IP電話でFAXを送受信するには?接続が不安定になる原因も解説|トラムシステム
「050」の番号から始まるIP電話は、通話料金の削減や利便性の向上などが期待できることから導入が進んでいます。
以前から使われているFAXはアナログ回線を使用しているため、「IP電話だとFAXの受信ができないのではないか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。近年利用の減っているFAXですが、仕事上FAXが必要な企業もまだまだあります。
この記事では、IP電話でFAXを送受信する際に接続が不安定になる原因や、安定利用のための手段・料金について解説します。
目次
IP電話とは
IP電話とは、インターネットプロトコル(Internet Protocol)という通信ルールを利用した電話サービスです。電話回線を使った従来のアナログ電話とは異なり、インターネットを使って通話を行います。
アナログ電話では、音声信号を電気信号として伝達しますが、IP電話は音声をデジタルデータに変換し、相手先で音声に復元する仕組みになっています。
IP電話は、アナログ電話と比べると次のようなメリットがあります。
・電話料金が安い
・固定電話と携帯電話のどちらでも使える
・音声通話に限らず、ビデオ通話など映像のやり取りもできる
・電話回線を使わないため、導入に伴う回線敷設工事が不要になる
こちらの記事では中小企業におけるIP電話利用のメリットについて詳しく説明しています。合わせてご覧ください。
IP電話でFAXは送信・受信できる?
従来のFAXはアナログ電話回線を使用しますが、IP電話でもFAXの送受信は可能です。しかし、ケースによっては接続が不安定になり正常に送受信できないことがあります。ここでは、IP通信でFAXの接続が不安定になる理由を説明します。
IP通信でFAX接続が不安定になる理由
なぜIP電話でFAXを使うと接続が不安定になるのでしょうか。
それは「多くのFAX機器はアナログ回線で使用することを前提に作られているから」です。アナログ回線とIP電話では、FAXの送受信において次の点で異なります。
・アナログ回線:音声を画像データに変換し、用紙に印刷する
・IP電話:音声をデジタルデータに変換し、相手先で音声に復元した上で画像データへ変換、印刷する
IP電話でFAXを送受信する時は「音声をデジタルデータに変換する」「デジタルデータを音声に復元する」という工程があり、これがエラーが生じる原因となります。
回線や機器などの利用環境により、FAXデータの変換や復元の最中にエラーが生じてしまったり、時間がかかったりしてしまう場合があるのです。そのため、IP電話でFAXを使用した場合に接続が不安定になることがあります。
IP電話の音質が悪い時の原因と対処法についてはこちらの記事をご参照ください。
安定した送受信ができるインターネットFAXとは
インターネットFAXとは、インターネット回線を使ってデータの送受信をするサービスです。サーバー上で従来のFAX機器に送信する場合は電気信号へ、インターネットFAXに送信する場合はデジタルデータへ自動変換する仕組みになっています。
インターネットFAXには、次の3つのメリットがあります。
パソコンやスマホでも送受信可能
インターネットFAXはデジタルデータを扱うため、インターネット利用ができるパソコンやスマートフォンでも送受信が可能です。そのため、外出先や在宅勤務中でも送受信ができるようになり、業務の効率化を期待できます。
また、専用のFAX機器や複合機の用意が不要になるためオフィススペースを広く使える、電話回線が不要で回線敷設工事の時間や手間を削減できるといったメリットもあります。
セキュリティリスクが小さい
インターネットFAXでは、従来のFAXにありがちなセキュリティリスクを下げることができます。
たとえば、放置されたFAX用紙が紛失したり、第三者に見られてしまったりといったリスクが生じにくくなります。インターネットFAXでは、電子メールのように、送受信したデータはサーバーに保存でき、アクセス制限によって必要な人だけにアクセスを限定できます。
料金が安い
インターネットFAXは専用のFAX機器や電話回線敷設工事が不要のため、導入費用を大幅に削減できます。
また、インターネット回線を利用するため、通話料金は距離に応じた加算がなく一律です。アナログ回線を使った従来のFAXより安い料金で利用することができるでしょう。
インターネットFAXの特徴や注意点はこちらの記事で詳しく説明しています。参考にしてください。
インターネットFAXで取得できる番号
インターネットFAX用として取得できる電話番号には、どのようなものがあるのでしょうか。2022年現在、次の3種類を使用可能です。
・0ABJ番号
・050番号
・その他
ここでは、それぞれの番号のメリット・デメリットについて解説します。
0ABJ番号
「0ABJ」番号とは、「03」「06」などの、いわゆる市外局番のついた電話番号です。
メリット
信頼性が高くビジネス利用に適している
デメリット
「03」の市外局番を使う東京以外の地域では、市外局番を取得できるインターネットFAXサービスが少ない
050番号
「050」番号は地域によらず取得できる電話番号で、IP電話で一般的に使われています。
メリット
全国共通で使えるため、オフィス移転や引っ越しの際も変更する必要がない
デメリット
0ABJ番号と比較すると信頼性に劣り、番号から地域はわからないため、ビジネス利用時は注意が必要
その他
あまり利用されることはありませんが、ポケベル用の「020」番号などもインターネットFAXでは使用できる場合があります。
メリット
インターネットFAXを受信するだけであれば月額利用料金が無料
デメリット
信頼性に欠けるため、ビジネスで利用する場合は注意が必要
インターネットFAXの料金
料金が安いというメリットのあるインターネットFAXですが、実際のところどの程度かかるのか気になる方も多いでしょう。
料金プランはインターネットFAXサービスを提供する会社によって異なります。次の表は、複数のインターネットFAX事業者の料金をもとに、平均的な利用料金を独自にまとめたものです。
なお、サービスによっては受信無料、送受信は何枚/月まで無料といった料金設定もあります。導入の際には自社での利用に適したサービスを選ぶようにしましょう。
クラウドPBXなら既存のFAX番号そのままで導入可能
FAXの新規導入・切り替えの際、電話番号が変わってしまう場合があります。電話番号が変わってしまった場合、関係先への連絡や、名刺やホームページ、行政上の書類などに変更の手続きが必要となり、手間となってしまいます。
クラウドPBXを使えば、現在使用しているFAX番号を変えずに導入することも可能です。
クラウドPBXとは、ビジネスフォン用のPBX装置をオフィス内ではなくクラウド上に設置したITサービスです。インターネットを通じてクラウド上のPBXにアクセスすることで、従来のオンプレミス(据え置き型)PBXと同様に、内線や外線、転送などの電話機能が使用できます。
クラウドPBXはインターネット回線があればどこでも利用でき、設置工事が不要なので導入がずっと容易になります。
以下、クラウドPBXでFAXを導入する方法について見ていきましょう。
クラウドPBXでFAXを導入する方法
クラウドPBXではFAXでもインターネット回線を使用します。クラウドPBX導入後にFAXを使いたい場合は、次の方法が考えられます。
(1)変換アダプターを使って、従来のFAXを使用する
(2)FAX番号をアナログ戻しし、従来のFAXを使用する
(3)FAX用の電話番号を新規取得し、既存のFAX番号から転送する
(4)インターネットFAXを使う
このうち、電話番号を変えたくない場合は、(1)または(3)の方法を用います。それぞれ使える状況が違いますので、以下で詳しく見ていきましょう。
変換アダプターを使う
現在のFAX番号がアナログ回線の場合、クラウドPBXを使ってFAXを導入するためには、変換アダプターを使います。
変換アダプターとは、アナログデータをデジタルデータに変換するための装置です。アダプターで既存のアナログ用FAX機器とクラウドPBXを接続し、FAXのデータをデジタルデータとしてクラウドPBX経由で送受信します。
この方法であれば、そのままのFAX番号を使える上、使い慣れたFAX機器をそのまま利用できるため、利用者にも負担がありません。ただし、データの変換が生じるため、やはり不安定になる場合がありますので注意してください。
FAX用の電話番号を新規取得し、既存のFAX番号から転送する
この方法では、クラウドPBXでのFAX用に電話番号を取得し、既存のFAX番号に来た通話(FAX)を転送します。
この方法もFAX番号を変える必要がなく、使い慣れたFAX機器をそのまま利用できるメリットがありますが、FAXで生じる通話料に加えて転送料金がかかるため、コストが高くなるのが欠点です。
クラウドPBXを使うために、一度新規の電話番号を取得しておけば、その後は引っ越しがあっても番号を変える必要はなくなります。可能なら、将来を見越してFAX用の電話番号を新規取得しておくのも1つの手です。
クラウドPBXの仕組みについての詳細は、こちらの記事が詳しいので、ぜひご覧ください。
まとめ
IP電話でもFAXを送受信することは可能です。しかし接続が不安定になるケースがあるため、可能であれば、動作が安定するインターネットFAXに乗り換えを検討しましょう。インターネットFAXならコスト面やセキュリティ面でもメリットがあります。
また、FAX番号を変更したくない場合は、変換アダプターや転送を使う方法があります。いずれの方法も短所があるため、FAX番号を維持するメリットと相談して決定しましょう。
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WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。