コンタクトセンターとは丨コールセンターとの違い・役割をわかりやすく解説|トラムシステム
顧客応対業務でよく耳にする単語が「コールセンター」と「コンタクトセンター」です。コールセンターの方がより親しみのある名称ですが、実際に業務を行う現場ではコンタクトセンターと呼ぶケースが増加しており、混乱を招きやすい状態となっています。
これら2つの単語にどのような違いがあるかを学び、顧客応対業務に生かしましょう。
目次
コンタクトセンターとは
コンタクトセンターとは電話、メール、チャットといった複数の問い合わせ手段を統合し、一括で対応する仕組みを指します。
コミュニケーション手段の多様化や消費者の価値観変化に対応するため誕生した概念で、従来のコールセンターをより補強する存在です。そのため、多くの企業がコールセンターからコンタクトセンターへの移行を実施しています。
コールセンター・コンタクトセンター以外の呼び名は?
ただし、企業によって顧客応対部署の呼び方が統一されていないため、上記2つ以外の名称も複数存在します。
1.お客さま相談室
2.カスタマーセンター
3.ヘルプデスクセンター
4.サポートセンター
5.オペレーションセンター
これらが従来通りの電話対応を行うコールセンターなのか、顧客とより深い繋がりを重視するコンタクトセンターなのかは、担当している業務の実態から判断しなければなりません。
コールセンターとの違い
コンタクトセンターがコールセンターと大きく違う点は2つです。いずれも従来のコールセンターにはなかった新たな付加価値となっており、専門のシステムが必要となります。詳しく見ていきましょう。
1.対応するチャネルの種類
電話応対のみが基本だったコールセンターとは違い、コンタクトセンターは幅広いチャネルを駆使します。
1.現在でもチャネルの中核となる電話
2.電話と並ぶチャネルとして利用されてきたFAX
3.電話口では説明できない複雑な事項も相談しやすいメール
4.若者を中心に新たなツールとして流行を見せるチャット
5.顧客の意見をダイレクトに吸収できるSNS
これらは個別管理ではなく、コンタクトセンターシステムを利用した一元管理が原則です。どのチャネルで問い合わせても一定のサービスレベルとなるよう設計された「オムニチャネル」となっています。
2.利益(プロフィット)を生み出すかどうか
経理や総務など収益が発生しない部署をコストセンター、営業や販売など収益が発生する部署をプロフィットセンターと呼びます。コールセンターは長年コストセンターとして位置づけられてきましたが、コンタクトセンターは積極的に利益(プロフィット)を生み出すことが求められています。
1.顧客満足度や顧客体験価値を高め、リピーターを形成する
2.有益な顧客情報を収集し商品開発やマーケティングに活用する
3.見込み客に購買を促し売り上げ増加につなげる
コンタクトセンターの重要性が高まっている背景
前述の通り、コミュニケーション手段の多様化や消費者の価値観変化がコンタクトセンター誕生の要因となっています。その重要性は近年高まっており、厳しさを増す競争環境の中で生き残る有力な手段です。
コミュニケーション手段の多様化
電話応対のみで顧客応対が完結した時代は終わり、スマートフォンやタブレットによる多様なコミュニケーション手段が利用されるようになりました。どの手段を用いるかは顧客の嗜好や属性によって差があるため、全ての手段への対応が求められています。
ただ窓口を広げるだけでなく、他の企業にはない良質なサービスやサービス品質の均質化も必要です。
消費者の価値観の多様化
近年の消費者は商品やサービスだけでなく、購入した際の体験やコミュニケーションといった「顧客体験」にも価値を見出す傾向にあります。
顧客体験の価値は「カスタマーエクスペリエンス」と呼ばれていますが、このカスタマーエクスぺリンスをもたらす場として重要なのがコンタクトセンターです。
購買、問い合わせ、クレームといった顧客とのコミュニケーションをあらゆるチャネルを用いて対処し、迅速に解決することができます。
コンタクトセンターの役割
このような現況を踏まえ、コンタクトセンターが果たすべき役割は4つ存在します。いずれも、企業の成長や顧客満足度向上に欠かせない要素です。コンタクトセンター業務に関わる際は意識しましょう。
スマートフォン時代への対応
通信媒体の主役となったスマートフォンへの対応がコンタクトセンターに求められます。
「内閣府の消費動向調査」によると、スマートフォンの普及率(2020年)は総世帯で77.6%、単身世帯で64.1%、2人以上世帯では84.4%といずれも過半数です。特に単身世帯の割合は、2014年の24.4%から倍以上に成長しました。
タブレットも総世帯で35.2%、単身世帯で22.9%、2人以上世帯では41.4%となっており、多くの国民の間で普及していることが読み取れます。
スマートフォン、タブレットの普及に伴い、これらのデバイスからメール、チャット、SNSを通じた商品の注文や問い合わせも盛んに行われています。このようなスマートフォン時代に対応するためには、オムニチャネル化したコンタクトセンターの整備が必須です。
参考:スマートフォンとタブレット型端末の普及率の推移をさぐる(2020年公開版)
ロイヤリティの獲得
カスタマーエクスペリエンスを実現するコンタクトセンターを構築すれば、顧客との接点を強化するだけでなく、商品やサービスに対するロイヤリティ(忠誠心)も獲得可能です。
高いロイヤリティを持つ顧客は、商品やサービスを継続購入してくれるファン層となり、企業の信用度や売り上げ向上に貢献してくれます。
顧客の声の収集
コンタクトセンターは様々なチャネルを通じた顧客の声、すなわちVoC(Voice of Customer)を収集しやすい環境にあります。VoCはポジティブな意見からクレームに至るまで幅広く収集できるため、マーケティングやオペレーターの勤務実態把握に活用可能です。顧客の状況やビジネス環境の変化も掴みやすくなり、企業の競争力を底上げできます。
他部門との連携
オムニチャネルの運用だけでなく、開発、マーケティング、営業といった他部門との連携も重要です。
1.収集したVoCを分析しマーケティング部門に提出する
2.商品やサービスに対する不満を開発部門に改善を依頼する
3.顧客のトレンドや心理の変化を営業に報告する
これらが迅速に行われれば、コンタクトセンターが利益(プロフィット)の形成に貢献できるようになります。どのような連携を行うか、事前に他部門と協議しましょう。
コンタクトセンターシステムとは
コールセンターの新しい形というべきコンタクトセンターですが、手動や人力で業務を遂行することは出来ません。専用のコンタクトセンターシステムが必要となります。
基本的な構成はコールセンターシステムと同じですが、電話やFAXだけでなく、メールやチャットなど幅広いチャネルに対応していなければなりません。主な機能は以下の6つです。
それぞれの機能の詳細については、別の記事をぜひご覧ください。
1.CTI
コンピューターと電話を統合したシステムで、問い合わせをしてきた顧客の情報を瞬時に画面表示できる。
2.ACD
自動着信分配とも呼ばれ、顧客からの問い合わせをシステムが空いているオペレーターに割り振る。
3.IVR
問い合わせをしてきた顧客に自動音声によるガイダンスを実行し、要件に応じて着信を振り分ける機能。
4.RPA
一部業務を自動で行うロボットを作成する機能で、単純反復作業に要する負担を軽減できる。
5.VDI
サーバーに仮想デスクトップ環境を構築し、管理一元化やシステムの状況確認を容易にする機能。
6.チャットボット
あらかじめ設定した回答を基に、システムが顧客の質問に対し回答するシステム。
全ての機能を搭載するとコストがかさむため、自社の要件をしっかり確認したうえで導入しましょう。
まとめ
コストセンターと呼ばれていたコールセンターはコンタクトセンターへと進化し、企業に利益(プロフィット)をもたらす存在へと変化しつつあります。顧客応対部門を有する企業は、コンタクトセンターシステムを導入し、顧客と親密な関係を築ける体制を構築することが求められます。本記事の内容をもとに、コールセンターをコンタクトセンターへと進化させましょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。