大規模企業向けクラウドPBXとは?メリットと選び方を詳しく解説|トラムシステム
企業のコスト削減や業務効率化を目的に、インターネット回線を使用したクラウドPBXの導入が広がってきました。とりわけ全国・海外に複数の拠点を持つ大規模企業では、適切なクラウドPBXサービスを選ぶことで多くのメリットを得られます。
本記事では、大規模企業向けクラウドPBXのメリットや選び方について詳しく解説します。
目次
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、PBX(電話交換機)をクラウド上のサーバーに設置し、インターネット回線を通じて内線、外線、転送などの電話機能を利用するサービスです。
電話回線ではなくインターネット回線を使用するため、インターネット環境があればどこでも会社電話としての機能を使用できます。オンプレミス(据え置き)のPBXと違い、外出先や複数拠点間でも無料の内線通話が可能、社員のスマートフォンを内線端末に利用可能といった点も特徴です。
大規模企業向けクラウドPBXとは
クラウドPBXはさまざまなベンダーから提供されており、機能やサービス内容、運用体制なども異なります。
規模の大きな企業の場合、オフィス用電話について次のような課題も多く見られます。
・管理対象の電話機の数が多い
・拠点数が国内外に多く、拠点間の通話料が高い
・拠点の追加、統廃合などが多く機器の管理や設定に時間が取られる
・会社のCTIやCRM、SFAなどの業務システムとの連係が困難
これらの課題に対してソリューションを提供できるサービスが大規模企業向けPBXであり、以下のような特徴があります。
・回線数は無制限(1,000台〜数万台まで対応可能)
・自社専用サーバーの開発、設置も対応可能
・海外利用に対応し、実績も豊富
また、大規模な企業であるほど、可用性やセキュリティ対策なども条件になってくるため、条件を満たすサービスは限られてきます。
大規模企業・多拠点企業がクラウドPBXを導入するメリット
全国・海外に複数拠点を持ち、多くの電話機を利用する大規模企業であれば、クラウドPBXから多くのメリットを得られます。クラウドPBXの導入により、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
複数拠点を一箇所で集中管理できる
クラウドPBXならインターネット回線を使って複数拠点をつないでオフィス電話を本社で一括管理できます。
拠点ごとにPBXを設置・設定する必要がなく、1人の担当者でも多くの拠点をカバーできるようになるため、電話設備の管理にかかわる人員削減が可能です。
一箇所で設定ができるため、組織変更や拠点の増減に合わせた設定作業も本社にいながら行えます。
インターネットがあれば内線は世界中どこでも無料になる
クラウドPBXを利用している場合、インターネットにつながっていれば国内外問わず内線通話を無料にできます。外線通話料、国際通話料、転送料の大幅なコストダウンにつながるため、国内外に多くの拠点を持つ大規模企業で特にメリットが大きいです。
また、クラウドPBXではスマートフォンやタブレット、PCに専用アプリをインストールするだけで、その端末を内線機として使えます。これを利用して、リモートワークや海外出張を行う社員の個人スマホも簡単に内線化が可能です。
海外を含む、遠方の地域にいる社員との通話が無料の内線通話になれば、電話代を気にしないですむため、コミュニケーションもしやすくなるでしょう。
外線通話料が安い
インターネット回線を使用するクラウドPBXは、固定電話回線よりも外線通話料が安くなります。
具体的には、固定電話では通話相手との距離が長いほど時間あたりの通話料は高くなりますが、クラウドPBXなら距離にかかわらず一定(3分8円が相場)です。そのため、取引先や顧客などの関係者との通話から発生する電話料金のコストダウンにも効果的です。
柔軟な働き方を可能にする
インターネット回線にアクセスできればどこでも使えるクラウドPBXは、社員のスマートフォンからでも会社の代表番号を使った通話や内線通話が可能です。
スマホの内線化で自宅や外出先からでも電話対応ができるようになり、出社に縛られない柔軟な働き方が可能になります。働き方改革やコロナ禍への対応としてのリモートワークが推進しやすくなり、従業員満足度や人材採用の面でも良い影響を期待できるでしょう。
オフィス移転時でも電話番号が変わらない
クラウドPBXの電話番号は地域に依存しないため、オフィスを移転しても変更することがありません。
電話番号が変わった場合は関係者への案内や、名刺やパンフレットなどの各種印刷物の記載変更など、規模の大きな企業ほど対応業務も膨大になります。こうした業務が減ることで、オフィス移転による事業への影響を小さくすることが可能です。
事業の拡大・縮小にも対応できる
従来のオンプレミスのPBXを使ったオフィス電話設備では、事業の拡大・縮小が生じるたびに、電話設備の設置・設定・撤去などの業務が必要でした。
インターネット回線を使用するクラウドPBXなら、機器の設置や配線工事が不要になり、組織変更にも柔軟に対応できます。ブラウザの管理画面からユーザー数や回線数、利用する機能などを一元管理できるため、その時の状況にあわせて最も最適な電話環境の構築が可能です。
BCP対策になる
クラウドPBXは場所を問わず利用でき、多くの拠点で電話番号を統一できます。この特性は、災害時を想定したBCP(事業継続計画)対策の面でも高く評価されています。
たとえば、ある拠点において災害などの影響で通信機能や事業が停止した場合でも、クラウドPBXが無事なら、別の拠点で被災拠点の電話連絡や業務を代行し、事業を継続可能です。問い合わせ用の電話番号を統一しておけば、災害時にも通常通りのサービスを提供できるでしょう。
大規模企業向けクラウドPBXの選び方
大規模企業のクラウドPBX選びでは、どのような点に注意するとよいのでしょうか。特に注目するべきポイントについて解説します。
システムの許容量
拠点数が多く、電話機の数も多い大規模企業の場合は、システムの許容量が大切です。
中小企業向けのクラウドPBXサービスの場合、使用可能な回線数やユーザー数に制限がある場合もあります。将来的に利用者数が増えた場合、サービスによっては許容数を超えてしまうこともあるため注意が必要です。
基本的に、サービスやオプションごとに、推奨(想定)利用人数が設定されています。それらを参考にすると共に、同規模の企業における利用実績なども確認しておくと良いでしょう。
番号ポータビリティ(LNP)の対応可否
既存の電話番号をそのままクラウドPBXに引き継ぎたい場合は、多くのケースで番号ポータビリティ(LNP)を利用します。
しかし、電話番号が番号ポータビリティに対応していても、クラウドPBXサービス側で番号ポータビリティに対応していない場合もあるため、必ず確認しておきましょう。
番号ポータビリティを利用できない場合は、ベンダーから割り当てられる新規の電話番号を取得するか、「VoIPゲートウェイ」という物理機器を介して電話番号を保持しながらクラウドPBXに接続することになります。
利用できる電話番号
大企業では問い合わせ専用窓口にフリーダイヤルを使うことも多くなっています。クラウドPBXの多くはフリーダイヤルに対応していますが、未対応の番号がある場合もあるので注意しましょう。
自社で利用しているフリーダイヤルの番号をしっかり把握して、対応しているクラウドPBXを選ぶようにしましょう。
外部システムとの連係可否
クラウドPBXは、業務で利用するCTI(パソコンで電話を利用する設備)やCRM(顧客管理システム)、SFA(営業支援システム)などと連係させて利用するケースも多いです。
しかし、外部システムとの連係の可否はサービスを提供するベンダーによって違ってきます。自社で利用している業務システムがあれば、連係が可能かどうか事前にベンダーに確認しておきましょう。
サポート体制
クラウドPBXが不調になったり停止したりした場合、利用者が多ければ多いほど影響も大きくなります。そのため、大規模企業にとってサポート体制は非常に重要です。
サポートでは、次の点がポイントになります。
・オンサイト対応(出張修理サービス)ができること
・サポート窓口が電話やメール、チャットなど複数用意されており、対応時間の幅も広いこと
・即応性があること
また、ベンダーの都合によりサポートが遅れる状況も考えられるため、自社でシステムの設定変更やメンテナンスが行えるよう、ドキュメント類が整備されているサービスが理想的です。
海外での動作
海外出張中の社員との連絡など、海外からクラウドPBXを利用する場合、国内で利用する場合と比較して動作が不安定になることもあります。
そのため、導入時には海外での利用実績の有無や評価についても確認しておくことをおすすめします。
また、サービスによっては海外利用の場合のトラブルは保障外となっている場合もあるので、契約面もしっかり確認しておくことが大切です。
クラウドPBX導入時の注意点
コスト削減や業務効率化といったメリットがあるクラウドPBXですが、サービスの選択を誤ると期待した効果を得られないだけでなく、次のようなデメリットが出てしまうこともあります。
・コストダウンを見込んでいたのに、かえってコストアップになった
・電話の音質が悪い
・ ベンダーの対応が悪い
・従業員から「使いにくい」と言われる
・セキュリティ事故が発生してしまった
こうした失敗を避けるためにも、クラウドPBX導入時には以下のポイントにも注意しましょう。
・安さだけでベンダーを選ばない
・セキュリティ対策の重要性を理解する
・メリット・機能を把握して利用想定を立てる
・トライアルで使い勝手・音声品質を確認する
以下の記事でクラウドPBX導入の失敗事例や対策ポイントを詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
まとめ
大規模企業では、特有の課題やニーズに対応できるように作られたクラウドPBXサービスを選定・導入することが大切です。特に許容量やサポート体制についてはしっかり確認しておきましょう。
クラウドPBXは大規模な企業ほどメリットも大きくなります。サービスを上手に選び、コスト削減や業務効率化を実現しましょう。
高品質・安定性のおすすめクラウドPBX”TramOneCloud”のご紹介
高い品質・安定性のクラウドPBXをお探しの方は、トラムシステム株式会社のTramOneCloudがおすすめです。
外線電話、内線電話、パーク保留、転送、留守電などのビジネスフォン機能はもちろん、インスタントメッセージ、チャット、電話・Web会議、プレゼンスなどのUC(UnifiedCommnication)機能も網羅。
スピーディーな導入、容易な設定変更、ロケーションフリー、そしてシンプルで明快な料金体系で、あらゆるニーズに応えます。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。