主要サーバ解説|DHCPサーバ|トラムシステム
サーバーとは
サーバーとはクライアントへサービスを提供するコンピューターのことを差します。サーバーとクライアントはプロトコルという通信の規約に則り通信を行います。クライアントは主にPCやスマートフォンになりますが、サービスによってはサーバもクライアント側になります。様々なサーバーを紹介します。
機能やサービスを提供する目的を解説
DNSサーバ
管理しているドメインのホストサーバーに対するIPアドレスを主に管理しています。ホスト名は人間が覚えやすいように任意の英数字を用いていますが、ホストのIPアドレスを指定しないと通信は規約上利用できません。クライアントはホストサーバのIPアドレスをDNSサーバに問い合わせをします。
・キャッシュサーバー
社内のクライアント用のサーバー。管理しているドメインには社内のクライアントのみ利用できるサーバの情報が登録されております。
管理していないドメインの問い合わせについてはキャッシュサーバーが、インターネット上のDNSサーバに問い合わせをし、クライアントに回答します。
・コンテンツサーバー
外部のクライアント用のサーバー。DMZに配置し外部に公開しているドメイン内のサーバーに関する問い合わせに対して回答します。
・NTPサーバー
NTPサーバーとやりとりすることで、クライアントのシステムクロックを正しい時刻に調整することが可能となります。
NTPサーバーは階層構造となっており最上位は原子時計やGPSなどで時計を正確に自己調整できる特殊な機材となっております。
DHCPサーバーとは
DHCPサーバーは、IPアドレスを持たない端末とDHCPというプロトコルを用いてやり取りしIPアドレスを配布します。端末は配布されたIPアドレスを自動で登録するためユーザーが設定する手間が省けます。又、IPアドレスだけでなくDNSサーバーのIPアドレスの情報も配布します。
サーバーにより払い出されたIPアドレスはリース期間があります。端末はリース期間が切れる少し前にDHCPサーバへ再要求することで同じIPアドレスを利用し続けることができます。リース期間内に再要求ができなかった場合、使用していたIPアドレスは別の機器に払い出す可能性があります。各端末が保持しているMACアドレスとIPアドレスを紐づて登録することも可能で登録しているMACアドレスの端末は常に同じIPアドレスを利用できます。
これにより、IPアドレスを設定せずとも同じIPアドレスを利用し続けることが可能です。サーバーのIPアドレスは通信を安定させるために常に同じIPアドレスを利用する必要があります。そのためDHCPサーバーに設定している払い出すIPアドレス群の範囲外のIPアドレスをサーバーに設定します。
IPアドレス自動取得の仕組み
IPアドレスが配布されるまでにクライアント、DHCPサーバー間で下記のやりとりが行われます。
■DHCP DISCOVER
SrcMAC: AA:BB:CC:AA:BB:CC
DstMAC: FF:FF:FF:FF:FF:FF
SrcIP : 0.0.0.0
DstIP : 255.255.255.255
クライアントがDHCPサーバーを探すための通信になります。通信を行う際は、送信元のMACアドレス・IPアドレス、宛先のMACアドレス・IPアドレスの指定が必ず必要になります。ScrMACはあらかじめベンダーにて割り当てられたMACアドレスとなり、宛先のアドレスは不明のためそれぞれブロードキャストになります。
■DHCP OFFER
SrcMAC: DD:EE:FF:DD:EE:FF
DstMAC: AA:BB:CC:AA:BB:CC
SrcIP : 192.168.10.250
DstIP : 192.168.10.11
クライアントからDHCP DISCOVERメッセージを受け取ったDHCPサーバーは、クライアントにメッセージを返します。
メッセージ内には割り当て候補のIPアドレス情報等が含まれております。
■DHCP REQUEST
SrcMAC: AA:BB:CC:AA:BB:CC
DstMAC: FF:FF:FF:FF:FF:FF
SrcIP : 0.0.0.0
DstIP : 255.255.255.255
DHCPサーバーからDHCP REQUESTメッセージを受け取ったクライアントは、割り当て候補のIPアドレスを正式に取得要求します。
■DHCP ACK
SrcMAC: DD:EE:FF:DD:EE:FF
DstMAC: AA:BB:CC:AA:BB:CC
SrcIP : 192.168.10.250
DstIP : 192.168.10.11
DHCPサーバーは、DHCP ACKメッセージを返します。メッセージには貸し出すIPアドレスやサブネットマスク、貸出期間が含まれております。
DHCPリレーエージェント
DHCPはブロードキャスト通信を利用することにより、同じセグメント内のDHCPサーバへ要求をすることができます。パソコンは用途や部署によりセグメントを分ける必要があり、セグメントの数だけDHCPサーバーを用意するのは現実的でありません。一般的にはDHCPリレーという機能を利用します。
DHCPリレーはパソコンのデフォルトゲートウェイとなる機器にDHCPリレーの機能を有効にし、DHCPサーバーのIPアドレスを明示する設定をすることで利用できます。DHCPリレー機能が有効なルーターはDHCP DISCOVERの通信を検知すると、DHCPサーバーへ通信を中継します。ルーターは、送信元IPアドレスを、DHCPクライアントと同じセグメントで自身に設定されているIPアドレスにします。DHCPサーバーは送信元IPアドレスから、払い出すセグメントを判別することが可能になります。
ダイナミックDNS
サーバーがDHCPクライアントとしてIPアドレスを自動取得し、DNSサーバーにAレコードの登録している場合に活用します。通常ではDHCPクライアントのIPアドレスが変更になった場合でも、AレコードのIPアドレス部分は更新されません。ダイナミックDNSを活用にすることにより更新することが可能になります。専用のクライアントソフトを使用することにより、ソフトがIPアドレスを変更を検知し、即座にDNSサーバに通知を行います。通知を受けたDNSサーバーはAレコードのIPアドレス部分を更新します。
まとめ
端末が利用するIPアドレスは各ユーザーにて入力することも可能ですが、入力に間違いが生じる可能性があります。DHCPサーバーを利用することでIPアドレス設定の煩わしさや設定ミスを回避することができます。大変便利ですが、使用している固定IPアドレスが、払い出すIPアドレスの範囲でないこと、払い出すIPアドレスの個数以上の端末を接続させない等の配慮が必要となります。
WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。