AWSが選ばれる理由とは丨導入メリットと特徴を解説|トラムシステム
国内外のベンダーによって多種多様なクラウドサービスが提供されている中、圧倒的な存在感を示しているのがAmazonが提供するAWS(アマゾンウェブサービス)です。しかし、有名なことは知っているが、なぜそれほどまでに高いシェアを誇っているのか、その理由についてはわかっていないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、AWSが選ばれている理由やメリット・デメリットについて解説します。
目次
クラウドサービスとは
情報化社会と呼ばれる現代。会社経営を円滑に行うためには、ITインフラの構築が不可欠です。しかし、社内にサーバーを設置してITインフラを構築する従来のオンプレミス形式では、多大なコストがかかり柔軟性も乏しいという問題がありました。
そこで登場したのがクラウドサービスです。
・設置に多大なコストがかかる
・運用、保守に人員を取られる
・拡張や縮小の度に大規模な作業が必要
クラウドサービスは、社内にサーバーを設置するオンプレミス型にあるこれらの弱点を解消したサービスです。
クラウドサービスの仕組み
引用元:https://academy.gmocloud.com/wp/wp-content/uploads/2017/04/170405_cloud_src01.png
クラウドサービスの仕組みはいたって単純。これまで自前で用意する必要のあったサーバー、ストレージ、データベースなどのコンピューティングサービスを、ネットワーク上にあるクラウドコンピューティングから直接実行するだけです。
パーソナルコンピューターとネット接続環境を用意するだけで、大企業並みのITインフラを構築できます。ストレージ、メールソフト、オフィスソフトなど、様々な業務システムがクラウド上から入手可能です。
クラウドサービスのメリット
リソースの問題でIT設備にコストをかけられない中小企業やベンチャー企業を中心に広がったクラウドサービス。近年は大企業の基幹システムにも採用が進んでおり、オンプレミス形式からの転換が進んでいます。
クラウドサービスの主なメリットを解説します。
1.低コスト
機器の設置、ソフトウェアのアップデート、保守作業の費用が不要なクラウドサービスは、設備費用のみならず人件費においても低コストでの運用が可能です。
2.スピード構築
オンラインで基本情報の入力やサービスの選択を行うだけで利用開始ができます。通常、オンプレミス型の環境構築に数週間かかるのに対して、クラウドサービスなら1日で構築が可能です。
3.規模の拡張・縮小が容易
クラウドサービスの多くは使った分だけ支払う従量課金制。事業拡大や縮小に合わせて、オンライン上で柔軟にサービスの規模を調整することができます。
4.人材の有効活用
クラウドサービスでは、サービスを提供するベンダーがセキュリティ対策なども含めて管理を行います。オンプレミス型環境の運用には欠かせないこれらの業務をベンダー任せにすることで、その他の業務にリソースを配置することができます。
5.常に最新バージョン
クラウドサービスはベンダーによって自動でアップグレード(更新)されます。これにより、面倒なアップデート作業を行わずに常に最新のバージョンを利用することができます。
クラウドサービスについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
クラウドコンピューティングの種類
引用元:https://www.idcf.jp/img/cloud/column/public_private_img.png
クラウドコンピューティングには、パブリッククラウド、プライベートクラウドの2種類があります。それぞれの特徴を把握し、より自社の環境に合ったタイプを選択しましょう。
パブリッククラウド
オープンな形態で、企業や個人にクラウドサービスを提供しているタイプです。専用のハードウェアはなく、皆が共通のシステムを利用します。現在流通しているクラウドサービスの多くがパブリッククラウドです。
プライベートクラウド
企業・組織が専用のクラウド環境を整備し、自社やグループ企業に提供するタイプです。企業内でシステムを設計・運営できるので柔軟性がたかくなります。独自のセキュリティポリシーを適用すれば、セキュリティを強固にすることも可能です。
クラウドサービスのタイプ
クラウドサービスのタイプは、主に3つに分類可能です。互いに重なって構築されるため、クラウドコンピューティングスタックと呼ばれることもあります。それぞれの違いを解説してきます。
IaaS
IaaSは、クラウドサービスの最も基本となるタイプです。サーバー、ネットワークなどのインフラ部分を提供してくれます。OSやミドルウェア、アプリケーションは自前でのインストールが必要です。
PaaS
PaaSは、サーバーなどのインフラに加え、OSやミドルウェアまで提供してくれるタイプです。ソフトウェア、アプリケーション開発を進めるユーザーにお勧めのタイプです。
SaaS
SaaSは、インフラ、ミドルウェア、アプリケーションまですべてに担ってくれるタイプです。クラウド内のアプリケーションにアクセスすると、同じアプリケーションを全てのデバイスへ展開することが可能です。
IaaS、PaaS、SaaSについてはこちらの記事で詳しく解説してます。あわせてご覧ください。
AWSが選ばれる理由
AWS(アマゾンウェブサービス)とは、Amazonが展開するパブリッククラウドサービスです。大規模なアプリケーションの実行、企業の経営のサポートを目的としてAmazonが2006年にサービスを開始しました。
クラウドサービスにはマイクロソフトのAzure、グーグルのCloud Platform、IBMのBluemixなどがありますが、AWSはシェアの約3割と断トツのシェアを占めています。月間100万以上のアクティブカスタマーを有し、1秒間で100万回のリクエスト処理を行っている巨大なサービスです。
AWSが、世界中から選ばれトップシェアを守り続ける理由としては、以下のような理由が挙げられます。
1.コスト
使った分だけ課金される重量課金制、定期的に行われる値下げなどコスト面で優れる
2.柔軟性
必要に応じてサーバー、メモリ、CPUのサイズを柔軟に変えられる
3.豊富なサービス
125種類のサービスの中から、使いたいものだけ選択して利用出来る
4.耐久性
サーバーを世界中に分散させることで、高耐久性を獲得している
5.セキュリティ
第三者監査によりチェックが行われることで、高いセキュリティを確保
カテゴリーも豊富で、データベース、ストレージ、コンピューティング、分析、ネットワーキング、管理ツール、IoT、セキュリティなど幅広く選択できます。ほとんどのサービスは初期費用が無料で、1秒単位での課金制です。詳しく料金を知りたい場合は、公式で配布されている「AWS 簡易見積もりツール」を利用すれば計算できます。
AWSのメリット
AWSは「初期費用が無料、コンピューター機能を迅速に提供できる」というクラウドコンピューティング特有のメリットに加え、以下の4点で他社サービスと差別化されます。
・amazonが過去10年で70回以上の値下げを行っており、低コストで利用できる
・最先端のクラウドサービスが160個以上と豊富に用意されている
・データセンターが世界中に設置されており、データ障害や大規模災害時にリスクを分散できる
・ISO 27001、SOC、PCI Data Security Standardなど、様々なセキュリティ標準の要件を満たしている
日本語によるサポートも24時間365日対応となっており、「信頼性の高いクラウドコンピューティングを利用したい」という場合におすすめのクラウドサービスです。
AWSのデメリット
AWSのデメリットとして挙げられるのが、以下の3点です。
・運用の自由度は低い
・メンテナンス日には、プロバイダーのスケジュールに沿ってシステムが停止される
・初期費用が掛からない代わりに維持コストが高く、システムを大量に導入するとオンプレミス方式より高額になる
大企業で運用する場合は、無視できないデメリットになります。大和証券やオリンパスなど日本国内の大企業は、プライベートクラウド方式を選択することでデメリットを回避しています。
まとめ
豊富なサービスと構築コストの安さから世界シェアトップを維持するAWS。しかし、現在はAWS以外にも多くのクラウドサービスが存在しています。ネームバリューに左右されず、利用用途や予算、ボリュームなどの条件に合う最適なサービスを選んでいきましょう。
WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。