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チャットボットで顧客対応効率化!企業・顧客のメリットや導入事例を紹介|トラムシステム

電話による顧客応対を中心とするコールセンターは、FAX・メール・チャットといったあらゆるコミュニケーション手段を駆使するコンタクトセンターへと発展しました。オンラインとオフラインの垣根を超えたビジネスを実現する一方で、人手不足の深刻化や問い合わせの複雑化といった問題点も浮上しています。

これらの課題を解決し、ブランド力や顧客満足度を向上させるツールがチャットボットです。顧客自身が疑問の解決をできる手段として注目されています。
本記事では、チャットボットを導入するメリット、導入時の注意点について解説します。

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チャットボットとは

チャットボットとは、人間が入力した音声やテキストに対して自動的に対応を行うプログラムです。「チャット」+「ロボット」を組み合わせた造語で、これまで人間を行っていた問い合わせ対応を自動化するツールとして期待されています。
チャットボットには大きく分けて2つの種類があります。「ルールベース型(シナリオ型)」と「AI型」です。

ルールベース型(シナリオ型)

「ルールベース型(シナリオ型)」とは、あらかじめ決めたシナリオに沿って会話をするチャットボットです。よくある質問を登録しておくことで、FAQのように利用できます。あくまで決められた範囲内での会話となるため、対応できる範囲は限定されます。

AI型

「AI型」とは、対応履歴からAIが学習をして回答の精度を上げることができるチャットボットです。質問も固定の項目ではなく自由記述ができるため、自然なやりとりをすることができます。学習させるデータの精度でAIの精度も変わるため、導入の際にはデータの選別することが大切です。

普及を続けるチャットサポート

スマートフォンの普及により、端末を使ったコミュニケーションは、音声通話からチャットへと移行しつつあります。電話を利用する機会が減少し、SNSや無料通話アプリ「LINE」を利用したチャットが主な会話手段となっているスマートフォンユーザーも珍しくありません。それに伴い、問い合わせのチャネルとしてチャットを用いる顧客の割合も増加しています。

コミュニケーションソリューションを販売するモビルス株式会社の調査によると、2019年に「チャットサポートを利用した経験がある」と回答した方の割合は38.4%でしたが、2022年には71.7%まで倍増しています。また、「チャットでの問い合わせは便利だと思う」と回答した割合は8割以上、「お客様窓口の対応が企業のイメージや商品・サービスの購入に影響すると思う」と回答した割合は9割と、お客様窓口の対応の重要性が見て取れます。
参考リンク: モビルス株式会社

このように、企業のお客様窓口の一つとして、チャットサポートは年々普及が広がっています。

企業(コールセンター)にとってのチャットボット導入メリット

チャットボットをうまく活用することで、企業側が得られる代表的なメリットを4点ご紹介します。

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オペレーターの負担軽減

オペレーター応対の一部をチャットボットに移行させることで、コールセンターへの入電数を減少させることが可能です。一般的にコールセンターの稼働状況を示す「応答率」や「稼働率」が高い場合、入電数が減るとこれらの品質指標値は改善し、同じオペレーター数でもより多くの入電に対応できます。

離職率が高く、優秀な人材の確保が課題となりがちなコールセンター業界において、オペレーターのストレス対策は不可欠です。チャットボットを導入することでオペレーターは余裕をもって応対にあたれるので、業務負荷を軽減できます。

顧客応対品質の均一化

オペレーターによる応対はスキルや経験に依存するため、人によって品質にバラつきが見られるのが一般的です。オペレーターごとに応対や回答内容が異なると、顧客満足度の低下や大きなトラブルに発展することも考えられます。「この業務はこのオペレーターしか対応できない」などスキルの属人化が起こっている場合、センターの生産性は著しく低下します。

対して、チャットボットではあらかじめ登録した回答を自動応答するシステムなので、応対品質は安定します。さらに、チャットボット導入により生まれた余剰時間をオペレーター教育・研修に充てることで応対スキルを底上げし、有人対応でも品質の均質化を目指すことも可能です。

顧客接点の増加

近年主流となるマーケティング戦略として、新規顧客よりも愛着心が高くリピート顧客となりうる既存顧客(ロイヤリティ顧客)を重視する手法があります。獲得コストがかかる新規顧客開拓よりも、低コストで長期に渡り安定した収益を確保する既存顧客維持を重視する方法です。

コールセンターは以前から「企業の顔」としてマーケティング活動において重要な役割を担ってきました。チャットボット導入することにより、更に顧客接点を拡大しお客様へのアプローチが可能となります。

さらに、応対品質や顧客満足度の向上などのチャットボットの導入効果は、自社製品・サービスのファンとなるお客様(ロイヤリティ顧客)の増加にも繋がります。企業や商品のファンが増えることで、売上の向上も期待できるでしょう。

24時間365日対応の実現

チャットボットはシステムの設定次第で24時間応対が可能です。オペレーターでは応対しづらい深夜~早朝の時間帯や年末年始なども応対窓口を開けられます

例えば、ECサイトの問い合わせを受け付けるコールセンターでチャットボットを導入する場合、お客様の購買活動が活発になる夜間~深夜の時間帯での取りこぼしがありません。
機会損失を防ぐことができるので、チャットボットによりお客様の利便性向上はもちろん、売上アップの効果も期待できます。

利用者(ユーザー)にとってのチャットボットのメリット

チャットボットの導入はコールセンター運営にとってのメリットだけでなく、お客様へのメリットも多くあります。お客様の利便性が向上したり、顧客満足度向上に繋がったりと高い導入効果が期待できるでしょう。
ここからは、代表的なメリットを4つ紹介します。

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時間 ・場所を選ばずに問い合わせができる

従来電話での問い合わせは、コールセンターの受付時間内に静かで落ち着いた場所を選んで電話をかける必要がありました。また、9時~18時までと日中帯しか受け付けていないコールセンターでは、働いている人はなかなか電話を掛けられず、サービスに対して不便・不満を感じかねません。

対してチャットボットの場合、設定次第では24時間受付が可能となるため、お客様の都合の良い時間帯でいつでも問い合わせが可能です。通信ができる環境であれば問い合わせの場所を選ばないため、お客様の利便性も向上します。

電話代がかからない

コールセンターの電話がフリーダイヤルではない場合、お客様は問い合わせの度に通話料を支払う必要があります。
最近では、格安SIMなどデータ利用をメインにして無料通話分がない、または音声通話が割高な料金プランを契約している人も多く、通話料のかかる電話での問い合わせを避ける傾向があります。

チャットボットは問い合わせにかかる費用はデータ通信料のみなので、通話料を気にするお客様にも安心して利用頂くことが可能です。

待ち時間がない

電話での問い合わせの場合、午前中や昼休みなどコールセンターの混雑している時間帯では数分~数十分の待ち時間が発生することがあります。電話の繋がりやすさはコールセンターによって重要な品質指標であり、繋がりにくい状況が続けば顧客満足度は著しく低下します。

一方、チャットボットでは同時並行的に複数の問い合わせに応対可能であるため、待ち時間を最小限に留めることができます。課題や問題をすぐに解決できるので、お客様はストレスなく問い合わせを利用できるでしょう。

やり取りを記録に残せる

問い合わせのやり取りをテキストベースに残しておける点もメリットです。音声通話の場合は、お客様側では問い合わせ内容が見える形で残せないので、オペレーターの回答内容をあとで見直すことができません。電話をしながら手元にメモを準備する手間もあります。

チャットボットでは問い合わせの一連のやり取りが保存されているので、必要な時に再度読み返すことが可能です。オペレーターによる口頭説明と比べると伝達漏れが無くなるので、お客様の利便性が向上します。


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チャットボット導入前にやっておくべきこと

チャットボット運用を成功させるには、導入前にいくつかやっておくべきことがあります。サービスを提供する業者に丸投げするのではなく、企業も導入・運用へ積極的に関与する姿勢が重要です。

オペレーターへの導線設計

チャットボットで重要なのは、有人対応を担当するオペレーターとの連携です。以下の導線2点は必ず明確化しましょう。

・チャットボットからオペレーターに対応を引き継ぐのはどのタイミングか
・オペレーターへ引き継ぐためのシナリオをどう設計するか

導線がスムーズでない場合、チャットボットは顧客から「不親切」「時間の無駄」と評価されてしまいます。「チャットボットはあくまで定型業務の代替である」と肝に銘じましょう。

対応部門の明確化

チャットボットは多くの部門が関与しながら運用されるため、部門ごとの責任や役割を明確しなければなりません。

・顧客応対やそれに付随する業務はコールセンターが担当する
・チャットボットの利用で得られたデータはマーケティング部が管理する
・システムの設計や改善に関してはIT部門が対応する

一貫性のある役割分断を行えば、チャットボットを効率的に運用できます。

データの分析・活用方法

社内のデータを分析・活用できるよう、業務フローの整備も必要です。チャットボットの性能は学習したデータの質と量に比例しており、フローが整備されていなければ、運用開始まで時間が掛かってしまいます。満足できる性能も得られないため、大きな機会損失です。社内の様々な部署で保存されているデータをどう活用するか、事前に検討しましょう。

チャットボット導入時のポイント

さまざまなメリットがあるチャットボットですが、導入すれば無条件で効果を発揮するとは限りません。導入時にいくつか注意すべきポイントがあり、それをクリアして初めて有効活用できます。

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導入目的を明確にする

「あったら便利そう」「話題になりそう」といった曖昧な目的では、すぐに使えないツールと判断されて利用者はいなくなってしまいます。
費用対効果を発揮するためには、まずチャットボットの導入目的は明確に設定しましょう。例えば、社内チャットボット、問い合わせチャットボットなどの用途に応じて、次のような目的を設定することができます。

・社内ヘルプデスクに寄せられる人事手続き(結婚、引越し、退職など)の問い合わせを自動化したい
・コールセンターに寄せられる商品の操作に関する問い合わせをチャットボットで回答させたい
・Webサイトを訪問するユーザーに、ニーズに応じた適切な商品をおすすめしたい

チャットボットは何でもできる魔法のシステムではなく、その実態は緻密に計算されたロボットです。チャットボットにできること・できないことを明確に理解した上で、「チャットボットに何を期待するか」と具体的に設定し、その目的に沿った設計を行いましょう。

利用者目線で考える

チャットボットを導入する時は、利用者に役立つ物を作成することを目標にしましょう。役に立つチャットボットとは、以下のポイントが該当します。

・利用者の要求に的確に答えられる
・作りが簡素で使いやすい
・欲しい情報がすぐに得られる

利用者目線を持ち、使いやすく便利なサービス作成を心がけましょう。

テスト期間を設ける

チャットボット公開を焦るあまり、十分なテスト期間を取らずにリリースしてしまうことは、回答精度の低下やエラーの原因となります。
チャットボットは、社内問い合わせツールや顧客との窓口として長期に渡って運用していくものです。利用者から長く愛されるチャットボットを作るためには、初期投資として入念なテストを実施しましょう。

具体的には、特定のユーザーや部門に絞ってテスト公開し、回答率、回答の品質、スピード、使い勝手などのフィードバックをもらいます。集まった意見を元にシナリオや回答を改善することで、利用者にとって使いやすい・役に立つチャットボットとしてリリースすることが可能になるでしょう。

次のステップを用意する

チャットボットを利用した後、利用者を次のステップへと誘う仕組みは必ず必要です。ECサイトなら商品紹介ページ、保険を販売するサイトなら申し込み画面といったように、チャットボットとの対話で得た体験を次に生かす必要があります。
途中終了した場合は再開できるオプション、求めていた回答が得られなかった時は有人対応に切り替えるオプションなど、チャットボットとの対話がうまくいかなかった場合のステップを併せて用意しましょう。

コールセンターのチャットボット導入事例

チャットボットの精度向上や利用にあたっての技術的ハードルが下がったことにより国内企業での導入が進み、現在では多くの成功事例が報告されています。ここからはコールセンターのチャットボット導入事例として、代表的な事例を5つ紹介します。

アスクル株式会社

個人向けのネット通販「LOHACO(ロハコ)」や企業向けの事務用品通販「ASKUL(アスクル)」「SOLOEL ARENA(ソロエルアリーナ)」を運営するアスクル株式会社。業界内でも早期にチャットボットを導入した企業として知られています。

従来のメールベースでの問い合わせでは、解消までに時間がかかるなど効率の悪さが課題でした。
そこで、お客様の自己解決率を高めるために導入したのがチャットボットです。「LOHACOのマナミさん」、「ASKUL・SOLOEL ARENAのアオイくん」という親しみやすいイラストを用いたバーチャルオペレーターとして運用されています。
工数にすると9人月(9人が1ヶ月に働くくらいの仕事量)をこなし、業務効率化やコスト削減に貢献しています。また、LOHACOは個人利用客向けサービスなので、問い合わせの約4割以上が深夜~早朝帯などコールセンターが営業時間外の時間帯です。有人窓口が閉まっていたとしても問い合わせ応対出来るため、お客様の満足度向上にも繋がりました。

参考リンク:impress

ヤマト運輸株式会社

国内外の配便事業を行うヤマト運輸株式会社では、荷物の問い合わせやお届け予定日変更、再配達依頼などができる個人向けのチャットボットサービスを導入しました。従来配達ドライバーや営業所への電話問い合わせで対応していた業務を、チャットボットで実現しています。

ヤマト運輸のチャットボットは、多くの人がすでに日常的に利用しているLINEの画面上で動作します。好きなタイミング・場所で手続き・問い合わせができるので、チャットボットは利便性向上に貢献しました。2020年時点で3200万人以上もの利用者を獲得しています。
電話による問い合わせ入電数が減少するだけでなく、再配達となる件数自体も減ったことで配達ドライバー・営業所の負担は大幅に軽減しています。顧客満足度向上はもちろん、業務効率化・コスト削減の両面で効果を出した成功事例です。
参考:Sciseed

株式会社三井住友銀行

三井住友銀行では行内OA機器に関するヘルプデスクや事務手続きの照会業務をチャットボットで対応しています。これまでもマニュアルを用意して自己解決をサポートしていました。しかし「わかりづらい」「欲しい情報が見つからない」などの声があり、有人窓口にも待ち時間やオペレーターの応対品質が課題でした。

24時間応対可能なチャットボットを導入することで課題が即時解決するため、利用率は非常に高くチャットボットでの自己解決率は9割を超えるほど大きな成果が出ています。

参考リンク:SMBCグループにおけるチャットボット活用事例

JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)

JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)はお客様荷物の忘れもの問い合わせ業務に「お忘れ物チャットサービス」というチャットボットを導入しています。
導入前はお客様が荷物を紛失された場合、営業時間内に駅窓口に電話をかけて届け出有無を確認しなければいけませんでした。営業所では1日1,000件を超える問い合わせがあり、窓口はパンク状態で繋がらないというクレームが続いていたのが課題です。

チャットボットでは忘れ物をした日時、駅名、場所などをパソコンやスマートフォンの画面から選択することで24時間忘れものの届け出確認をすることが可能です。自分の都合の良い時間・場所で問い合わせができ利便性が向上します。営業所も問い合わせの一次受付がチャットボットでできるので、業務効率化に繋がりました。

参考:
AlfaCom
TIME&SPACE

M社(製菓業界)

老舗菓子製造メーカーであるM社は、自社商品パッケージに写真やイラストなどのオリジナル画像をプリントするサービスを提供しています。元々個人向けに人気があったサービスで、周年の記念品や季節の挨拶品、ノベルティなど法人向けにサービスを拡大するにあたって問い合わせ窓口としてチャットボットを導入しました。

「わざわざ問い合わせするほどでも」とあえて問い合わせをしてこなかった法人のお客様がチャットボットであれば気軽に利用でき、問い合わせ件数は約4倍に拡大しています。
参考:ボクシルマガジン

まとめ

チャットボットは、コールセンターのコンタクトセンター化・顧客のコミュニケーション手段変化に対応し、ブランド力や顧客満足度を向上できる有力なツールです。すでに多くの企業で導入されており、コスト削減や業務効率化を成し遂げています。本記事で解説した注意点やポイントをもとに、チャットボットの導入を成功させましょう。

WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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