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2022.09.15

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コールセンターの自動化4選!自動応答・チャットボットの事例も紹介|トラムシステム

近年、IVRや音声認識などを使った自動応答技術は目覚ましく進歩してきました。コールセンターやコンタクトセンターにおいても、多くの企業が自動応答を導入して業務の自動化・効率化に取り組んでいます。

この記事では、コールセンターで自動化できる業務について、自動応答やチャットボットの事例も交えながら解説します。
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コールセンターで自動化ができる業務とは

自動応答の活用により、コールセンターでは様々な業務の自動化が可能です。ここでは、自動化に関わる主要な技術である「IVR」「チャットボット」「RPA」「音声認識」を使って自動化できる業務について説明します。

IVR(自動音声応答)による電話の一次対応

IVRを使えば、電話の一次対応を自動化することが可能です。

IVRは音声による自動応答システムで、顧客が選択した番号に合わせて自動で専門のオペレーターにつなぎます。オペレーターが問い合わせ内容を聞いてから担当者へ振り分ける、電話の取り次ぐ、といった業務の自動化が可能です。

IVRの活用で、オペレーターは専門外・担当外の電話を受けることがなくなり、取り次ぎにかかる手間や時間を削減でき、自分の業務に集中できるでしょう。顧客側も待ち時間なく回答が得られるようになるため、顧客満足度の向上も期待できます。

IVRについての詳細はこちらで説明しています。あわせてご覧ください。

チャットボットによる問い合わせ回答

チャットボットは「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、顧客や従業員からの問い合わせに対し自動で回答するツールです。オペレーターを介さず、定型的な問い合わせ内容に自動で答えることができます。

チャットボットの利用によって、オペレーターは特殊な個別事例の対応に時間を割くことができるでしょう。また、チャットボットは24時間対応ができるため、顧客はホームページ上やLINEに表示されるチャットボットをいつでも利用できます。

コールセンター用チャットボットについての詳細はこちらをご覧ください。

RPAによる事務作業

RPAとはホワイトワーカー(企業の管理部門で事務労働に従事する労働者)がパソコンで行っている業務を自動化するソフトウェアロボットです。データ入力や転記など、定型的で反復性の高い業務が得意で、業務効率化や人件費削減効果が期待できます。

RPAを使えば、多くの定型作業を自動化できるようになるため、オペレーターは顧客との会話に集中しやすくなります。

RPAはオペレーターだけでなくスーパーバイザー(SV)の管理業務の効率化にも有効で、勤怠管理や申請対応、データの転記、集計といった事務作業の大部分を自動化できるでしょう。結果、分析や改善策の立案といった部分に注力しやすくなります。

音声認識による対話履歴作成

音声認識とは、AIが音声を認識してテキスト化したり、発声者を識別したりする技術です。コールセンターでの通話記録の手入力なしに自動で報告書を作成できます。

音声認識の利用により、オペレーターの報告書の入力作業にかかる時間を削減できるため、業務が効率化されます。電話対応に集中しやすくなり、オペレーターの対応品質の向上にも寄与するでしょう。

テキスト化された会話データは、NGワードの検索機能を使えばコンプライアンス強化にも使えます。SVが確認して各オペレーターへ迅速かつ的確なフィードバックができるなど、組織全体のレベルアップにも有効です。

コールセンターにおける音声認識についての詳細はこちらをご参照ください。

音声認識によるコールセンター完全自動化までの課題

音声認識はコールセンターの様々な業務を自動化します。しかし、コールセンターにおける全ての業務を自動化するには課題があるのも事実です。

ここでは、音声認識によるコールセンターの完全自動化に向けた3つの課題について説明します。

日本語の認識精度の向上

日本語の音声認識精度の向上は、業務の自動化における一番の課題と言えるでしょう。

音声認識によるテキスト化は、次のような理由により英語よりも日本語の方が精度が低いのが実情です。

・「求職」「休職」など同音異義語が多い
・「土曜」「同様」など似た発音の言葉が多い
・文法上、単語と単語の間にスペースを入れる「分かち書き」がない

音声認識の精度を高めるには、前後の文脈から正しい意味の単語を推測したり、単語を適切な場所で区切る処理をしたりすることをAIに学ばせる必要があります。

なお、日本語の音声認識の課題についてはこちらで詳しく説明しています。あわせてご覧ください。

音声品質の確保

音声品質を確保することも課題の一つです。

人が聞こえる音の周波数は20~20,000ヘルツと言われており、音声で使われる周波数の幅が広いほど人間にとって聞き取りやすくなります。電話の音声伝達に使われる周波数は300~3,400ヘルツ程度のため、コールセンターで使われる音声データは音声品質が低く抑えられてしまうのです。

また、顧客側の通話手段や周囲の環境によっては雑音が入りやすく、音声品質に影響を与えることも音声品質上の課題となっています。

参考URL:https://loopgate.jp/guides/knowledge/use-tips/guides-5600/

利用者の理解

音声認識に対し、どれほど利用者の理解が得られるかも課題です。

コールセンターへ問い合わせをする利用者の中には、音声認識により対話ができるAIがあっても、人間のオペレーターと直接話をして疑問を解決したい、という人も多いでしょう。

また、現在の音声認識の精度では、機械が認識しやすいボリューム、速度、用語で話すなど、利用者側が音声認識システムに歩み寄ることが必要です。直接オペレーターに話すよりも不便やストレスを感じさせてしまう可能性があります。

コールセンターを自動化するメリット・デメリット

コールセンターの自動化は、オペレーターやSVの業務を効率化できるなどメリットが多いのですが、一方でデメリットが存在することも理解しておく必要があります。

ここでは、コールセンター自動化のメリットとデメリットについて説明します。

メリット

コールセンターを自動化する主なメリットは次のとおりです。

1.業務の効率化

オペレーターは通話内容のテキスト化で報告書の入力作業を軽減でき、入力ミスも防止できます。また、コンプライアンスチェックや勤怠管理の自動化によりSVの負担も減り、コールセンター全体を通して業務効率化につながるでしょう。

2.人件費の削減

業務効率化に伴い、人件費を削減することが可能です。問い合わせ対応の自動化や入力作業の効率化などが実現することで、少人数での顧客対応が可能となり人件費の削減につながります。

3.対応品質の均一化

問い合わせ対応の自動化で、オペレーターによって対応レベルにばらつきが起きることを回避できます。ヒューマンエラーを防ぎ、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

4.24時間対応可能

コールセンターの自動化によって24時間の問い合わせ対応が可能になれば、利用者は時間を気にせず問い合わせを行えます。結果として、営業時間中のコールセンターの混雑も少なくなるでしょう。

5.オペレーター教育の効率化と離職率の低下

音声認識システムの活用で、SVはオペレーターに対し迅速かつ的確なフィードバックをすることが可能です。テキスト化されたベテランオペレーターの対応内容を共有し、オペレーターの教育に活かすこともできるでしょう。

音声認識システムにより得られたデータを教育へ活用することで、新人オペレーターの早期戦力化や、業務に不慣れなオペレーターの支援体制を整えやすくなり、離職率の低下にもつながります。

デメリット

たくさんのメリットがあるコールセンターの自動化ですが、デメリットもあります。コールセンター自動化のデメリット3点について説明します。

導入・運用コストがかかる

コールセンターの自動化は人件費の削減が期待できる一方で、システムの利用に導入・運用コストがかかります。

メンテナンス費用や、システムに不具合が起きた場合の修理費用もかかります。システムにトラブルがあった場合、業務フローに大きく影響が出てしまう可能性もあるため、事前に対策を考えておくことが大切です。

適切に対応できない場合がある

コールセンターの自動化技術が進んでも、どうしても適切に対応できない場合があることは認識しておく必要があります。

専門用語が多く複雑な問い合わせや、問い合わせをする側に質問をするための知識が不足している場合などは、機械が適切に対応するのは難しいでしょう。

自動対応ができない場合のために、人間のオペレーターにつなぐための仕組みや体制を準備しておく必要があります。

システムの利用に慣れるまで時間がかかる

オペレーターやSVが自動化システムの利用に慣れるまで時間がかかることも懸念されます。社内にシステム運用専門の担当者を配置することが必要となる場合もあるでしょう。

自動化システムを導入する際には、サービス提供者のサポート体制を確認しておくことも大切です。

コールセンターの自動化事例

チャットボットやIVRなど、コールセンターの自動化システムは多くの企業で活用されています。ここでは、4つの事例について紹介します。

レオパレス21

アパート・マンションの建築・賃貸などを営むレオパレス21では、コールセンターの応対品質向上とオペレーター支援のため、コールセンター向けの音声認識システムを導入しました。

音声認識システムによるコールセンターの業務効率化で、年間約2,633時間の作業時間の削減、約460万円のコスト削減効果があると試算しています。

参考URL:レオパレス21

ライフネット生命

インターネット上で保険業を展開するライフネット生命では、多くの人が使い慣れているLINEを使い、問い合わせ対応をチャットボットで自動化しています。

LINEの企業アカウントを開設したことで、従来の電話による保険相談では約4割にとどまっていた20~30代の利用が約8割まで増えました。また、チャットボットによる保険診断機能の改良により、利用者の1.5倍増加という成果が見られています。

参考URL:日経BP

パーソルワークスデザイン

BPOやヘルプデスクの支援を行うパーソルワークスデザインでは、モニタリング評価者の負担軽減と、公平なフィードバックを目的としてコールセンター向けの音声認識システムを導入しました。

高度な音声認識と通話内容の自動評価機能により、モニタリング作業にかかる工数を大幅に削減し、公平なオペレーター評価を実現することができました。副次的な効果として、オペレーターの意識向上や対応品質の改善にもつながったそうです。

参考: アドバンストメディア

JALカード

クレジットカード事業を行うJALカードでは、音声データの文字起こし作業の効率化のために音声認識システムを導入しました。

以前は録音した通話データを聞いて書き起こしていた通話内容のテキスト化作業を大幅に削減でき、膨大なマニュアルの中から必要なFAQを検索可能になりました。業務の大幅な効率化や、使いやすさから「導入前には戻れない」と高く評価されているようです。

参考: アドバンストメディア

まとめ

コールセンターでは「IVR」「チャットボット」「RPA」「音声認識」といった技術により様々な作業を自動化し、業務を効率化する取り組みが進んでいます。業務効率化だけでなく、業務の品質向上、顧客満足度の向上にも効果的です。

各技術は個別で提供されている場合の他に、コールセンター向けに統合したソリューションとして提供されている場合もあります。コールセンターの自動化を検討する際は、自社における自動化の課題や、メリット・デメリットをよく整理して導入方法を検討しましょう。


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WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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