コールセンターシステムの構築・運用費用丨クラウド・オンプレの価格相場|トラムシステム
コールセンター・コンタクトセンターの業務効率化や応対品質向上などの効果が期待できるコールセンターシステムの導入ですが、気になるのが構築や運用にかかる費用です。
この記事では、オンプレミス型とクラウド型のコールセンターシステムの初期費用や運用費用について詳しく解説します。CTIシステム、FAQシステムなどの個別システムの費用についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
コールセンターシステムの種類
コールセンターシステムには、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。それぞれ特徴、メリット、デメリットが異なるため、あらかじめ理解しておきましょう。
オンプレミス型
オンプレミス型のコールセンターシステムとは、自社でサーバーを用意し、そこにシステムをインストールしたり、システムを自社開発したりして構築するタイプのシステムです。
自社で環境を構築するオンプレミス型システムは、カスタマイズ性とセキュリティの高さがメリットです。自社のセキュリティ要件や機能要件に則り、システムを構築できます。
一方、システムの開発や導入などの初期コストが高く、また導入までに長期間かかる点がデメリットです。導入後はクラウド型のように月額利用料金は発生しないものの、定期的にサーバーやシステムのアップデートなどのメンテナンスが必要です。
クラウド型
クラウド型のコールセンターは、ベンダー(事業者)が提供するコールセンターシステムをネットワーク経由で利用するシステムです。
すでにシステムや環境はベンダーが用意しているため、申込み後は簡単な初期設定などを行うだけで利用開始できます。導入コストは基本的に初期手数料のみとオンプレミス型よりも抑えられ、セキュリティ対策や定期メンテナンスもベンダーに任せられる点はメリットです。
一方、クラウド型システムはいわゆる「既製品」のため、カスタマイズ性は低く、利用できる機能や環境はシステムに依存します。クラウド型でも外部システムとの連携はできますが、特殊なデータ連携などの複雑な要件は満たせない可能性がある点には注意が必要です。
また、クラウド型システムでは利用機能や座席数に応じた月額利用料金が発生します。システムを利用する限り払い続けるため、システムや契約プランなどによってはオンプレミス型よりも費用が高額になることがあります。特に長期にわたって利用する予定の場合は、中長期的なコストを試算することが重要です。
オンプレミス型コールセンターシステムの構築・運用費用
オンプレミス型のコールセンターシステムは、一般的に初期費用が高額な分、運用費用はクラウド型よりも抑えやすいものです。構築と運用にどのようなコストがどれくらいかかるのかを解説しましょう。
初期導入費用
オンプレミス型システムの初期導入費用は数十万~数百万円と幅があり、システムの規模に応じて費用は大きくなります。主な内訳は以下のとおりです。
・サーバやソフトウェアなどの購入費
・システム開発にかかるベンダーへの委託費
・システム機能検討やプロジェクト推進のためのコンサルティング費用 など
運用(メンテナンス)費用
導入後の運用(メンテナンス)費用は、初期費用の15~20%程度が目安で、主な内訳は以下のとおりです。
・システムやサーバーのアップデート、不具合修正などにかかる人件費や委託費
・ハード修理や部品交換にかかる費用
・セキュリティ対策費用
メンテナンスは自社でエンジニアを採用して行う方法の他、システム開発会社などに外部委託する方法があります。
クラウド型コールセンターシステムの構築・運用費用
初期費用が少なく、短期間での導入が可能なクラウド型のコールセンターシステムですが、必ずしも「オンプレミス型よりも安い」と言い切れるわけではありません。初期導入や運用に必要なコストとその内訳について解説しましょう。
初期導入費用
クラウド型のコールセンターシステムの初期費用は、5万円~50万円が相場です。ベンダーや申込み時期によって無料になるケースもあります。主な内訳は以下の通りです。
・IDやパスワードなどの発行手数料
・接続用サーバー登録やシステム設定など、利用開始に伴う作業料
・その他手続きにかかる人件費
クラウド型の場合、システムそのものの開発はベンダーによって完了しているため、事務手数料などが主な費用です。
導入に伴い、特別なカスタマイズやオプションを利用する場合は、追加費用が発生します。また、インターネットに接続できる環境がない場合は、インターネットの開通費用なども必要です。
運用(メンテナンス)費用
クラウド型コールセンターシステムは、月額利用料金をベンダーに支払って利用する仕組みです。その金額は利用する機能やオプション、座席数に応じて設定されており、1席あたり15,000円〜35,000円が相場です。
座席数や利用機能はWebブラウザから簡単に設定変更できるシステムが一般的なので、需要の増減に合わせて座席数を調整し、ムダな費用が発生しないようにしましょう。
機能ごとのコールセンターシステムの価格相場
一般的にコールセンターシステムと呼ばれるシステムは、以下の4つの機能の組み合わせによって成り立っており、各機能は個別に導入することも可能です。
・PBX(構内交換機)
・CTIシステム
・CRMシステム
・FAQシステム
それぞれの機能の導入にかかる価格相場を紹介しましょう。なお、各機能の詳細についてはこちらの記事を参照してください。
CTIシステム
CTIシステムとは、コンピューターと電話を統合するシステムです。オンプレミス型とクラウド型があり、それぞれの価格相場は以下のとおりです。
オンプレミス型CTIシステム
・初期費用:50万円~(サーバーの購入・設置費用、システムのライセンス料など)
・運用費用:初期費用の5~15%
クラウド型CTIシステム
・初期費用:0円~5万円
・月額費用:5,000~20,000円/席 +オプション費用
CRMシステム
CRM(顧客関係管理)システムとは、顧客情報や応対履歴・購入履歴などを登録管理するためのシステムです。クラウド型またはオンプレミス型が主で、価格相場は次のとおりです。
オンプレミス型
・初期費用:15~25万円(サーバーの購入・設定費用、ライセンス発行費用、システムの購入費用など)
・運用費用:年間5万~30万円
クラウド型
・初期費用:0円~5万円
・月額費用:500~1,000円/ユーザー
既製品ではなくCRMシステムを自社で独自開発(スクラッチ開発)する場合には、200~300万円の費用がかかるでしょう。
FAQシステム
FAQシステムとは、よくある問い合わせとその回答を登録・管理・閲覧するためのシステムです。
FAQシステムは社内向けであれば、Excelシートなどを活用して内製できます。また、社外(顧客)向けのFAQは企業のホームページに掲載することで、顧客による問題の自己解決を促せます。
専用のシステムを構築する場合にかかる価格相場は、以下のとおりです。
オンプレミス型
・初期費用:200万円(サーバの購入・設定費用、システム開発費用など)
・運用費用:10万円
クラウド型
・初期費用:20万円
・月額費用:5万円
コールセンターの自社運用と外注にかかる費用の違い
コールセンターは、システムを導入して自社で運用するケースの他に、コールセンター業務そのものを外注するケースもあります。
自社運用の場合、システムの導入費用の他に設備や施設の整備費用やオペレーターなどの採用・教育費、人件費、通話料などの通信費などが必要です。
対して外注の場合、初期費用として事業者への申し込み手数料やインフラの整備費、業務フローやマニュアルの準備費などが発生します。運用費用としては、依頼内容や対応時間などに応じた委託料が必要です。
コールセンターの自社運用と外注にかかる費用の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。
コールセンターの導入・運用コストを抑えるためのポイント
コールセンターの導入と運用には一定のコストがかかりますが、効果的なコスト管理を行うことで、予算を節約し、効率的な運用を実現できます。ここからは、コールセンターの導入・運用コストを抑えるためのポイントについて解説しましょう。
必要な機能・座席数だけ使う
無駄な機能や座席を避け、必要なものだけを導入・利用することが大切です。冗長な機能や不必要な座席数の導入は、コストを無駄に増やす原因となります。コールセンターシステムや座席の規模を定期的に見直し、実際のニーズに合わせて最適な設定を行いましょう。
問い合わせ件数の削減に取り組む
コールセンターに寄せられる問い合わせ件数そのものの削減は、オペレーターの負担軽減とコスト削減につながります。商品やサービスに関するマニュアルやFAQの整備、顧客教育プログラムの提供など、顧客が自分で問題を解決できる手段を提供しましょう。
業務効率化に取り組む
コールセンター内の業務プロセスの効率化は、コスト削減の鍵です。業務フローの最適化や自動化ツールの導入、オペレーターのトレーニングなどの業務の効率化に取り組みましょう。
1つ1つの施策によって削減できる時間がわずか数分であっても、それが何人ものオペレーターによる毎日の作業であれば、長期的なコスト削減効果は大きなものになります。業務効率化はオペレーターの負担軽減にもなるため、職場環境の改善にもつながるでしょう。
まとめ
コールセンターシステムは導入形態、利用規模、機能によって、導入費用や運用費用に大きな幅があります。確かに安価に導入・利用できるシステムは魅力的に感じられますが、システムは必ずしも安ければよいというものではありません。導入目的や具体的な利用シーンなどを明確にし、それらに適したシステムを選択することが重要です。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。