IBMCloudとは?|IBMCloudを分かりやすく解説します|トラムシステム
従来のオンプレミス型のシステム構築から、短納期で構築できるクラウドサービスを利用したシステム構築にシステム構築の方式がだんだん移ってきており、クラウドサービスを利用することでこれまで実現が難しかった堅牢なシステムの準備や低稼働によるシステムメンテナンス等が実現できるようになってきました。
一方、これからクラウドサービスを利用してシステム構築をしたいと考えている方からは、
「そもそも、クラウドサービスってどういうのだっけ?」
「IBMCloudってよく聞くけど、どうなの?」
「IBMクラウドについてもっと詳しく確認したい」
といったお話をよく聞きます。
そこでこの記事では、これからクラウドサービスを検討し始める方やIBMCloudについて情報収集している方向けに詳しく解説していきます。この記事を読むことで、クラウドサービスの特徴やIBMCloudについて詳しく理解できるため、今後のクラウドサービス利用やIBMCloud利用を検討する際に役に立つことでしょう。
目次
クラウドサービスとは
クラウドサービスとは、これまで自社で保有、管理していたデータや仕組みをインターネットを通じてサービスとして利用する仕組みのことであり、コンピューターとインターネット環境があればどこにいても同じ品質のサービスを受けられるということもあって、最近導入が急速に進んでいます。
そもそもクラウドとは、クラウドコンピューティングと言われており、技術者たちがインターネットサービスの概念を整理する際にどこにも存在していない対象を表現するために雲の絵を使っていたことからクラウドという名前が登場したと考えられています。
いままでであれば、メールやデータの分析や活用、保存と行った作業はすべて自社のコンピューターにアプリケーションをインストールして設定し、ハードディスクにそのデータを保存しながら利用しなければなりませんでした。
そのため、システム構築に莫大な費用がかかる上、構築したシステムを安定稼働させるために保守体制を組んで保守メンバーを24時間365日働かせる必要があったり、常に訪れるセキュリティホールに対応するため、定期的なバージョンアップなど、システム構築後もかなりの費用が必要でした。
それがクラウドサービスの普及により、パソコンやタブレット、スマートフォンなどデバイスに依存せずにいつでもどこでも利用でき、加えてシステム構築からシステムの保守運用、セキュリティ対策などが不要になりました。今後もますます便利になってきているクラウドサービスは更に利用が促進されることでしょう。
このクラウドサービスは、提供形態によって3つに分類されています。
SaaS(Software as a Service)
SaaSはサースと呼ばれ、インターネット経由でメールやグループウェア、チャットから顧客管理、財務会計などの様々なソフトウェアに関連する機能をインターネットを通じて提供する利用形態です。従来はASP(Application Service Provider)と呼ばれ比較的馴染みのあるサービス形態と言えるでしょう。
PaaS(Platform as a Service)
PaaSはパースと呼ばれ、インターネットを通じてクラウドサービス事業者が用意したアプリケーションの開発環境や実行環境として利用するもので、主にスマートフォンやWebアプリケーションの開発などをするための開発基盤やツールが整備されています。
IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSはイアースと呼ばれ、インターネット経由でシステムのインフラを提供するサービスであり、Webサーバーやアプリケーションサーバ、ストレージ、ネットワーク機器など、利用者が欲しいときに欲しい量を準備してオンデマンドに仮想環境を構築できるサービスです。
このようなクラウドサービスを使って戦略的にビジネスを進めているのが、これから紹介するIBMCloudとなるわけです。
IBMCloudとは
IBMCloudとは、IBM社が提供しているクラウド環境であり、あらゆる企業のニーズに対応させたり、すぐにAI(Watson)が使えたり、徹底されたセキュリティ対策に基づいた堅牢なシステム提供と行ったビジネスを進めていく上で必要となる機能をワンストップに提供できるクラウドサービスです。
InterConnect 2017で発表されたIBMクラウドのクラウド戦略によると、Enterprise strong、Built for data、Cognitive to the coreの3つがIBMクラウドの重要な位置づけとなっています。
Enterprise strongは、企業のデジタルトランスフォーメーションを実現するために必要な各種機能(大企業が求める水準の機能提供、堅牢なセキュリティ、高い信頼性など)を提供することを意味しています。Built for dataは、これまで自社では蓄積できなかったデータに関して、IBMCloudを利用することで様々なデータを蓄積、活用できるようになるというもの、最後のCognitive to the coreは、IBM社の独自コグニティブ技術を活用することで新しい価値を提供するというものです。
このようにIBMは今後さらなる発展が期待されるクラウド事業において、自身の強みと将来を見越した戦略を取ることで、新しい領域でのポジショニングを取るべく、事業を推進しています。
IBMCloudの仕組み
それでは、IBMCloudについて理解したところで、IBMCloudの事例を踏まえながら、IBMCloudについて理解を深めていきましょう。
日本航空株式会社
日本航空では、飛行機の整備をする際、過去の整備履歴やフライトに関する情報はオフィスにある複数のシステムを確認する必要があり、加えて整備に必要となるマニュアルを参照する場合には、無線でオフィスに連絡した上で印刷して持ってきてもらうため、依頼から確認までに多くの時間を使っていました。
また、運行状況の変更や到着地点、時間の変更には現場では確認する手段がないため、常に無線でのコミュニケーションで業務を遂行する必要があったため、効率的な整備を進めるためには新たなシステム導入が求められていました。
そこで、IBM Mobile Foundationを活用することで、飛行機の整備をする現場と整備機関や運行システムとのデータ連携を可能とするモバイル環境を構築することで、どこでも情報閲覧が可能になり、またコミュニケーション内容も印刷などの依頼からより細かい内容の確認ができるまで質も向上しており、より高い付加価値あるサービス提供も可能になりました。
株式会社ゼンリン
ゼンリンでは、従来から位置情報を活用したデータ提供やソリューション提供を行ってきましたが、お客様ニーズの多様化により、柔軟なデータ提供ができる仕組みの構築が必要でした。
そこで、データの一元管理と柔軟なデータの提供ができる基盤を準備するため、IBM API Connect for IBM Cloudを採用してIBM Cloudを通じてAPIを公開。他企業が提供するデータと組み合わせることで、これまで実現できなかった高い付加価値サービスを提供できるようになりました。
株式会社みずほ銀行
インターネットバンキングと連携させるためにFinTech企業が行っていたスクレイピング機能が銀行側に高負荷となっており、今後積極的に事業を展開していくためには、顧客保護の観点からも高いセキュリティとデータ提供ができる基盤が必要だった。
そこで、IBM Cloud、IBM API Connect、IBM DataPower Gatewayを活用することで、他の企業から必要とされるAPIをスピーディに提供できるようになりました。
その結果、APIを活用した実証実験に積極的に取り組むことができ、数多くのFinTech企業との連携を実現させることに成功しました。
まとめ
クラウドサービスはこれまで自社が莫大な投資を行い構築していたシステム構築やその後の運用を短期間かつ高い拡張性を備えた状態で提供してくれるサービスであり、うまく利用することでこれまで以上に高い付加価値サービスをお客様に届けることができるようになります。
そのクラウドサービスをエンタープライズ向けに提供しているのがIBMCloudであり、今後ますますクラウドに対する需要は増えていくことから、クラウドを活用した自社ビジネスの活用やDriveをかけたいと考えている方はこの記事を機会に一度詳しく調べて見る価値はあるでしょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。