の会社規模と利用人数にマッチしたベンダーに依頼しましょう。
2.機能とコストのバランスは適切か
クラウドPBXの料金設定には2つのパターンが存在します。「低めの基本料金から利用する機能の数にあわせて上乗せするパターン」と「高めの基本料金で多くの機能が内包されているパターン」です。基本料金の安さのみに着目していると、必要な機能を上乗せしたとき、思わぬ高コスト化を招いてしまいます。機能とコストのバランスは事前に確認しておきましょう。
3.導入実績は豊富か
クラウドPBXはビジネスフォンに比べると歴史が浅く、ここ数年の間に販売を開始したサービスも珍しくありません。口コミや利用実績をベンダーごとに確認し、導入実績が何社あるか、クライアントからどのように評価されているかを確認しましょう。自社と同じ業界や会社規模での導入実績は特に参考となります。
4.電話番号の引き継ぎ手続
電話番号引継ぎが可能なベンダーを選択した場合、番号ポータビリティ(LNP)と呼ばれる引継ぎ作業が必要となります。
【番号ポータビリティの手順】
1.ベンダーが番号ポータビリティの申請書を作成
2.廃止する電話番号が無いかなど内容を利用者が確認
3.ベンダーがNTTに番号ポータビリティ可能かを確認し、手続きを進める
4.予定した日時で自動で回線が切り替わる
ただし、番号ポータビリティ(LNP)はNTTから取得した電話番号、あるいは光コラボで取得した電話番号が対象となります。「050」からはじまるIP電話番号など、番号ポータビリティが不可能な番号も存在するため注意が必要です。
番号ポータビリティについて下記の記事で詳しく解説しています。
5.端末の準備・設定
クラウドPBXで利用できる端末は、IP電話機、スマートフォン、PC・タブレットなどのソフトフォンです。
今まで通り固定電話機を設置する方法もありますが、クラウドPBXの導入は電話機の利用状況を見直すよい機会でもあります。
例えば、社員が個人で保有するスマートフォンを業務利用するBYODを導入すれば、オフィスや会議室に固定電話機を設置する必要はありません。受付にタブレットを設置し、来社した人にはそのタブレット内のクラウドPBXアプリを通じて訪問先に連絡してもらうようにすることもできます。
クラウドPBXの特長やメリットを最大限に活かし、コスト削減や業務効率化を目指しましょう。
まとめ
ビジネスフォンからクラウドPBXに乗り換える方法について紹介しました。クラウドPBXは機能やメンテナンスにおいてメリットがある一方、ランニングコストが発生します。自社にとって最適なサービスを選び、今より便利に電話を使える環境を整えましょう。
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WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。