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2024.12.11

コンタクトセンター / コールセンター / BCP対策 /

コールセンターのBCP対策丨有効な対策4選と進め方について解説|トラムシステム

大規模災害やパンデミックなど非常事態に直面した時に、企業活動を継続するためのBCP対策は重要視されています。非常時にもコールセンター・コンタクトセンターは顧客との窓口として機能するため、電話が繋がらない状況は避けなければなりません。そのため、平時からBCP対策を講じ、できるだけ事業を中断させない体制づくりが重要です。
本記事では、コールセンター・コンタクトセンターにおけるBCP対策の有効な手段や進め方について解説します。

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BCP対策とは

BCPとは、「Business Continuity Plan」頭文字をとった用語で、「事業継続計画」と呼ばれます。BCP対策とは、有事の際にも事業を中断することなく事業を継続できるように、平時から計画を立てることを指します。BCPに該当する有事とは、以下のようなものがあります。

・地震、台風、豪雨、大規模火災などの自然災害
・テロ攻撃などの緊急事態
・システム障害や不祥事などの人災
・感染症の大規模流行(パンデミック)

世界的なパンデミックや激甚化する自然災害に直面している私たちにとって、BCP対策は早急に取り組むべき課題といえます。しかしながら、BCP対策が義務付けられている業種はごく一部に限られており、コールセンター・コンタクトセンター業界は対策が進められていないのが実情です。

コールセンターにBCP対策が必要な理由

コールセンター・コンタクトセンターにおけるBCP対策が注目されるようになったのは、2011年3月に発生した東日本大震災です。関東・東北地方のコールセンターも被害を受け、なかなか復旧できず、そのまま営業停止を余儀なくされた事業所も多数存在します。

なぜ、このような事態が発生したのでしょうか。主要ポイントは4つに分類できます。

・多くのオペレーターが出勤困難となり稼働率が低下した
・ライフライン復旧が遅れたためオペレーター用の食事や飲料水の供給が難しくなった
・首都圏全体で計画停電が行われたため営業時間の短縮を余儀なくされた
・これらの状況の中、地震直後激増した問い合わせに対応できず、サービス品質が低下した

拠点の分散が不十分だったコールセンターの被害は、特に大きいものでした。直接的な被害は発生していないのにも関わらず、ライフラインが寸断され、復旧まで2ヵ月を要したコールセンターも存在しています。

このような状況に対応できる体制を構築するため、各コールセンターでBCP対策が必要です。
では、どのような対策をしたらいいのでしょうか。

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自然災害時でも事業を継続させるため

自然災害発生時、発生する損害を最小限に抑えつつ、事業の早期復旧を図るためにBCP対策は必要です。例えば以下のような対策が考えられます。

・コールセンター拠点の分散化、冗長化を実施する
・1つの地域に集中せず、できるだけ多くの地域に拠点を分散する
・業務を共通化し、拠点同士で補完できる体制を構築する

ライフラインや公共交通機関の復旧には、長い時間を要します。そのため、日頃から多拠点・遠隔で業務を行い、万が一災害が発生しても安定して運用できる体制が必要です。

パンデミック発生時に外出できない危機に備えるため

2020年の新型コロナウィルス流行により、パンデミック発生時にオフィスへの出勤や外出が困難になるというリスクが浮き彫りとなりました。そのため、外出できない状態でも業務を継続するためのBCP対策が求められています。

・リモートワークや在宅勤務といった出勤を前提としないシステムの構築
・従業員が複数拠点に分散していても、勤怠やシフト管理が可能な運用体制の構築

タイムカードやオンプレミス型のPBXといった旧来の設備では実現できないため、新たな設備の導入が必要です。この点については、この後に詳しく解説します。


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コールセンターのBCP対策に有効な対策4選

具体的なBCP対策として、「ノンボイス化」「顧客の自己解決」「外部委託」「在宅コールセンター」の4つの対策をご紹介します。そもそも業務効率化の手段として取り入れることが多い方法のため、平時は業務効率化のため、非常時にはBCP対策として活かすことができます。

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ノンボイス化

ノンボイス化とは、電話以外の手段で問い合わせ対応をすることを指します。代表的な例として、以下のものがあります。

・メール
・有人チャット
・SNS

災害などで電話回線が不通となった場合でも、インターネット環境があれば顧客対応を行うことができます。顧客側も電話が通じない状況でも、他の手段で問い合わせができることもメリットです。

顧客の自己解決

人を介さずに問題を顧客が自己解決できるシステムを活用することもBCP対策に有効です。代表的な例として、以下のものがあります。

・FAQ
・チャットボット
・自動音声応答システム

有人サポートとは違い、24時間365日対応できることがメリットです。もしセンター運営を中断せざるを得なくなっても、セルフサービスは継続して提供できます。

外部委託

業務拠点を分散させることもBCP対策として有効ですが、事業所を新たに設立するのはハードルが高い企業もあるでしょう。
そこで、離れた地域に外部委託をすることで業務拠点を分ける方法もあります。「BPOコールセンター」と呼ばれる外部委託を利用すれば、電話に係わる一連の業務を丸ごと委託できるため、有事の際に業務を中断するリスクを回避でます。

在宅コールセンター

オペレーターが常時在宅で勤務する形態を「在宅コールセンター」と呼びます。分散と冗長化が重要なBCP対策の観点から言えば、特定の拠点を持たずに在宅コールセンターで運用することも一つの選択肢です。外資系ホテルや大手通信社といった大企業でも、在宅コールセンターに移行するケースが増えています。

在宅コールセンターはクラウド型コンタクトセンターシステムの導入が欠かせません。次の章で詳しく解説します。

クラウド型コンタクトセンターシステムがBCP対策に最適な理由

BCP対策を効率的に実行するための手段として、クラウド型コンタクトセンターシステムの導入が挙げられます。クラウド化により分散や冗長化が容易になるだけでなく、コスト削減やアイコールセンターの推進にも効果を発揮します。BCP対策を作成中の企業は、クラウド型コンタクトセンターシステムの検討をおすすめします。

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インターネットがあればどこでも業務ができる

電話回線などライフラインの本格復旧を待つ必要があるオンプレミス型PBXとは違い、インターネット通信が可能であればすぐに業務を再開できます。クラウド型コンタクトセンターシステムは低コストかつ短納期で導入できるため、災害発生後に臨時のコールセンターを立ち上げる、速やかにリモートワークに移行するといった対応も可能です。

物理的な機器が必要ない

クラウド型コンタクトセンターシステムは全機能がオンライン化されており、物理的な機器が必要ありません。データも強固なデータセンターで守られており、災害で主センターが被害を受けても、影響を最小限に抑えられます。
また、インターネットブラウザで使用するシステムは、別のパソコンで業務を続行できます。パソコンが壊れてしまった場合や、事務所へ取りに行くことが難しい時でも、柔軟に対応できます。

設定変更がすぐにできる

クラウド型コンタクトセンターシステムは、インターネットブラウザから着信の切り替えや優先度の設定を瞬時に行えます。1つの拠点が機能停止しても、代替となる拠点や在宅勤務オペレーターへの切り替えが容易です。復旧途上地域に存在するセンターの業務量も調整できるため、災害状況に対応した業務継続が可能となります。

ID・権限管理が容易にできる

従来のオンプレミス型システムで時間がかかっていたオペレーターへのID割り振りや権限付与も、クラウド型コンタクトセンターシステムならスムーズです。IDに関する情報はデータセンター内で厳重に保管されており、必要に応じて閲覧や設定変更が出来ます。利用されていないIDを自動的に発見するなど、管理の手間を軽減する機能も豊富です。リモートワークや臨時拠点など、臨時にIDや権限が必要な場合も迅速に用意できます。

稼働状況をすぐに確認できる

災害やパンデミック発生時の稼働状況も、クラウド型コンタクトセンターシステムならリアルタイムで確認できます。通話時間、離席していた時間、事務処理を行っていた時間がシステムに記録されるため、状況に応じた調整が可能です。通常であれば確認が難しいリモートワーク中オペレーターの状況もチェックできます。

コールセンターのBCP対策の進め方

それでは、実際にコールセンターでBCP対策を進める手順について解説します。
BCP対策は、短期間では実現できません。平常時から以下のステップに沿った計画を実行し、災害発生に備えましょう。

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1.対策すべき業務・機能の選定

災発生時、全ての機能を完全な状態で維持するのは困難です。継続や早期復旧が必要な業務・機能を選定し、BCP対策を優先的に策定しましょう。公的機関からの発表や地域の状況を鑑み、具体的な対応策を講じることが大切です。

・災害やパンデミック発生時に業務量が激増する部署はどこか?
・非常時にオペレーターが働く上で準備・対策をしておくことは?
・電気・ガス・水道が止まったときの対策は?
・センターの運営継続/中断の判断はどのようするか?

2.運用体制の統一

有事の際には、事前に作成したBCP対策のスムーズな実行が欠かせません。運用体制を統一し、スピードある意思決定ができるよう、マニュアルを作成しましょう。平時から内容を共有・見直しをし、今の体制に適したものへの更新も都度行いましょう。一時的に連絡が取れない人物が発生する可能性もあるので、属人化を排し、分散化・冗長化を意識した体制構築がおすすめです。

3.システムの整備

システム面の対策では、3つのパターンが考えられます。

・データ集中型:電話機能は主センターと副センター、データはデータセンターで一括管理する
・システム集約型:クラウド型コンタクトセンターシステムを導入し、データだけでなく電話機能もデータセンターで管理する
・業務移行型:主センターと副センターに同等のシステム環境を整備する

選択するべきパターンは、災害時に発生が予想されるリスク、そのような状況下でも保全したい業務や機能によって変動します。専門家の意見を取り入れながら決定しましょう。

4.定期的なシミュレーション

BCP対策は一度作成したら終わりではなく、定期的に内容を見直すことが肝心です。
特に以下のようなときには必ず見直しを行いましょう。

・運用に携わるメンバーが変わったとき
・直近で災害が発生したとき
・気象・自然災害の警報内容が変更になったとき

「もしこの災害がセンターのある地域で発生したら」という想定でシミュレーションをやることで、不足している点や情報が更新されていない点など気づきがあるはずです。いつ直面しても対応できるように常日頃から対策を進めましょう。

まとめ

コールセンターにおけるBCP対策の必要性は、年々高まっています。いずれも一昼夜では整備できないため、日頃から大規模災害やパンデミックの発生に備えた準備が必要です。クラウド型コンタクトセンターシステムやリモートワーク制度の導入も視野に入れ、必要なシステム及び体制を構築しましょう。


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プロフィール写真

WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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