PaaS・SaaS・IaaSをわかりやすく!各クラウドサービスの例も紹介|トラムシステム
企業のみならず個人でも利用する人が増えているクラウドサービス。しかし「そもそもクラウドとは?」「クラウドにはどのような種類があるのか?」と疑問に思っている方も多いようです。
この記事では、クラウドサービスの基本とその種類(PaaS、SaaS、IaaS)をわかりやすく解説します。
目次
クラウドサービスとは?をわかりやすく
クラウドサービスとはパソコンにソフトやアプリケーションをダウンロードしなくても、インターネット経由で利用できるサービスです。クラウドとは雲を意味しており、インターネットが生み出したネットワークの、複雑で先が見通せないさまを表した言葉です。ネットワークそのものを、クラウドと呼ぶこともあります。
クラウドサービスの代表格「Gmail」を例に詳しく説明しましょう。Gmailは約4億2500万人が利用している世界最大のメールサービスで、次のようなメリットがあります。
・Googleのアカウントがあればダウンロード作業なしですぐ始められる
・パスワードとメールアドレスを覚えていればどの端末でも利用できる
・1年以上前のメールも検索機能で確認できる
Gmailの利点は全てクラウドサービス由来のものとなっています。アカウントだけですぐ始められるのは、クラウドに全てのシステムが存在しているからです。データの保管先がクラウドになっているので、アクセスできれば端末は問いません。端末の容量関係なくデータを保存できるので(Gmailの無料プランで最大15GB利用可能)、1年以上前のメールも確認できます。
クラウドサービスのメリット
クラウドサービスのメリットは、以下の通りです。
・ネットワークにつながった端末さえあれば、設備や施設がなくてもすぐ利用できる
・サービスの利用料を支払うだけなので、導入コストや維持コストが低い
・全てのシステムはクラウドに存在するので、端末を問わない
・オプションの追加やサービスの変更も容易
・災害やサイバー攻撃などのトラブルが発生しても、データが流出しにくい
コストを抑えられる点やデータを安全に管理できる点が評価され、企業のデータベースや基幹システムもクラウド化が進んでいます。
クラウドサービスのデメリット
その一方、以下の5点がデメリットとして挙げられています。
・セキュリティ対策が充実しているが、オンラインなので一抹の不安は残る
・オフライン環境では利用できない
・あくまでサービスを借りるだけなので、自分のものにすることは出来ない
・トラブルが発生した場合、復旧を待つしかない
・サービスをカスタマイズしにくい
銀行のように厳重に保護すべき情報がある企業、システムを自由にカスタマイズしたい企業、オンライン環境のない企業にはおすすめできないサービスです。
クラウドサービスの種類
クラウドサービスはPaaS・SaaS・IaaSなど「aaS」の言葉が付く単語で分類されているのが特徴です。これ以外にも、DaaS・STaaS・BaaSのような新しい分類も誕生しています。それぞれに得意分野が存在するので、導入前に特徴をしっかり把握しましょう。
~aaSとは
まず、クラウドサービスを理解するのに必要な「aaS」について解説します。クラウドサービスを分類するのは、アルファベット1文字+aaSを組み合わせた呼称です。アルファベット1文字はサービスの区分、aaSは「~としてのサービス」を表しています。
前述したPaaS・SaaS・IaaSは次のように呼ばれています。
・PaaS:サービスとしてのプラットフォーム
・SaaS:サービスとしてのソフトウェア
・IaaS:サービスとしてのインフラ
Pはプラットフォーム、Sはソフトウェア、Iはインフラの略称です。
また、クラウドサービスにaaSの文字と「~としてのサービス」という意味を与える概念を包括して「X as a Service(エックス アズ ア サービス)やXaaS(ザース)と呼びます。
PaaS・SaaS・IaaSとは
現在、多くのクラウドサービスがPaaS・SaaS・IaaSのいずれかに属しています。それぞれの違いについてわかりやすく解説しましょう。
PaaS
PaaS(パース)とはPlatform as a Serviceの略で「サービスとしてのプラットフォーム」とも呼ばれます。サーバーやOSなど、システムを構築するためのプラットフォームを利用できるクラウドサービスです。
プログラムの開発や実行を行う環境も提供しており、企業で利用する基幹システムを設計することが出来ます。自由度は高いですが、使いこなすにはプログラミング言語や開発ツールの知識が必要です。「家を建てるための土地を借りるサービス」と例えられます。
SaaS
SaaS(サース)はSoftware as a Serviceの略で「サービスとしてのソフトウェア」と呼ばれます。従来はDVDなどディスクを使ってインストールしていたソフトウェアを、インターネットを介して利用できるクラウドサービスです。
クラウド上にデータを保存できる、複数人で同時利用が可能、対応する端末が幅広い(マルチデバイス)といったメリットがあります。利用するのに特別な知識は必要ありませんが、その代わりカスタマイズの自由度は低いです。「土地に建設された、すぐに利用できる家を借りるサービス」と例えられます。
IaaS
IaaS(アイアース、イアース)はInfrastructure as a Serviceの略で「サービスとしてのインフラ」と呼ばれます。従来は機器を設置して構築していたサーバーやストレージといったインフラを利用できるサービスです。
基幹システムを一から設計できる非常の自由度の高いサービスですが、その分求められる専門知識のレベルも高くなります。「家を建てるための土地開発から始めるサービス」と例えられます。
その他の~aaS
最近ではDaaS、STaaS、BaaSなど新しいXaaSも誕生しています。
・DaaS(ダース)
Desktop as a Serviceの略で「サービスとしてのデスクトップ」という意味です。パソコンで使うデスクトップ環境をネットワーク経由で利用するクラウドサービスです。その特徴から「仮想デスクトップ」とも呼ばれます。
提供スタイルは複数あり、最初から全ての構成要素がそろっているパブリッククラウド、ある程度カスタマイズが出来るバーチャルプライベートクラウド、環境を自前で用意するプライベートクラウドの3種類です。
・STaaS(スタース)
Storage as a Serviceの略で「サービスとしてのストレージ」を意味します。ストレージを提供するクラウドサービスで、インフラを提供するIaaSから分化した存在です。構築するのに高いコストが掛かっていたストレージを気軽に利用可能で、複数人で共有できるなどクラウドならではの機能も備えています。
BaaS(バース)
Backend as a Serviceの略で「サービスとしてのバックエンド」という意味です。mBaaSとも呼ばれます。バックエンドとはスマートフォンアプリケーションの構成要素で、ユーザーの見えないところで処理を行うのが役目です。バックエンドを開発するのにBaaSを用いることで、工程を短縮して他の開発に人員を回せます。
クラウドサービスの代表例
実際に利用されているクラウドサービスをいくつか紹介します。低いコストで気軽に利用できるクラウドサービスは、企業のITリソースの温存に力を発揮します。ぜひ活用して、企業運営に役立てましょう。
主なPaaS型サービス
1.AWS (Amazon Web Services)
世界最大級のECサイトを運営するアマゾンが提供するクラウドサービスです。クラウドの有用性に目を付けたアマゾンはサービスの提供を黎明期から行っており、世界シェアトップを長年維持し続けています。100を超える多数のサービスを提供できるのが強みです。
2.Google Cloud Platform
検索エンジンの「Google」やメールサービスの「Gmail」など、世界中で利用されているインターネットサービスを提供するGoogleのクラウドサービスとなります。JavaやPHPなどを用いたプログラミングをGoogleが保有する膨大な容量のインフラで開発出来るのが強みです。
3.Microsoft Azure
マイクロソフトが提供するクラウドサービスです。近年急速にシェアを伸ばしており、2019年7月にはAWSを抜いてトップに立ったと報道されました。マイクロソフト製品との親和性が高いことが強みで、仮想マシンにWindowsサーバーを選択するなど独自の利用法もあります。
主なSaaS型サービス
1.Google Apps
さまざまなアプリケーションがパックで提供されるGoogleのSaaSです。メールサービスの「Gmail」、ドキュメントツールの「Googleドキュメント」、チャットツールの「ハングアウト」など企業で業務に生かせるツールがそろっています。インターネット環境があれば、ブラウザから利用可能です。
2.Dropbox
多数あるオンラインストレージの中でも、優れた操作性と自由度の高さで最も評価されているサービスです。パソコン、スマートフォン、タブレットなど幅広い端末で利用可能となっており、複数人での共有に適しています。
主なIaaS型サービス
1.IDCF クラウド
最小月額利用料500円で利用できる、安価なクラウドサービスです。ワードプレスに対応している、SSDなどのフラッシュディスクも利用できるといった利便性の高さが強みとなっています。オプションとして、リモートアクセスVPNやPush配信も利用可能です。
2.VDC PRO
サービス品質保証(SLA)が99.99%となる、非常に高品質なIaaSサービスです。アクセスIP制限機能や詳細セキュリティ設定など、セキュリティが充実しています。障害発生時のダウンタイムを最小化するため、高可用性クラスタのサーバーを採用しています。
まとめ
これまでITインフラは機器を設置してサーバー、ストレージ、アプリケーション、OSなどを構築し導入していました。現在はクラウドサービスの導入が進んでおり、今後はあらゆる企業でクラウド化が進行すると予測されます。コスト面や利便性に優れるクラウドサービスを導入し、企業のIT環境効率化を達成しましょう。
WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。