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2024.09.26

ディープラーニング / 機械学習 / AI / チャットボット /

ディープラーニングをわかりやすく解説丨機械学習・AIとの違い、仕組み|トラムシステム

「ディープラーニング」は、既存の機械学習を超えるAIとして注目されています。これまでデータ化が難しかった音声、画像、言語の特徴などの複雑なデータを学習させることが可能だからです。従来の人工知能より学習効率や精度が格段に向上しているのが特徴で、音声認識や自然言語処理、画像認識などあらゆる部分で導入が進んでいます。

ディープラーニングを搭載した技術としてはチャットボットや自動運転が存在しており、人手不足解消や業務効率化が求められる現代社会にとって欠かせない存在となるでしょう。本記事では、ディープラーニングの仕組み、特徴、 歴史やできることについて分かりやすく説明します。

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ディープラーニング(深層学習)とは

ディープラーニングとは、人の脳神経を模倣したニューラルネットワークを多層に結合した機械学習で、現在のAIアルゴリズム技術の中核を占める技術です。

今までのAIには、簡単な問題しか解けない、データを覚えさせるのに時間がかかる、といった難点がありましたが、ディープラーニングなら複雑な特徴を持つデータを短期間で大量に学習することができます。
その理由は、AIがデータのどの部分を参考にして学習を行うか判断するのに必要な要素である「特徴量」を、ディープラーニングは自ら判断することができるからです。
人が学習のたびAIに特徴量を指定する必要がなくなり、学習効率と精度が飛躍的に向上するだけでなく、音声や画像といった複雑なデータを学習できるようになりました。

ディープラーニングの歴史

ディープラーニングが注目されるきっかけは、AIの画像認識精度を競うコンペティション「ILSVRC」です。2012年にトロント大学が開発したディープラーニング搭載の画像認識システム「Super Vision」が、名だたる研究機関をおさえ圧倒的精度で優勝を果たし、急速に研究が進みました。

2015年にはGoogleが開発した囲碁プログラム「AlphaGo」がプロ囲碁棋士に勝利するなど、一部分野で人間を上回る性能を発揮しています。

AI・機械学習との違い

ディープラーニングと類似する概念として語られることが多い機械学習ですが、正確には「ディープラーニングが機械学習の一種である」と言えます。古くからAI技術のジャンルとして機械学習が存在しており、機械学習をより進化させた存在としてディープラーニングが開発されました。
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
AI・機械学習との違い

AI(人工知能)とは

AI(人工知能)とは「Artificial Intelligence」の略です。定義は研究者や媒体によって異なりますが、多くの場合「人間のように作られた知能あるいはそれを作る技術」と呼称されます。
機械学習やディープラーニングもAIの一種です。研究の歴史は古く、1956年アメリカで開催されたダートマス会議で早くも「人工知能」という言葉が誕生しています。
現在研究が進んでいるAIには、2つの種類が存在しています。

・汎用型AI
人間と同等あるいはそれを上回る知識を持つAIです。与えられた情報を元に自ら思考し、人間とそん色ない判断を下すことができます。別名として強いAIとも呼ばれます。ただし、2021年時点で汎用型AIはほぼ存在しておらず、機械学習やディープラーニングも該当しません。

・特化型AI
限られたタスクのみ人間並みの思考及び判断力を有するAIです。囲碁に特化したプログラム「AlphaGo」はその典型と言えるでしょう。他にもチャットボット、人工知能など現在研究が進んでいる技術はほとんどが特化型AIです。

機械学習とは

機械学習は「Machine Learning」とも呼ばれ、AIが明確な指示なく自律的にデータを学習していくAIの一分野です。分析を通じてデータのパターンやルールを発見し、判断や予測を行います。
ただし、データの中で特徴量(どの要素が結果に影響に及ぼしているか判断するための要素)がどこかは人間が判断し、その都度AIを調整しなければなりません。
例えば、リンゴの特徴を画像データから学習させる場合、色や形といった重点的に学習すべき特徴量を事前に指定する必要があります。
機械学習の学習方法には、以下の3種類が存在しています。

・教師あり学習
事前に用意した膨大な正解データを学習させた後、正解を明示していないデータをインプットし、正解データをもとに認識や予測を行います。代表的な手法は、データが属するカテゴリーを判定する「分類」や1年後の売り上げなど数値を予測する「回帰」です。

・教師なし学習
正解データは用意せず、データの構造を分析して特徴やルールを見つけ出し、グループ分けを行う「クラスタリング」やデータを簡略化する「次元削減」を行います。

・強化学習
AIの選択や行動に報酬を設定し、報酬が最大化するよう改善させていく学習方法です。初めて自転車に乗った子供が、失敗を繰り返しながら徐々に習熟していくようなイメージとなります。

ニューラルネットワークとは

ニューラルネットワークとは、人間の脳神経の仕組みを模倣した、機械学習の一種です。人間の脳機能を構成するのは、神経細胞ニューロンと、ニューロン同士を接続する神経回路網シナプスです。ニューロンはシナプスを使い、別のニューロンに電気信号による情報伝達を行うことで、脳の思考や判断を決定させています。
ニューラルネットワークではこのニューロンをノード、シナプスをエッジとして再現しますが、ノード同士を連結するエッジは、1つ1つ情報の伝達しやすさが違うのが特徴です。

例えばAさんが「遊園地に行くか行かないか」を判断する時に「天気がどうなっているか」「誘っていた友達が来てくれるか」という2つの判断基準があるとします。
天気はあいにくの雨でしたが、 Aさんは友達が来てくれるため「遊園地に行く」と判断しました。つまり「天気がどうなっているか」より「誘っていた友達が来てくれるか」の方が重要度が高かったため、行くことにしたのです。
このように、なんらかの思考や判断を導き出すために必要な情報の重要度は1つ1つ違っており、これをニューラルネットワークでは「重み」と呼びます。エッジに設定された重みをそれぞれ調節することで、ニューラルネットワークはより人間に近い思考が可能なのです。
人間のような思考を再現するため、ニューラルネットワークはノードと重みがそれぞれ違うエッジを入力層、隠れ層、出力層の3層構造にし、データの学習や分析を行っています。

・入力層
分析や判断に必要なデータを入力するノードです。先程の例では「天気がどうなっているか」「誘っていた友達が来てくれるか」の2つが該当します。

・隠れ層
エッジを通じて調節された入力層の情報を受け取り、分析を行うノードです。例の場合は「天気は雨だけどさほど嫌ではない」「誘ってくれる友達が来てくれるから行こう」といった判断を出力層に返します。

・出力層
隠れ層からの情報をもとに判断や分析を出力するノードです。例では最終的に「遊園地に行く」という判断を出力するはずですが、もし「遊園地に行かない」といった想定と違う判断を下した場合は再設計が必要となります。


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ディープラーニングの仕組み

ニューラルネットワークの隠れ層の層を増やす、すなわち多層にしてよりディープな判断や思考を可能としたのがディープラーニングです。隠れ層は導き出したい情報に応じて自由にデザインできるため、より実用的なシステムを構築可能となります。

一見単純かつ効果的な手法に見えますが、理論通りに再現できることが難しく研究は下火でした。なぜなら、隠れ層を多層すればするほど学習速度が低下する「勾配消失問題」という課題が存在していたからです。
これは、ニューラルネットワークの計算方法である「誤差逆伝播法」が原因でした。
誤差逆伝播法はランダムに決めた重みを元に計算を繰り返し、予測と正解の誤差を利用して学習を進める手法です。ですが、隠れ層を重ねると計算量が膨大となり、うまく学習できなくなる「勾配消失」が発生します。これにより長年隠れ層を多層に出来なかったため、他の手法より性能が向上しませんでした。
この「勾配消失問題」を解決するため2006年に発表された技術を「オートエンコーダ」と呼びます。入力層のデータを隠れ層で圧縮して重要な特徴量を抽出した後、再度元の次元に復元処理する技術です。

特徴量を抽出できるだけでなく、ランダムに決めていた重みを事前に学習するため、勾配消失を防ぐこともできます。これにより、ようやく隠れ層をディープに重ねるディープラーニング実現の目途が立ちました。ただし、技術の発展によりオートエンコーダそのものは現在利用されておらず、派生技術を用いるのが一般的です。

ディープラーニングの学習方法

ディープラーニング自体にも複数の学習方法が存在しており、用途に応じて使い分けられています。それぞれニューラルネットワークの構造が異なり、活用できる分野も違うため、業務で利用する際は注意が必要です。

学習方法画像

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)

画像認識の分野で活躍するニューラルネットワークで、物体検出や領域推定に用いられています。入力された画像を画素の大きさまで切り取り特徴量を抽出する「畳み込み層」と、特徴量を圧縮して不要な部分をさらにそげ落とす「ブーリング層」で構成されており、この2つの処理を繰り返すことで画像認識を行う仕組みです。

RNN(再帰型ニューラルネットワーク)

言葉の意味を認識する自然言語処理の分野で活用されているニューラルネットワークです。文脈を読み取るのに必要な時系列情報を認識できる「自己回帰型」の構造が特徴で、機械翻訳や音声認識でも欠かせない技術です。ただし、時系列が長くなると情報が上手く伝達されないという弱点も存在します。

LSTM(Long Short Term Memory)

NNの発展形で、ある程度長い時系列データも学習できるよう改良されたニューラルネットワークです。学習状況を保存する「メモリセル」や不要と思われる情報を消去する「忘却ゲート」が備わっており、重要なデータのみ残しつつ効率よく学習できます。「Google翻訳」やスマートスピーカー「アレクサ」にも搭載されている技術です。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

画像を生成する際に用いられるニューラルネットワークで、画像データを出力する「生成器」と画像が本物かどうかを識別する「識別器」で構成されています。互いは文字通り敵対関係にあり、生成器はより本物に近い画像を生成し、識別器はより正確に画像の真偽を判別して、互いの精度を高めていくのが特徴です。本物の人物そっくりの画像を生成する「ディープフェイク」やテキストデータを用いた画像生成に用いられます。

ディープラーニングでできること

ディープラーニングがどのような分野で導入されているか見ていきましょう。
まだまだ発展途上の技術であり、市場も急速なスピードで成長しているため、本記事で書いている事例のみを参考にせず、日頃からディープラーニングの情報に触れておくのがおすすめです。

できること画像

画像認識

画像に映っているものの特徴から、何が映っているか識別する技術です。2012年の「Super Vision」の時点で高精度を記録しており、ディープラーニングを利用した技術の代表例と言えます。
製造現場の不良品発見や監視カメラでの不審者発見などに利用されており、人手不足解消や業務効率化に貢献しています。また、道路上の標識や歩行者を識別する必要がある自動運転にも必須です。

音声認識

音声認識とは、音声データをテキストデータに変換する技術です。長年研究が続けられていましたが、ディープラーニングの登場によって精度が飛躍的に向上しました。入力された音声データを認識しやすいデータに変換する「音響分析」から、単語を文章化する「言語モデル」に至る作業を1つのニューラルネットワークモデルで実現可能となり、膨大な情報量を処理して特徴量を抽出できるからです。
主にコールセンターでの活用が進んでおり、様々なサービスが台頭しています。
コールセンターでは、以下のような用途で音声認識が用いられています。

1.文字起こし
人間の手で行われていた録音データの文字起こしを自動で行う技術です。オペレーターの作業負担を軽減するだけでなく、テキスト化することでデータとしての分析が容易となります。

2.感情分析
顧客の音声から感情にまつわる特徴量を抽出し、感情をデータ化する技術です。応対中の顧客がどのような感情を抱いているかが分かるようになり、品質向上やコミュニケーションの研究を行えます。

3.問題発見
オペレーターの応対をリアルタイムでテキスト化し、要注意ワードを検出する技術です。これまでSV(スーパーバイザー)が人力で行っていたモニタリングの負担を軽減し、問題発生の見逃しを防ぎます。

自然言語処理

人間の使う言語の意味をAIが認識し、適切なアクションを起こすシステムです。機械翻訳、テキストマイニング、対話システムの実装で重要となる分野で、スマートスピーカーには音声認識と併せて搭載されています。文脈の読み取りなど、人間の感情が絡むより複雑な処理も可能です。

システムの最適化

人間のキャパシティを超える膨大なデータと計算力を活用し、生産、物流、災害対策の最適化を行います。一人一人の生活様式にあった都市づくりを目指す「スマートシティ構想」でも重要視されており、今まで人間が発見できなかった改善ポイントや課題の発見が可能です。

異常・異変の探知

他のデータと比べて異常な動きをする状況を検知し、予防や対策を行う分野です。これまでクレジットカードの不正利用や金融システムの異常は人間が認識するのは困難でしたが、ディープラーニングであれば過去のデータをもとにすばやく発見可能です。ただし、大量のデータと高精度システムが必要となります。

ディープラーニングの課題

このように進化が続いているディープラーニングですが、課題や現在の技術では実現が難しい分野も存在します。

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大量の学習データが必要

適正な学習をさせるためには、情報を網羅した大量のデータが必要になります。データ量が不足していたり、情報が不足していると、精度の低い結果となってしまいます。

結果に対する根拠がわかりづらい

ディープラーニングは非常な複雑な処理をするため、どのような根拠により導き出された結果であるか理解することは困難です。これは「ブラックボックス問題」と呼ばれ、ディープラーニングを使用する際の課題となっています。
近年では、このブラックボックス問題を解決するための新たな研究も進んでいます。

過去の学習を忘れる「破局的忘却」

特定のデータを学習した後、新たに別のデータの学習をすると、過去に学習したデータを忘れてしまう「破局的忘却」という特性があります。破局的忘却は回避する方法がありますので、新たなデータを学習させる時には留意が必要です。

複数人同時の音声認識

一人で話すスピーチの場合は高い精度をもって認識できますが、複数になると途端に精度が低下します。「複数の声の中でどうやって分析対象を見分けるか」はディープラーニングにとっても難しい問題です。

まとめ

今度ビジネスを展開する企業にとってディープラーニングを始めとするAIは欠かせない存在となるでしょう。今後も新たな発展を遂げ、今までにない技術の実現が数多く生まれることは確実といえます。未来を見据え、自社にとって最適な技術を取り入れていきましょう。


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WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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