社内ヘルプデスクの業務改善丨効率化のポイントやおすすめツールを紹介|トラムシステム
社内の問い合わせを一手に引き受けるヘルプデスクは、業務を円滑に進めるための重要な役割を果たします。しかし近年は問い合わせ内容の複雑化・多様化により、ヘルプデスク担当の業務を圧迫しているのが現状です。この記事では、社内ヘルプデスク業務を効率化するためのポイントやおすすめツールを紹介します。
目次
社内ヘルプデスクとは
社内ヘルプデスクとは、社員の様々な困りごとを引き受ける「何でも屋」です。PC操作が分からない、画面が動かなくなってしまったなどの技術的な問い合わせから、人事総務関連の問い合わせまで幅広く対応します。
大企業では問い合わせ内容ごとに担当者が細分化されていますが、中小企業では1人~数人の担当者で全ての問い合わせに対応するのが一般的です。そのため、会社規模が小さくなるほど臨機応変な対応や、幅広い知識やノウハウが求められます。
主な業務内容
社内ヘルプデスクが主に以下2つの業務で構成されています。
1.社内問い合わせ受付、専門部署へのつなぎ役
1つ目は、社内問い合わせの総合窓口としての役割です。社員からの様々な質問、相談、悩みなどの問い合わせを受け付け、回答します。必要に応じて総務・人事・経理などの専門部署へ問い合わせの確認や仲介をすることもあります。
2.テクニカルサポート
2つ目は、テクニカルサポートの役割です。技術的な問い合わせ対応となるため「社内SE」と呼ばれることもあります。PCや電話、ネットワーク、社内システムなどに関わる操作方法、トラブルの問い合わせ受付・回答が業務内容です。
社内ヘルプデスクのよくある課題
社内のあらゆるトラブルに対応する社内ヘルプデスク。社員にとってはいざという時に頼れる存在ですが、その業務は簡単ではありません。
また、近年はテレワークやフレックスタイム制の導入などの影響で、従来のような対面での問い合わせ対応ができない企業も。問い合わせ内容の確認や回答には想像以上に時間がかかり、苦戦を強いられる現場が多いのが実態です。
ここからは社内ヘルプデスクが抱える課題の内容・原因を具体的に解説します。
時間が足りない・時間に追われる
特に小規模の会社の場合、少人数のヘルプデスク担当が多くの問い合わせを対応します。そのため、1人あたりの業務量は大きくなり時間に追われながら仕事をすることが増えます。
また、ヘルプデスクに寄せられる問い合わせは、業務上クリティカルな問題であることが特徴です。特にPCが動かない、電話が繋がらないという状況では自社の営業活動に深刻な影響を与えてしまうため、至急の対応が求められます。
内容次第では問題が解決するまで深夜対応が必要だったりや、休日出社をせざるを得なかったりとハードな勤務状況が続くケースもあります。
対応範囲が広すぎる
ヘルプデスクには一般問い合わせから、社内システムの操作方法・トラブルシューティングまで多種多様な質問が寄せられます。社内システムも勤怠管理、稟議決済、経費精算、販売営業支援、顧客管理と様々で、問い合わせをスムーズに回答するためには、幅広い業務知識が必要です。
また、社内業務のIT化や新技術・システムの導入なども適宜行われています。ヘルプデスク担当は常に業務知識・スキルのアップデートしていくことが重要です。
説明が難しい
同じ会社の社員であっても、IT技術への理解度は様々です。PCやインターネットが当たり前の時代に生まれた「デジタルネイティブ世代」である若手社員と、ITに苦手意識をもつ年配社員とでは、対応の仕方が異なります。
ITリテラシーの低い社員に対しては専門用語を並べるだけでは有意義な回答にはなりません。逆にIT技術に明るい社員に手取り足取り回答していては時間のムダとなってしまうでしょう。全社員一様の回答はできず、問い合わせ相手の理解度に合わせて分かりやすく正確に伝える工夫が重要です。
社内ヘルプデスクの業務効率化のポイント
社内ヘルプデスクの業務を効率化するためにはどのような対策が有効なのでしょうか?ここからは、具体的な対策内容を紹介しながら業務効率化のポイントを解説します。
対応範囲を明確化
ヘルプデスクは社内の相談窓口として幅広く門戸を開く必要がありますが、際限なく引き受けるのは禁物です。良かれと思って柔軟な対応を続けていると結果的にヘルプデスクの業務負荷が高くなり、問い合わせ回答の業務が回らなくなる可能性があります。
あらかじめ対応範囲や業務内容、業務時間を明確化し、余裕を持って問い合わせ業務にあたれる体制作りが肝心です。また、対応範囲を明確にすることによって業務の標準化ができるので、担当者の属人化や固定化を防ぐ効果もあります。
ノウハウ・ナレッジを蓄積する仕組みづくり
ヘルプデスクを複数の担当者で行っている場合、ノウハウ・ナレッジの共有・蓄積は欠かせません。○○業務は特定の担当者でないと解決出来ない、特定の社員に聞かないと××業務を進められない、といった特定の社員に依存した状態は危険です。担当者の欠勤や転職・退職により業務が滞る大きなリスクとなります。
リスク回避のためには、各社員の持つノウハウ・ナレッジを見える化し、共有することが重要です。ノウハウ・ナレッジを参考にしながら、全てのヘルプデスク担当が同じように対応ができるようになります。
また、マニュアルとして活用することで、新任担当者への教育・研修コストや手間を削減できたり、早期戦力化ができるメリットもあります。
対応状況の共有・可視化
個人がそれぞれ別業務を担当するのではなく、複数の担当者がチームを組み、分担して業務にあたるようにしましょう。それぞれの業務状況を可視化し共有することで、担当者の不在時は別の担当者が代わりに回答したり、退職時にはスムーズな引継ぎできたりと多くのメリットがあります。
業務状況の見える化は業務負荷を分散・平準化や、属人化を防ぐ効果も。一部の社員に業務が集中したり、1つの業務を特定の担当者に固定化したりすることのないように、担当者のスキルや経験を見ながら業務を振り分けることが重要です。
社内FAQの整備
ノウハウ・ナレッジがある程度蓄積出来たら、社内FAQとして公開しましょう。社員がFAQを参考に自力で解決できるようになると、ヘルプデスクへの問い合わせ数を減らすことが可能です。
解決出来ない場合でもFAQで分からないところが明確化されるので、対応時間を短縮化する効果もあります。
なお、社内FAQはただ公開するだけでは不十分です。キーワード検索を簡単にしたり、図表や動画で解説を掲載したりと、ユーザの利便性や効率性を追及しましょう。社員のFAQ利用率が上がるほどヘルプデスクの業務負荷は下がります。
チャットボットの導入
社内FAQと合わせて、チャットボットを導入するのも良いでしょう。チャットボットとはチャット機能を活用した問い合わせ自動回答ツールのことです。社員からの問い合わせを、あらかじめ設定した想定質問と回答セットのうち近いものを選択して自動回答します。
ヘルプデスクの社員が直接回答するわけではないので、ヘルプデスクの業務負荷削減に繋がるのがメリットです。また、システムの利用可能時間の設定次第では、早朝や深夜での問い合わせ回答ができ、会社の業務効率化や事業貢献にも繋がります。
チャットボットの具体的な作り方や活用ポイントは以下にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
社内ヘルプデスク業務に使えるツール
社内ヘルプデスク業務を効率化するためには、システムツールを活用するのも解決策の1つ。ここからは業務改善に有効なシステムツールを3つのテーマで紹介します。具体的なおすすめツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
問い合わせ管理ツール
問い合わせ管理ツールとは、問い合わせ内容や回答状況などを一元管理するためのシステムです。メール・電話・対面での質問などをまとめて管理・共有できるので、対応漏れやミスの抑止、ヘルプデスク内での業務効率化に役立ちます。
出典:Re:lation
問い合わせ管理ツールである「Re:lation」は、株式会社インテージの提供する人気ツールです。電話やメールの問い合わせ管理はもちろん、LINEやtwitterなどとも連携し問い合わせを一元管理します。情報共有、オペレータ教育、問い合わせ内容の分析・改善など、問い合わせ管理に関連する豊富な機能が用意されているのも特徴です。
マニュアル作成ツール
マニュアル作成ツールは、業務マニュアル作成をサポートするツールです。社内FAQに添付する操作マニュアルとして活用したり、ヘルプデスクの業務自体をノウハウ・ナレッジ化する際にも活用出来ます。
出典:Dojo
マニュアル作成ツールのおすすめは、株式会社テンダが開発した「Dojo」です。シンプルな画面操作で画面キャプチャ取得や操作説明の追記が可能で、簡単にマニュアル作成ができます。多くのテンプレートがあるので、誰が作っても分かりやすく統一感のあるマニュアル作成ができるのもメリットです。
マニュアル検索(FAQ)ツール
マニュアル検索ツールとは、作成されたマニュアルを効率よく検索するためのツールです。ヘルプデスク業務でのノウハウ・ナレッジ検索や、社内FAQで活用できます。
マニュアル検索ツールは、株式会社オウケイウェイヴが提供する「OKBIZ. for FAQ」がおすすめです。日本初・最大級のQ&AサイトであるOKWAVEを運営する会社が開発したツールで、9年連続で国内シェアNo.1を記録しています。OKWAVEで培った検索ノウハウを活かした探しやすさと、充実したFAQページの分析・改善機能が魅力です。
まとめ
社内ヘルプデスクは幅広い問い合わせの対応が必要であるが故に、業務過多や属人化などの課題を抱えてしまうことが多いようです。ヘルプデスクの業務自体を改善・効率化することは、会社全体の業務効率化に繋がりますので、この記事を参考にぜひ積極的に業務改善に取り組んでください。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。