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2023.02.02

固定電話 / ISDN / IP回線 /

2024年に固定電話が廃止?家庭での対応や継続・終了サービスを解説|トラムシステム

「2024年1月にNTTの固定電話が廃止される」という噂を聞き、不安になっている人も多いのではないでしょうか?実際には、2024年に電話通信の内部的な仕組みがアナログ回線からIP網に切り替わるだけで、家庭の固定電話は引き続き利用できます。

しかし、切り替えによって一部のサービスが廃止になるなどの影響もあるため、固定電話を頻繁に利用している方は注意が必要です。

この記事では、NTTによるIP網への切り替えの背景や切り替え前後の変更点などについて解説します。
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2024年に固定電話が廃止される?

「2024年に固定電話が廃止される」という噂は、NTTが発表したIP網への切り替えが元になっています。

具体的には、2024年1月以降に電話を提供するNTTの局内設備がアナログ回線からIP網へ切り替わります。

固定電話の回線はインターネット回線を用いたIP網に移行し、IP電話として引き続き利用できます。つまり、自宅やオフィスに設置している固定電話が利用不可能になるわけではありません。企業や個人での手続きや工事なども必要ないため、安心してください。

アナログ回線からIP網への移行の背景

これまで固定電話の回線として用いられてきたのは、音声を直接銅線で送信するアナログ回線と、音声を0と1のデータに変換して銅線で送信するデジタル回線(ISDN)です。

携帯電話の普及で固定電話の契約件数は減少しており、2009年には4334万件あった契約数が、2019年には1846万件と半分以下にまで落ち込みました。固定電話の電話網に必要な中継交換機も老朽化が進んでおり、2025年には寿命を迎えるといわれています。

このような情勢を踏まえ、NTTはアナログ回線とデジタル回線(ISDN)を廃止し、IP網へ移行することを決定しました。ケーブルは同じものを使用しますが、交換機の代わりにルーターを用いてIP網へと接続し、音声データを送受信する仕組みです。利用者側が工事を依頼する必要はなく、今ある固定電話の内部システムのみIP電話となります。

固定電話とIP電話の違い

新しく導入されるIP電話は、従来の固定電話と比較してどのような違いがあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

電話回線

固定電話は交換機を伝送路で結んで通話するのに対し、IP電話はインターネット回線と中継ルーターを利用してデータを送受信します。以前は「IP電話のほうが品質が悪い」と言われてきたものの、5Gをはじめとする技術革新により、固定回線と互角以上の音声、通話品質を実現しています。

現在の電話番号も引き続き利用可能で、新たに電話番号を取得する必要はありません。

通話料金

発信者同士が遠距離になるほど通話料が高額となる固定電話とは違い、IP電話は通話距離に関係なく通話料が一定です。例えば、固定電話への発信は全国・全時間帯一律で3分9.35円となり、変動することもありません。

ビジネスで固定電話を用いている企業ではコスト削減効果が高く、通話料の大幅な削減を見込めます。

サービス

IP網移行後は、固定電話のサービスが一部提供を終了すると発表されています。継続されるサービス、廃止されるサービスを確認しておきましょう。

IP網移行後も継続されるサービス

IP網移行後も継続されるサービスは以下の通りです。

・公衆電話
・110(警察)
・118(海上保安)
・119(消防)
・117(時報)
・177(天気予報)
・104(番号案内)
・115(電報)
・ナンバー・ディスプレイ
・ナンバー・リクエスト
・迷惑電話おことわりサービス
・キャッチホン
・ボイスワープ
・ボイスワープセレクト
・フリーアクセス
・#ダイヤル
・代表取扱サービス
・ダイヤルイン
・硬貨収納等信号送出機能(ピンク電話)

ダイヤルインや緊急通報など、需要が高いサービスは今後も継続されます。

IP網移行で終了になるサービス

IP電話網移行後に縮小、廃止が予定されているサービスは以下の通りです。

・INSネット(ディジタル通信モード)
・ビル電話
・着信用電話
・支店代行電話
・有線放送電話接続電話
・短縮ダイヤル
・キャッチホン・ディスプレイ
・ナンバー・アナウンス
・でんわばん
・トーキー案内
・発着信専用機能
・ノーリンギング通信
・二重番号サービス
・トリオホン
・なりわけサービス
・114(お話中調べ)
・空いたらお知らせ159
・ナンバーお知らせ136

INSネット(ディジタル通信モード)はPOS(販売情報管理システム)やEDI(電子商取引)に用いられているため、2027年までは継続利用が予定されています。

IP電話網の移行で家庭の電話はどうなる?

IP電話網に移行しても、家庭の電話はそのまま利用できます。アナログ回線とISDN回線構造が変更され、IP電話へ自動的に切り替わるからです。手続きや工事を行う必要はなく、一部サービスの終了以外はこれまで通り利用できます。

ただし、中には「IP電話網移行により工事が必要」「今までの電話機は使えなくなる」と偽って不要なサービスを勧誘する悪質な業者が報告されています。NTTも追加の工事は不要とアナウンスしているため、勧誘が来ても断るようにしましょう。

企業はISDN回線廃止の対応有無を確認

企業の場合は、家庭とは多少事情が異なります。ISDNネットを利用したPOSレジやEDIシステムを利用しており、IP網移行後は動作しなくなる可能性があるからです。完全廃止は2027年と多少猶予があるものの、廃止された場合の対応有無は確認が必要です。

ISDN回線廃止への対応を下記リンクにまとめてありますので、自社でどのような対策が必要かチェックしてみましょう。

家庭の固定電話を解約する選択肢も

固定電話を使う機会があまりない人は、解約を検討してみてもよいかも良いかもしれません。通話料や維持コストが必要なくなり、携帯電話に一本化できます。ただし、いくつか注意点もあります。

固定電話解約時の注意点

固定電話解約時の注意点は3点あります。

FAX機能が利用できなくなる

FAX機能付きの固定電話だった場合、撤去すると使用不可となります。FAXを頻繁に利用している個人事業主の方は注意が必要です。スマートフォンから利用できるインターネットFAXなど代替となるサービスを導入しましょう。

固定電話でやり取りをしている相手と連絡が取りづらくなる

固定電話でやり取りを行なっている知人がいる場合、事前通知なしで廃止すると連絡が取りづらくなってしまいます。そのような相手には必ず新しい連絡先を伝えましょう。固定電話を継続利用する場合は、電話番号が変わらないため問題ありません。

法人口座開設の際に不利となる

法人口座開設の際、固定電話番号の有無が審査基準となるケースがあります。固定電話を廃止すると、審査で不利となる可能性があるため注意が必要です。ビジネスを開始する予定がある方は、クラウドPBXなど固定電話番号を使用できるIP電話サービスへの乗り換えを検討しましょう。

固定電話の代わりになるサービス

固定電話の代わりとなるサービスとしておすすめなのが050電話です。050電話とは「050」の番号から始まるIP電話サービスで、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パソコンで利用できるのが特徴です。

050番号は通話相手が遠方でも通話料が変動せず、同じプロバイダ同士であれば無料で通話できます。電話加入権の購入も不要なため、通話料を安価に抑えたい方におすすめです。

ただし、時間帯や場所によっては品質が悪化する、フリーダイヤルなど一部利用できない電話番号がある点には注意しましょう。

050番号についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。

まとめ

固定電話のIP電話網移行は通信事業者側の作業であり、家庭用固定電話の利用者側での工事などの対応は必要ありません。一部のサービスは提供が終了するため、終了されるサービスの利用がないかの確認はしておきましょう。

スマートフォンが普及し、家庭の固定電話を利用する機会が減っている方も多いでしょう。これを機会に「自分にとって最適な通話手段は何か?」を改めて考え、必要なサービスを選択すると良いでしょう。


プロフィール写真

WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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