個人事業主・小規模企業向けクラウドPBXの選び方と導入方法|トラムシステム
個人でやっている事業が軌道に乗ると、必要となってくるのがビジネス用の電話番号です。しかし、ビジネス用の固定電話の設置や維持にかかる費用は高額であるため、低コストで簡単に導入できる電話がないか探している方もいるでしょう。
オフィスの電話機能を手軽に、低コストに利用したい方には、クラウドPBXがおすすめです。この記事では、小規模企業や個人事業主、SOHOの方がクラウドPBXを導入するメリットや、検討時のポイントを解説します。
目次
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、ビジネスフォンの外線・内線を制御するPBX(主装置)をクラウド環境に構築し、インターネットを通じてアクセスすることで、内線、外線、転送などの電話機能を利用するサービスです。
従来のオンプレミス型PBXとの最大の違いは、PBXは利用する端末(内線・外線電話機)や拠点同士をインターネットでつなぐことです。オンプレミス型のように電話回線でつなぐ必要がないため、低コスト・短期間で導入できます。
IP電話機の他、スマートフォンやソフトフォン(PC・タブレット)を内線端末として利用できるため、自宅やレンタルオフィスなどで仕事をしている個人事業主や小規模企業にぴったりのサービスです。
クラウドPBXの導入・運用コスト
クラウドPBXの導入に必要なのは、インターネット環境とスマホ、PC、タブレット、IP電話機などの電話機だけ。ハードウェアの設置や電話回線の工事は必要ありません。導入にかかるコストはサーバーの初期設定費用や契約料が主となっており、1万円前後が相場となっています。
運用コストについては、サービスの利用料を毎月ベンダーに支払う仕組みとなっています。ユーザー数や利用機能によって基本料金が決まっており、1ユーザーあたり月1,500~2,000円が相場です。
月額料金の他には、外線通話料、インターネット利用料、ブロバイダ料金などが発生します。外線通話料については、固定電話、携帯電話、国際通話などによってそれぞれ料金は異なりますが、固定電話向けの通話は3分で8.8円が相場です。
小規模・個人事業主、SOHOがクラウドPBXを利用するメリット
工事が不要で月額料金で利用できるクラウドPBXは、事業の方向性や状況が変動しやすい小規模・個人事業主やSOHOに特におすすめのサービスです。
具体的なメリットについて詳しく解説していきましょう。
短期間で利用開始できる
電話回線や電話機設置などの大規模な工事を必要としないので、ビジネスフォンに比べ短期間で設置できます。申し込み後は数日~1週間程度で利用開始できるため、必要なタイミングですぐに利用開始できます。細かい設定はブラウザの設定画面から行うため、専門知識がなくても大丈夫です。
レンタルオフィスで利用できる
インターネット回線さえあれば利用できるクラウドPBXは、レンタルオフィスでも利用可能です。レンタルオフィスでは光ファイバー回線や電話サービスを提供していることが多いです。しかし、それらのサービスの利用料は相場よりも割高に設定されていたり、電話番号がオフィスに紐づいているため、レンタルオフィスを離れるときには電話番号を手放す必要があったりします。
クラウドPBXがあればレンタルオフィスのインターネットを利用して低コストで通信環境を確保できます。レンタルオフィス側との契約のやり取りや料金の支払いなどの手間も発生しません。
スマートフォンで固定電話用電話番号が使える
「これまで個人のスマートフォンを仕事でも使っていたが、今後はプライベートと仕事の番号を分けたい」という要望にも、クラウドPBXは対応できます。
クラウドPBXは、スマホやタブレットなどに専用アプリをインストールし、そのアプリを通じた着信や発信は会社番号でやり取りされる仕組みです。1台のスマートフォンでプライベート用の番号とビジネス用の番号の2つが使えるため、スマホをもう1台用意する必要がありません。
ビジネス用の連絡先はクラウドPBXアプリの中に保存するため、プライベートとビジネスの連絡先が混ざることがない点も、ビジネスとプライベートの切り替えが難しい個人事業主にとって嬉しいポイントです。
オフィス移転や事業拡大に柔軟に対応できる
電話番号の変更は、関係者への周知や名刺やホームページの更新などの手間が発生するため、できるだけ同じ番号を使い続けたいものです。クラウドPBXでは、クラウド上に電話環境を構築するため、オフィス移転をしても、引越しをしても電話番号は変わりません。
将来、事業拡大に伴いユーザー数や利用機能を変更したい場合には、ブラウザの設定画面から簡単に契約内容を変更できます。
細かいコールルールが設定できる
ビジネス用に設計されたクラウドPBXでは、細かいコールルールが設定できる点も魅力の1つです。例えば、業務時間外にかかってきた電話には自動音声で対応したり、着信をまず端末Aにつなぎ、応答できなかったら端末Bにつないだりといったことができます。
これから事業を拡大していく個人事業主や小規模事業者にとって、電話の取り逃しによる機会損失は避けたい一方で、電話対応にプライベートの時間が邪魔されてしまうこともよくありません。
クラウドPBXがあれば、かかってきた電話に効率的、適切に対応できるでしょう。
経費精算がやりやすい
個人事業主の中には、プライベートでも使っているスマートフォンをビジネス用として使っている人も多いですが、その場合に難しくなるのが、通信コストの経費精算です。
プライベート利用分とビジネス利用分が混ざった状態で携帯料金の請求がされるため、ビジネス利用分の経費を正確に把握することが難しくなります。
クラウドPBXでは契約プランに応じた月額利用料と、クラウドPBXアプリを通じて行った外線通話料が請求されるため、プライベート利用分が混ざることがありません。ただし、アプリ利用時に発生するモバイルデータ通信については、スマホ本体への携帯料金に含まれます。
個人事業主や小規模企業がクラウドPBXを選ぶ際のポイント
柔軟性と拡張性が高いクラウドPBXは、スピーディーに、そしてできるだけミニマムに事業を進めたい個人事業主や小規模企業にとっての強い見方です。
クラウドPBXは様々なベンダーが提供しており、それぞれのベンダーで仕様が異なるため、自社にあったものを選択することが重要です。ここからは、個人事業主や小規模企業がクラウドPBXを選ぶ際のポイントについて解説します。
取得できる電話番号
クラウドPBXで利用する電話番号は、以下の2種類があります。
①すでに保有しているビジネス用の電話番号を引き継ぐ(引き継ぎには条件があります)
②クラウドPBX申込み時に新規取得する
②の場合、利用できる電話番号はベンダーによって異なります。03や06といった地域番号やフリーダイヤルの0120が利用できるケースもあれば、IP電話番号である050のみ利用できるケースもあります。
ビジネス用として050から始まる電話番号を使うこともできますが、社会的な信用などを考慮すると地域番号の取得がおすすめです。
03番号と050番号の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。
機能
クラウドPBXには、内線や外線、転送といった基本の電話機能に加えて、チャット機能や通話録音、自動音声応答などの様々な業務支援機能が搭載されています。
必要な機能は事業内容や電話の主な利用用途によって異なるため、自社にとって必要な機能は何かを整理し、それらが利用可能かどうかを確認しましょう。
月額利用料
クラウドPBXは、ベンダーが用意した環境に月額利用料を支払って利用するサービスです。月額利用料は利用するユーザー数やプランによって決定されるため、本当は必要ない機能や回線に料金を支払うことがないよう、契約内容をよく確認することが重要です。
クラウドPBX導入は、小規模から始めるのがおすすめです。最低限の機能から利用開始し、使っていくうちに、他の機能へのニーズが出てきた際に、オプションなどでの追加を検討するとよいでしょう。
セキュリティ体制
個人事業主や小規模企業によるスモールビジネスであっても、顧客の連絡先などの機密情報を取り扱う以上、セキュリティ対策は重要です。
クラウドPBXのセキュリティ対策は、サービスを提供するベンダーに委ねられます。多くのベンダーがセキュリティの専門家による対策を取っていますが、具体的な対策はベンダーによって異なるため、サービスの比較検討の際にはチェックするようにしましょう。
加えて、スマホにはパスワードを設定する、紛失時に端末の場所を探せるように位置情報をオンにしておく、アプリやOSは常に最新版に保つなど、個人での対策も重要です。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、ぜひあわせて参考にしてください。
個人でクラウドPBXを導入する方法
クラウドPBXのサービスの中には、1ユーザーから申し込み可能なものもあります。クラウドPBXを個人で導入する場合は、以下の流れで導入を行います。
1.書類の用意
2.支払い方法の設定
3.審査
4.導入
それぞれの手順を具体的に解説してきましょう。
書類の用意
申し込みに必要な書類を用意しましょう。個人事業主の場合は身分証明書を用意します。SOHOの場合は、履歴事項全部証明書と代表者の身分証明書が必要となります。必要書類が以前よりも簡素化されているので、簡単に申し込み可能です。
支払い方法の設定
支払い方法の設定を行います。クラウドPBXでは口座引き落とし方式が一般的ですが、サービスによっては銀行振込・プリペイド方式を選択できます。企業の規模に応じて、最適な支払い方法を選びましょう。
審査
これらの作業が完了すれば、実際に申し込みを行い、審査が開始されます。クラウドPBXで審査が行われるのは、簡単に電話回線が設置できる点を犯罪などに悪用されるのを阻止するためです。
自己破産や返済していない借り入れがある場合を除き、基本的には審査を通過します。立ち上げたばかりで利益がほとんど出ていない法人でも問題ありません。
クラウドPBXの審査についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。
導入
審査が完了すれば、クラウドPBXを提供するベンダーと打ち合わせや設定などを行い、利用開始になります。料金や機能などをしっかり確認し、疑問点がないよう導入を進めてください。
設定はブラウザ画面から行えるサービスがほとんどです。特別な専門知識がなくても設定できるので、苦手意識を持たずにトライしてみましょう。
1ユーザーから使えるクラウドPBX”TramOneCloud Essential”のご紹介
多くのメリットがあるスマホ内線化をアプリで実現し、手軽な導入と高い拡張性・柔軟性を備えるクラウドPBX。そのなかでも、特におすすめの多機能サービスを紹介しましょう。
TrmOneCloud Essentialとは、創業以来3,000社以上の導入実績とリピート率92%を超える電話のプロフェッショナル、トラムシステム株式会社が提供する個人事業主・中小企業向けのクラウドPBXです。
– 工事・設備不要
– 月額1,200円~、1ユーザーから契約可能
– 高い信頼性と安定性と音声品質
TramOneCloud Essentialは、外線電話、内線電話、パーク保留、転送、留守電などの家庭用電話機にはない豊富な機能が搭載されています。
スピーディーな導入、容易な設定変更、ロケーションフリー、そしてシンプルで明快な料金体系で、あらゆるニーズに応えます。
– 電話設備を構築したいが大規模な工事や設備設置はしたくない
– 外出先でも電話を受けたい
– 電話回線の数を企業成長に合わせて、柔軟にすぐに変更したい
– 固定資産ではなく、サービスとして電話を利用したい
など、これまでの電話の常識を変えるサービスが、TramOneCloud Essentialです。
まとめ
コストの安さや利便性で注目されているクラウドPBX。個人事業主・SOHOのような小規模な事業所との相性は特によく、オフィスに快適な通信環境をもたらしてくれます。導入の際には、機能や月額利用料などを確認し、自社にとって最適な環境構築を目指しましょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。