コールセンターをBPOするメリット・デメリット丨コスト・委託先の選び方も解説|トラムシステム
顧客と起業を繋ぐチャネルとして重要なコールセンター・コンタクトセンター。しかしゼロから開設して運用する場合、莫大なコストがかかります。オペレーターの離職率も高いため、人手不足で運用に支障をきたしている企業も少なくありません。
このような場合に解決策としておすすめなのが、業務を外部へ委託するBPOです。コールセンター・コンタクトセンターでBPOを実施する際のメリット、デメリット、委託先を選ぶポイントについて解説します。
目次
BPOとは
BPOは Business Process Outsourcingの略称です。人事、経理、営業、コールセンターなどの業務を外部に委託することにより、人員圧縮やコスト削減を図ります。自社で行っていた手間がかかる作業を専門業者に任せ、経営戦略やマネジメントといった重要業務にリソースを集中可能です。
BPOは、以下のようなサイクルで行うのが理想です。
・現状の課題や非生産的プロセスを発見する
・その中で定型化できる業務はBPOを行う
・定期的にBPOの効果検証を行い、生産性向上やコスト削減が成し遂げられたかチェックする
定期的にPDCAサイクルを回し、生産性を高める工夫を常に行いましょう。
アウトソーシングとの違い
似たような言葉としてアウトソーシングが存在します。一部業務のみを委託するアウトソーシングとは違い、企画から運用まで一括して委託するのがBPOであるという解釈が行われています。
コールセンター業務がBPOされる背景
コールセンター業務のBPO化は、1990年代以降から継続して進められてきました。バブル崩壊に伴う経済低迷に伴い、コールセンター維持に必要な人員や機器のコストが、大きな負担となったからです。
コールセンターだけでなく数多くの業務が外部委託され、企業の構造改革の助けとなりました。コールセンターのBPOは年々洗練されており、クレームや問い合わせ対応にとどまらず、電話を使った販売促進やリサーチも可能です。
インバウンド業務とアウトバウンド業務
コールセンターのBPOを検討する際、まず自社のコールセンターでどのような業務が発生しているかを確認する必要があります。基本的には、以下の2種類に分類可能です。
・インバウンド業務:顧客サポート、受発注業務、情報案内といったお客様から来た電話に対応する
・アウトバンド業務:リサーチ、セールス、テレアポイントといったお客様に電話をかける
インバウンドでは商品やサービスの問い合わせに対応できるスキルが求められ、アウトバウンドでは電話で商品やサービスを売る営業力が重要となります。BPOを進める前に、自社のコールセンター業務がインバウンド、アウトバンドのどちらに属しているか確認しましょう。
BPOのメリット・デメリット
BPOは多数のメリットが存在しますが、同時にデメリットも存在します。デメリットがもたらす被害を軽減しつつ、メリットを100%享受できる運用体制が理想です。
メリット
コールセンターをBPO化した場合、以下のようなメリットがもたらされます。
・コールセンター設置に必要な費用を節約できる
・設備や人員の管理、維持の手間がなくなる
・経験を積んだスタッフによる高品質なサービスを提供できる
コールセンター一式を自社で運用すると非常に高額となるので、それを大幅に削減できるのは大きいです。経験のあるスタッフがすぐに入手できるのも、教育や採用コストの削減となります。
デメリット
ただし、以下のようなデメリットも存在するので注意しましょう。
・外部に委託する以上セキュリティ面のリスクを否定できない
・自社の人材が育たず、ノウハウが蓄積されない
・ユーザーの声を取り入れづらくなる
これらのデメリットを回避するために、商品情報、トラブルシューティング、企業理念などをまとめたマニュアル整備も必要となります。効率を優先する場合は、マニュアル作成ごと委託できる業者を選択するのがおすすめです。
コールセンターのBPOにかかるコスト
コールセンターのBPOにはどれだけのコストがかかるのでしょうか。アウトバンド業務は要件によって大きくコストが変動するため、今回はインバウンド業務の料金体系を見てみましょう。まず、以下のような料金体系が存在しています。
・月々の費用を月額で払う月額固定型
・受電件数×コール単価で料金を割り出す従量課金型
ある程度まとまった受電がある、夜間の緊急窓口を設置する際には月額固定型がよく用いられます。逆に、問い合わせが少ないような業種では従量課金型が利用されるケースがほとんどです。
なお、どちらの料金形態でも別途「初期費用」と「月額基本料金」が必要になる点に注意しましょう。初期費用の相場は1万5000円~5万円程度、月額基本料金の相場は1万円~2万円程度です。月額基本料金は、従量課金型よりも月額固定型の方が比較的安い傾向があります。
月額固定型
コール件数を事前に決定し、その範囲内までは定額料金となります。コール件数は企業によってまちまちですが、1件あたりの単価を抑えたい場合は100~500件ほどは必要です。
コール件数を超過した分は「コールオーバー」と呼ばれ、追加料金が発生するので注意しましょう。費用相場は月額2万円程度となります。ある程度まとまったコール件数が見込まれている場合におすすめです。
従量課金型
受電件数×コール単価によって料金を割り出すため、コール件数がさほど多くないコールセンターにおすすめです。 1件あたり300~1,000円が相場ですが、専門的な案件の場合は単価が上昇します。まとまったコール件数が見込まれる場合、割高となるので注意しましょう。
コストは要件によって変動する
コールセンターで行う業務の要件によっても、コストは変動します。
・電話の一次受け
・メールやチャットによる対応
・予約受付
・クレーム対応
・テクニカルサポート
全ての業務をサービスとして取り入れると当然ながらコストは高騰します。自社の業務で必要な業務を事前に洗い出し、必要最低限のみ取り入れましょう。
委託先の比較ポイントとは
最後に、BPOを依頼する委託先の比較ポイントを解説します。数ある企業、サービスの中から自社に最適なものを選択し、コールセンターのBPOを成功に導きましょう。
コスト
料金が安い委託先を選択しがちですが、コストが低い代わりにサービスの質が不十分なケースもあるので注意しましょう。複数の委託先から見積もりを取り、自社で求められる要件とコストのバランスを意識する必要があります。
セキュリティ体制
不正アクセスやサイバー攻撃で機密情報、個人情報が漏洩すると、企業の社会的信用が失墜してしまいます。そのような事態を防ぐため、委託先のセキュリティ体制はきちんと確認することはもちろん、担当するオペレーターのセキュリティ意識もチェックしましょう。
対応品質
オペレーターの対応品質は、委託先を選ぶうえで重要なポイントです。顧客満足度に関わってくるのはもちろん、アウトバンド業務では販売ルートや業績の向上につながります。対応品質を観察し、業務を任せる実力があるかチェックしましょう。
突発的な要件への対応速度・柔軟性
表向きは優れていても、突発的な要件への対応速度、柔軟性が不足していると、コールセンターの運用に支障が出ます。繁忙期にはオペレーターの人数を増やす、キャンペーン期間中は対応する曜日や時間帯を増やすなどの対応が可能かどうか確認しておきましょう。
情報共有力
近年のコールセンターは、電話、メール、チャット、SNSといった様々なチャネルでユーザーとやり取りしています。こういったコール(電話)だけでなく、様々なチャネルに対応したセンターは、顧客との総合的な接点(コンタクト)を担う部署としてコンタクトセンターと呼ばれています。
コンタクトセンターにおいては、どのチャネルから来た情報も、もれなく社内で共有する情報共有力が欠かせません。情報を円滑に共有できるシステムを備えているかどうか確認してみましょう。
実績
最後に、実績も欠かさず確認しておきましょう。自社と規模や業種が共通している企業での実績が豊富なら、安心して任せられます。取引がある企業のインタビュー記事をホームページに実績として掲載している場合もあるので、それらの情報を見てみるのもよいでしょう。
まずは現状の課題を認識することから
今回は、コールセンターで近年流行しているBPOについて解説しました。BPOの最大の目的は、組織のスリム化と生産性の向上です。そのためにはまず、現状の課題を発見することが重要となります。定型的な業務はBPO化し、無駄な業務を削ることで、社員をより生産性の高い業務に従事させましょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。