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2021.08.24

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顧客ロイヤリティとは丨重要性・高める方法・事例をわかりやすく解説|トラムシステム

近年、顧客ロイヤリティの重要性が強く叫ばれるようになってきました。熾烈な差別化競争を生き残るため、各企業はコールセンターやコンタクトセンターなどの顧客接点を強化し、満足度向上・ファンの獲得に注力しています。

この記事では顧客ロイヤリティとは、について基礎知識や重要性、さらに高めるための方法について事例を交えて紹介します。

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顧客ロイヤリティとは

顧客ロイヤリティとは、お客様が自社商品やサービス、ブランドに対して感じる愛着や信頼を指します。

充実・忠誠といった意味を持つ英単語「loyalty(ロイヤリティ)」を元に派生したマーケティング用語です。ファンや贔屓(ひいき)にしているといった用語に置き換えることもできます。

似たような意味で使われる「顧客満足度(CS、Customer Satisfaction)」はお客様が自社商品・サービスに対してどれだけ満足したかを示す指標です。

顧客ロイヤリティも顧客満足度も商品・サービスに対するお客様の評価を表している点では同じです。しかし、満足度が高いからといって商品・サービスの購買行動に繋がるとは限りません。より売上に直結する指標として近年注目を集める指標が顧客ロイヤリティです。

顧客ロイヤリティの重要性

顧客ロイヤリティの高い顧客、つまり自社商品サービスに対して良い印象を持ち信頼・愛着を感じている顧客と、そうではない顧客を比較すると以下のような行動に違いがあります。

・購買頻度
・購買単価

顧客ロイヤリティが高いほど、より高頻度に、より高価格の購入行動を起こすため、一人当たりの売上高は大きくなります。また、自らの購買行動だけでなく、周りの人へ購買を促す行動(商品をおすすめする、SNSに口コミを投稿するなど)をとることが知られています。

多くのモノに溢れる現代社会において、どれほど優れた商品を開発したとしても必ず売れるとはいえません。高い顧客ロイヤリティを持つお客様を多く抱える企業ほど安定した利益が得られるため、各企業は「自社のファン獲得」を重視するマーケティング戦略を積極的に実施しています。

心理面ロイヤリティと行動面ロイヤリティ

顧客ロイヤリティは以下のように大きく二つの軸で考え、それぞれの高低の組み合わせによって4つのタイプに分類します。

心理面ロイヤリティ:自社商品・サービス・ブランドに対するポジティブな感情
行動面ロイヤリティ:自社商品・サービス・ブランドの継続利用や他者への推奨

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≪4つの顧客タイプ≫
①心理面:高、行動面:高⇒企業に対して愛着があり、積極的に継続利用をしている
②心理面:高、行動面:低⇒企業に対して愛着があるが、継続利用はしていない
③心理面:低、行動面:高⇒企業に対して愛着がなく、積極的に継続利用をしている
④心理面:低、行動面:低⇒企業に対して愛着がなく、継続利用もしていない

各企業が重視すべきは①に該当するお客様です。各企業の抱えるお客様がどのタイプに属しているのかを見極め、営業・マーケティング・アフターフォローのアプローチ方法を変えていくことで優良顧客として育てます。

コールセンターは商品購入前後の問い合わせや申込受付、新商品のお知らせや継続利用の営業などでお客様との直接対話ができる貴重な窓口です。そのため、近年では顧客ロイヤリティを高めるために重要な役割を果たす部門としてコールセンターの有用性が再認識されています。

顧客ロイヤリティを高めるメリット

顧客ロイヤリティを高めることで各企業は大きなメリットを得られます。ここからは4つの観点から具体的に解説します。

顧客単価の上昇

顧客ロイヤリティが高いと購買単価(1回の購入でお客様が支払う総額)が上がるといわれています。具体的には、関連する別の商品の同時購入(クロスセル)や、より上位グレードの商品を購入する(アップセル)の割合が高くなる傾向があります。

コールセンターの場合ではアウトバウンド業務で商品購入単価が増加するので、売上アップに貢献するでしょう。

解約率の低下

解約率も顧客ロイヤリティと密接に関連する指標です。

解約率とはお客様が商品サービスを解約する割合を指し、顧客ロイヤリティが高いお客様ほど解約率が低く、より長く継続利用をする傾向があります。

一般的に新規顧客獲得には既存顧客維持の約5倍のコストがかかるため、解約率を改善し既存顧客を大切にする戦略は収益率アップに有効です。

特に音楽・動画配信や食品配達、レンタルなどの定期購入(サブスクリプション)サービスを展開している場合、安定した収益をもたらす顧客ロイヤリティは欠かすことのできない指標といえるでしょう。

リピート率の向上

リピート率とは、一定期間に商品・サービスを利用した後、リピーターになったお客様の割合です。一回に購入する単価に変化がない場合、購入回数に比例して売上額は大きくなります。

顧客ロイヤリティなどの指標を調査・分析サービスを展開するEmotion Tech社が実施した調査では、「顧客ロイヤリティが高いお客様の継続利用回数は顧客ロイヤリティが低いお客様の1.9倍である」と報告されました。

つまり、顧客ロイヤリティが高いお客様ほどリピート購入が多くなるため、顧客ロイヤリティを高める施策を実施することで売上アップが期待できます。

口コミによるサービス・商品の拡散

顧客ロイヤリティはお客様本人だけでなく他者に影響する点も大きなメリットです。顧客ロイヤリティが高いほど、家族や友人、同僚など身近な人に商品・サービスの良さを紹介し購入を進める傾向があります。

SNSや比較サイトなどで商品・サービスを利用したポジティブな感想によって、他の消費者同士で話題(口コミ)に上がり、自然と商品・サービスに対する認知度を上げることが可能です。

現代社会ではテレビCMや広告ではなく、一般ユーザーからの口コミを頼りに商品購入を検討する人が増加しています。口コミでのマーケティングは「今どきの消費者」に受け入れられやすい施策であり、顧客ロイヤリティを高めることで結果的に売上アップが見込めるでしょう。

顧客ロイヤリティを高めるには

お客様との直接の接点を持つコールセンターは顧客ロイヤリティの維持・向上に大きな役割を期待されています。ここからは顧客ロイヤリティを高めるために押さえるべきポイントを5つ紹介します。

NPSを活用した顧客の声の収集

顧客ロイヤリティを高める施策を検討する際は、まず自社商品・サービスに対するお客様の評価を正しく把握し、解決すべき課題を明らかにします。お客様の評価を客観的に把握するためにはNPSという指標を使うのが有効です。

NPSとはNet Promoter Score(ネットプロモータースコア)の略で、顧客ロイヤリティを定量的に測るために使用します。「あなたは他人にこの商品・サービスを薦めたいですか」というシンプルな質問で回答できるため手軽であり、調査者の本音を聞きやすい調査です。

また、NPSの調査と一緒に回答してもらったフリーコメントを分析したり(定性分析)、機能性やコストパフォーマンスなどの他要素とNPSの相関関係をみたりと、様々な用途で分析に活用できます。

NPSの活用メリットや分析方法は、以下のリンクでより詳細に解説しています。

顧客フェーズごとの対策

お客様には様々なタイプ・利用状態(フェーズ)があり、顧客ロイヤリティを高める方法は一辺倒なやり方では通用しません。

前述したNPSの数値などを元にお客様をセグメント化・ランク化し、それぞれのお客様に対し適切なアプローチ方法を選択することが重要です。

具体的にはお客様をセグメント化・ランク化した後に、それぞれの特徴を抽出し改善すべき課題、改善方法を検討します。

全てのお客様に対して対策を実施するには、莫大な時間と費用が必要であることも認識しておかなければいけません。お客様を分類し優先度や難易度、施策実施リスク、結果が出るまでのスピードなどを総合的に判断し、対応すべき施策を見極めることも大切です。

CX(顧客体験)の向上

顧客ロイヤリティを高めるためには、優れたCX(顧客体験)が欠かせません。

CXとは、お客様が商品・サービスを認知してから利用に至る一連の体験です。それぞれの顧客接点でお客様に良い体験を提供できれば、総合的な満足度や顧客ロイヤリティの向上に繋がります。

これまでもコールセンターはお客様との直接の接点を持っていましたが、近年のCXを重視する考え方を受けて益々重要度を増しています。

例えば、「問い合わせの電話をしたら課題や問題がスムーズに解消した」「すぐにオペレーターに繋がった」などの経験はお客様がストレスを感じにくく、顧客ロイヤリティの向上に繋がるでしょう。

購買直後のサポート強化

一般的に、商品・サービスを購入した後には「認知的不協和」と呼ばれる感情・行動が発生します。これは「本当にこの商品で良かったのだろうか」「他にもっと良い商品があったのでは」という不安心から、改めて商品情報や口コミを調べることで自身の購買行動を正当化する行為です。

言い換えれば、購入直後はお客様の商品・サービスに対する興味関心が最も高まるタイミングであるということ。企業からのアプローチが最も届きやすいタイミングでもあるため、ここで良い印象を与えられるかどうかが、将来の顧客ロイヤリティ獲得に大きく影響します。

具体的には商品の使い方をレクチャーしたり、困りごとがないかを確認したりと「あなたの選択は間違っていませんよ」とフォロー・サポートをする施策が有効です。

ロイヤリティプログラムの実施

ロイヤリティプログラムとは、利用頻度や利用額に応じてポイント付与や景品・サンプルのプレゼント、新商品の先行販売などの特典を提供する仕組みです。

飲食店や家電量販店のポイントカードやECサイトのお誕生日クーポン付与など、身近なところでも非常に多くの企業が導入しています。

ロイヤリティプログラムは文字の通り「顧客ロイヤリティを獲得するためのプログラム」であり、既存顧客の継続利用を促す仕組みです。購買単価や購買回数の増加といった効果をもたらします。

顧客ロイヤリティの向上事例

顧客ロイヤリティと企業・事業の成長には密接な関係があり、多くの企業で顧客ロイヤリティの向上施策が行われています。

ここからは顧客ロイヤリティを実際に向上した成功事例を4つ紹介しましょう。

参考:
EmotionTech
TOSHO DIGITAL
CX College

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル

全世界でクレジットカードを発行し、サービス運営を行うアメリカン・エキスプレス・インターナショナル社。従来の満足度調査や利用継続意向調査に加えて顧客ロイヤリティを測ることを目的にNPSを導入しました。

NPSの結果を分析することで「カード紛失時の応対が顧客ロイヤリティと大きく関係している」ことが判明したため、紛失時は速やかにカードを再発行する施策を実行しました。

その結果、NPSは大幅に改善。NPSとともに解約率や一人当たりの平均利用金額も改善し、顧客ロイヤリティを高める施策が大きな売上アップに貢献しています。

チューリッヒグループ

全世界約170各国で保険サービスを運営するチューリッヒグループではお客様の声を活用した事例がよく知られています。

市場調査によって得た「お客様の声(VoC)」をテキストマイニングの手法を用いて分析し改善ポイントを洗い出した後、各施策に優先順位を付けて対応を進めました。改善効果が高い施策については世界各国の拠点にも横展開し、多くの拠点で同様の効果を得ることに成功しています。

その結果、チューリッヒグループに対するNPSは約20%も改善。さらに、高い顧客ロイヤリティを持つ顧客はそうでない顧客と比較すると解約率が低く、より多くの利益をもたらすことを突き止め、顧客ロイヤリティを高める施策の重要性を再認識しています。

株式会社ヤクルト球団

プロ野球球団「東京ヤクルトスワローズ」を運営する株式会社ヤクルト球団。ファンクラブ会員向けにチケットの割引きや先行販売、個別に座席指定などのサービスを提供しています。

そこでは、CRM(顧客管理システム)で登録されたデータをもとにチケットの購入動向の分析が行われています。様々なファンビジネスを実行することで、お客様の細かな観戦ニーズに対応することが可能です。

他には、チケット販売に直接関わらないデジタルガイドブックの提供や、応援選手の試合結果に応じたポイント付与など、ファンクラブ会員限定のサービスを展開。

球団とお客様との「繋がり強化」に注力した結果、チケットの売上高は目標を遥かに超える数字を記録し、ファンクラブ会員の反応・満足度を向上させることができました。

ヴァージン・メディア

ヴァージン・メディアはインターネットやケーブルテレビサービスを運営するイギリスの大手通信会社です。以下のような施策を実施することでNPSの改善に成功しています。

・NPSで低い数値を付けた(他者におすすめしないと回答した)お客様には早期にフォローアップの電話を実施
・NPSで高評価を付けたお客様のコメントを張り出し、社員のやる気を底上げ
・NPSの数値改善を経営目標に設定し、ボーナス額に反映
・営業やマーケティングなど本部社員だけでなく、現場の社員を含めてNPS改善施策を実行

結果としてヴァージン・メディアの解約率は改善し、NPSの数値も約15%向上させることができました。

まとめ

従来コールセンターやコンタクトセンターは「コストセンター」と呼ばれ利益を生まない部署として否定的なイメージがありました。しかし、近年の顧客ロイヤリティを重視する考え方では顧客ロイヤリティ獲得・向上に欠かせない顧客接点の一つです。

この記事の内容を参考にコールセンター業務の重要性を再認識し、「プロフィットセンター」へと変革を進めましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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