ダイヤルインで回線を有効活用!直通・代表電話との違いとは|トラムシステム
ビジネスフォンの回線を整備する時は、電話回線1つで電話番号を複数取得できるダイヤルインがおすすめです。多くの企業がオフィスの電話網で採用しており、通信コスト削減や業務効率向上を成功させています。
しかし、言葉だけは知っていても、具体的にどのような仕組みか把握されていない方も多いのが現状です。この記事ではダイヤルインの仕組み・直通回線や代表組との違い・利用時の注意点を解説します。
目次
ダイヤルインとは
ダイヤルインとは、電話回線1つで複数の電話番号を複数取得する方式のことです。理解しやすいように、従来使われていた直通回線や代表組と何が違うか比較します。
一般家庭で主に用いられる直線回線では、一つの電話回線に一つの電話番号が設定されています。
電話が1~2台の場所ならこの方式で問題ありませんが、大量のビジネスフォンが必要となる大企業のオフィスでは、回線の敷設費用や維持費が大きな負担です。特に、数千台の電話を運用するコールセンターでは、膨大なコストがかかってしまいます。
代表組とは
代表組は、ダイヤルイン が登場する以前にオフィスで利用されていた方式です。複数の電話番号を1つの代表番号に統合し、同時に発着信できるように設定されています。
複数の発着信を、1つの電話番号で管理できるのがメリットです。その反面、電話番号を増やしにくいというデメリットがありました。
直通電話・代表組の欠点を克服し、ビジネスフォンを効率的に運用できるようにしたのがダイヤルインです。一つの電話回線に、複数の電話番号が設定されています。
ダイヤルイン形式は、直通電話・代表組よりも、以下の点でメリットがあります。
・複数の電話番号を簡単に保有可能
・回線の数を必要最小限にできる
・設置コスト・維持コストを削減できる
ある程度の規模があり、複数の電話番号が必要なオフィスの場合はダイヤルイン形式が必須と言えるでしょう。
ダイヤルインの仕組み
ダイヤルインの仕組みはシンプルです。
1.誰かが電話をかけることで、NTT局から着信番号が送られる
2.会社のオフィスに設置されたPBX(主装置)がそれを受信、着信番号を読み取る
3.PBXは着信番号に対応する電話に通信を送り、電話を鳴らす
「どこの電話回線を通ってきたか」ではなく、「どの電話番号から着信したのか」をもとに判別されるのが特徴です。PBXが、来訪者を目的の場所に案内する総合受付の役割を果たします。
代表ダイヤルインとは
実際の企業でダイヤルインを運用する際、代表ダイヤルインという形式で用いられることが多いです。複数の電話回線に複数の電話番号を設定し、1つのグループを作ります。ただし、電話番号の数を電話回線より多くするのがルールです。
このようなグループの場合、4つの電話番号への着信は、電話回線A、Bのどちらかを通って届きます。
代表ダイヤルイン形式が多い理由は、複数同時の着信に対応するためです。電話番号を増やすと着信も増えますが、一つの電話回線は一つの着信しか受けられません。「電話番号を増やしたので着信が増えたが、回線が一つしかなく混雑する」という状態を避けるため、回線を複数設定して余裕を持たせています。
契約番号・追加番号とは
ダイヤルインには、契約番号と追加番号という2種類の電話番号があります。
【契約番号】
契約番号とは、電話回線と紐づいた電話番号です。例えば、2つの回線・4つの電話番号で代表ダイヤルインを設定している場合、2つの電話番号は回線と紐づいた契約番号となります。
複数の電話番号と電話回線を利用するダイヤルインですが、「電話番号1つにつき1回線」という原則自体は守られていることを理解しましょう。
【追加番号】
追加番号とは、契約番号のほかに追加できる、電話回線と紐づいていない電話番号です。物理的な電話回線を保有していませんが、電話番号としては確かに存在しています。
ダイヤルインを採用する際に契約番号と追加番号の話も出てくるので、混乱の無いようにしましょう。

ダイヤルイン契約が可能な回線
ダイヤルイン導入時に気を付けたいのが、電話回線の種類です。アナログ回線、ISDN回線、IP回線と様々な回線でダイヤルイン契約が可能ですが、設定方法はそれぞれ違います。回線ごとの特徴や設定方法を紹介しますので、自社で導入する際の参考にしてください。
アナログ回線
アナログ回線でのダイヤルインは、モデム信号を利用するモデムダイヤルインと、プッシュ信号を利用するPBダイヤルインが存在します。アナログ回線で代表ダイヤルインを行う場合、グループを組む回線数と、追加する番号の合計分契約が必要なので注意しましょう。
ISDN回線
ISDN回線では、Dチャネルという通信制御用回線を用いてダイヤルインが行われます。大容量のデジタル通信サービスである「INSネット1500」で内線と外線を束ね、発着信を制御するのです。
ISDN回線とアナログ回線を混在させると、以下のようなデメリットがあるので注意しましょう。
・必ずアナログ回線から着信する
・ナンバー・ディスプレイ(発信者がだれか表示するサービス)を導入していない場合、着信まで数秒のタイムラグが発生し、着信者の電話番号が表示されない
IP回線
ダイヤルインサービスは、法人用のIPセントレックス(内線電話のVolP網制御装置を、集中的に設置・管理する方法)で提供されます。VoIPアダプタに設定に設定を加え、モデムダイヤルイン機能を付与する方法もあります。
IP回線でのダイヤルインでは、固定電話回線の番号とIP電話番号の併用ができません。どちらかの番号を選択する必要があるので、注意しましょう。
ダイヤルイン利用時の注意
様々なメリットを持つダイヤルインですが、契約の際にはいくつか注意すべき点があります。注意点を守らないと、効果的な運用に支障をきたす場合もあるので、覚えておきましょう。注意点をもとに、「どのようにダイヤルインを導入するか?」を社内で慎重に検討すれば、トラブルを回避できます。
市内局番と電話回線を統一する
ダイヤルインを組む時は、同一の市内局番と電話回線を利用するのが基本です。混在させると、ダイヤルインを利用できなくなるか、動作に問題が生じる可能性があります。できるだけ統一し、利用しやすいダイヤルインを構築しましょう。
お得なプランを利用する
電話料金は、基本1回線単位で設定されています。しかし、ダイヤルインの場合はそれに加え、追加番号1つにつき800円の月額利用料が必要です。数個程度の追加なら問題ありませんが、百個単位になるとかなりの高額になります。
追加番号の月額利用料を抑えたい場合は、通信事業所が提供するサービスプランに加盟しましょう。
ISDN回線を利用する際は、NTT東西が提供する「ダイヤルエコノプラン」がおすすめです。500番号までは50,000円の月額料金で利用可能で、それ以降は1電話番号あたり100円で追加できます。
IP回線のひかりでんわでは、「追加番号」というダイヤルインサービスがあります。最大7,000番号まで取得可能で、1電話番号あたり100円で追加できます。
電話機、回線の数に余裕を持つ
電話機、回線の数にも気を付けましょう。少なすぎると発着信に支障をきたし、多すぎると無駄な利用料金を払うことになります。ポイントは、繁忙期や将来的な人員拡張を見越して、「必要な数よりも少し余裕を持つ」ことです。
まとめ
チャット、メールなど様々なライバルが出てきましたが、電話通信は未だにオフィス通信網の中枢として機能しています。電話番号を追加しつつ、利便性とコストパフォーマンスを改善させたい場合は、ダイヤルイン機能を導入しましょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。