コールセンターのオペレーター教育|5つのポイントと研修内容を解説|トラムシステム
コールセンター・コンタクトセンターは、離職率の高さから慢性的な人員不足となっています。そのため、新人オペレーター教育は大きな意味を持ちます。しっかりとした研修制度を取り入れ、オペレーターが辞めにくい環境を目指しましょう。
本記事では記事では、オペレーター教育のポイントや具体的な研修について解説します。
目次
コールセンターでオペレーター教育が重要な理由
顧客と直接やりとりをするコールセンター・コンタクトセンタにおいて、対応品質や顧客満足度を上げるためには個々の状況に適した教育が必要です。
オペレーター教育が必要な理由を具体的に3つ解説します。
対応品質の均一化
お客様と話す際の応対品質は、コールセンター・コンタクトセンターの評価に関わるだけでなく業績にも大きく影響します。特にアウトバウンドによる営業を行うオペレーターの中には、営業成績を上げるために無理やりな勧誘を行う人もいます。評判・品質を落とさないためにも対応する品質を均一化する教育が必要です。
顧客満足度の向上
顧客満足度を向上させるためにはオペレーターの教育が不可欠です。今やサポートに対する満足度も商品やサービスを判断する基準となります。購入された商品でトラブルが発生した際や、利用方法がわからないなどの問い合わせには素早く的確に答えることのできる環境づくりが必要です。マニュアルや質問事項をリスト化するなど、経験の浅いオペレーターでもすぐ対応できるよう準備しておきましょう。
オペレーターのストレス軽減
オペレーターが日々受けるはクレーム対応の中には、正当な理由のものだけでなく、中には理不尽な要求も少なくありません。オペレーターがクレーム対応のストレスで辞めてしまわないよう、ストレスマネジメントの教育も必須です。休憩時間を有効に活用する方法や、気持ちの上手い切り替え方など指導すると問題解決につながります。
コールセンターにおける理想のオペレーター像とは
優秀なオペレーター像はコールセンター・コンタクトセンターによって異なりますが、コミュニケーション能力や問題解決能力の高い人物が理想とされます。この項目では理想的なオペレーターのビジョンを紹介します。
コミュニケーション能力がある
クレーム対応の場面では突然相手が怒りだしたり、不安に感じたりなど様々なケースが起こります。どのような場面でも、コミュニケーション能力の高い優秀なオペレーターは相手の気持ちを上手く汲むことができ、最後にはお互い笑顔で会話ができるための対話をすることができます。必要なことを的確に伝えるスキルは大切ですが、顧客の話をじっくり聞き相手の気持ちを理解することも重要です。
問題解決能力がある
マニュアルにはない想定外の質問をされた時、相手の話から問題を推測し、素早く問題解決できる能力を持つオペレーターは理想的です。もちろん、柔軟な対応には豊富な経験が必要です。しかし、ロールプレイング研修などを積極的に行うことで未経験のオペレーターでも柔軟に対応する力を身につけていくことができるでしょう。
PDCAを回せる
優秀なオペレーターは、常にPDCAを回し自身の業務の改善に取り組んでいます。特にアウトバウンド業務ではマニュアル通りこなしていても良い結果を上げることはできません。失敗した経験から新たな施策を練り直す力が必要です。どう行動するか計画的に考え、行動した結果から改善策を見出す能力が大切です。
丁寧・きめ細かい対応ができる
インバウンド業務では、相手の考えや要望を相手が口にする前に気づき提案するような、丁寧できめ細かい対応も優秀なオペレーターの条件です。電話をかけてくる人の中には年配の方も多いため、気配りある対応ができると顧客からの印象はアップし「わかりやすくて助かる」と感謝されることも多くなります。相手に合わせてゆっくり話す、ときには聞き上手になるなど、柔軟な対応で顧客からの印象がアップします。
オペレーター教育の軸となるポイント5選
理想のオペレーター像について解説をしましたが、未経験のオペレーターを理想のオペレーターに教育するためには、どうすればいいのでしょうか。ここからはオペレーター教育の軸となる5項目を解説します。この5つの軸に沿った教育体制を整えることで、効率的なオペレーター教育が可能になります。
1.応対速度の向上
顧客満足度を上げるためには「応答速度」を向上させることが大切です。質問された内容に素早く答えることができれば相手の印象はよくなります。応答速度はオペレーターの経験によっても差がつきやすい部分です。新人オペレーターのためには、よくある質問事項をリスト化しておいたり、丁寧なマニュアルを準備するとよいでしょう。
2.応対スキルの向上
応答速度に合わせて応対スキルを上げる教育も欠かせません。会話のときは相手になるべくやわらかい印象を与えるよう対応させましょう。気づかいできるオペレーターは自然とソフトな印象を相手に与えられています。基本的な語調や言葉遣いをマニュアル化し指導することで改善が望めます。
3.クレーム対応スキルの習得
顧客の中には理不尽な物言いでクレームをする人もいます。しかしオペレーターはどのような場面でも落ち着いた対応が大切です。適当に返してしまうと相手の怒りに油を注いでしまう結果となります。
冷静ではない相手にはどのような立場で接すればよいか、取るべき態度と取るべきではない態度についてしっかりと教育しましょう。自分で対応ができないと判断した場合には、リーダーやSVにエスカレーションができるように体制を整えておくことも必要です。
4.ストレス対策
クレーム対応や営業ノルマをクリアできないことでストレスを感じ、離職するオペレーターは多いです。ストレスが原因で優秀なオペレーターが離職してしまわないよう、オペレーターのストレスケアを行いましょう。個々のレベルにあった適切な業務を与え、アフターフォローや1on1などの面談でメンタル面をサポートします。
できるだけストレスを与えない環境づくりとともに、ストレスを乗り越えられるメンタル面の強化、SV/リーダーによるサポートが継続的に働いてもらうために必要です。
5.モチベーションマネジメント
モチベーションマネジメントは特に新人の離職率を下げるために有効です。経験の浅いオペレーターの中にはレベルの高い要求をされ、わからず落ち込んでしまう人も少なくありません。個人の能力に適した教育を心掛けることが大切です。「褒めること」「適切なサポート」「働きやすい環境づくり」を目指しましょう。
モチベーションの低さは、周囲に伝染します。1人のやる気のないオペレーターが元となって、コールセンター全体のやる気が低下してしまわないよう、一人ひとりのケアが重要です。
オペレーター教育で行うべき研修
では、具体的にどのような研修を行っていくべきでしょうか。「新人研修(初期研修)」「フォローアップ研修」「スキルアップ研修」の3つのフェーズに分けた研修について解説します。
新人研修(初期研修)
新人研修(初期研修)は、採用後すぐの人員が現場に入る前に行われる研修です。コールセンター・コンタクトセンターの基礎的なスキルを網羅的に学びます。一般的に、スキルは「ソフトスキル」「ハードスキル」の2つに分けられます。
どのようなスキルかを見ていきましょう。
<ソフトスキル>
・顧客が良い印象を抱く話し方
・顧客が伝えたいことを正確に把握するヒアリング力
・顧客の課題へ的確に対応できる解決力
<ハードスキル>
・取り扱う商材やサービス内容についての知識
・コンタクトセンターシステムなどのツールの使い方
・トラブルシューティングの参照方法
フォローアップ研修
フォローアップ研修は、現場のオペレーターに対し個別に行う研修です。どのようなオペレーターにも苦手としている業務や不足しているスキルがあるでしょう。それらを把握し、適切に研修を行うことで、コールセンター・コンタクトセンター全体の品質向上に繋がります。
個々のオペレーターを理解するため、「スキルチェックテスト」と「モニタリング」が効果的です。「スキルチェックテスト」は商材やサービスについて一定の理解があるかチェックし、及第点に達しないオペレーターに追加研修を行います。「モニタリング」はSVやリーダーがオペレーターの通話内容をモニタリングし、良かった点や改善点をフィードバックします。これらを複合的に行い、ソフトスキル・ハードスキル両面の強化を図りましょう。
スキルアップ研修
スキルアップ研修は、新しいスキルを習得してもらうための研修です。例えば、「対応できる商材を増やす」、「SV/リーダーを目指すためのマネジメントスキルを学ぶ」、「オペレーター育成のためのモニタリングスキルを学ぶ」などです。
そのオペレーターの将来像をオペレーター本人とSV/リーダーの間で話し合い、研修内容を決めていくことが一般的です。オペレーター個々のスキルを底上げすることは、コールセンター・コンタクトセンターの品質管理において重要だといえます。
伸びしろのあるオペレーターとは
優秀なオペレーターを育成するにはまず各人のレベルを把握し、その中から伸びしろのある人材を対象に行うことが重要です。各オペレーターのスキルや、やる気に応じて、適切に対応していきましょう。
オペレーターのスキルレベル
オペレーターは5つの層(レベル)に分類することができます。
S層:個人の能力が高く成績優秀な人材が多い
A層:営業的センスが高い。経験次第でS層へレベルアップできる
B層:基礎的な能力はある。教育・経験次第でレベルアップできる
C層:自信がないため能力を発揮できない。適切な教育でレベルアップできる
D層:心のシャッターを閉じ意見を聞かない。改善の可能性は低い
オペレーターをそれぞれの層に分類し、研修や面談を通してB層はA層に、A層はS層にレベルアップできるよう取り組みます。S層にはリーダーなど管理者としてポジションを提示するなどさらなるステップアップの道筋を示すことも必要でしょう。
C層の教育に注力する
5つの層の中でも「C層」に属する人たちが伸びしろのある人材です。
D層に分類される人物は自身の問題に向き合おうとせず、上手く仕事ができない原因はセンター側にあると考えています。このような人は、いくら面談でモチベートし、研修で教育しても改善は困難でしょう。
一方、C層はやる気はあるが適切な教育がされていないため自信を持つことができていない人たちです。教育次第ではB層にレベルアップすることもできます。C層への指導に注力し、彼らをB層、A層にしていくことこそが、コールセンター全体的な底上げにつながります。
優秀なSV教育も重要
SV(スーパーバイザー)はコールセンター・コンタクトセンターにおけるオペレーターと管理部をつなぐ重要な役割を担っています。コールセンターの品質はオペレーターの働きだけでなく、オペレーターを管理するSV次第で大きく変わります。
優秀なSV教育のためには、職務定義を明確にし身につけるべき知識やスキル、責任の所在など具体的に定義することが大切です。理想のSV像がわかればそれに適した研修を実施することができます。
まとめ
離職率の高いと言われるオペレーター業務を継続的・高品質に働いてもらうためには、ストレス軽減やモチベーションマネジメントなどの教育が必須です。また、オペレーターを管理するSV自体の教育も欠かせません。理想的で伸びしろのある人材を育成するために適切な教育を行いましょう。
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WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。