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2021.05.31

コールセンター / 事例 / AI / チャットボット / 効果測定 /

チャットボットの効果測定ポイント8つ│検証すべきKPI(指標)を解説|トラムシステム

コールセンター・コンタクトセンターの業務効率化や応対品質向上に効果的なチャットボット。しかし、実際にどれくらいの効果が得られるのかや、どのように効果検証を行うべきか分からないという担当者も多いでしょう。

この記事ではチャットボットの一般的な効果・メリットを解説すると共に、導入後に継続して効果測定・検証するための実践的なやり方を詳しく紹介します。

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チャットボットとは

チャットボットとは人工知能(AI)技術を活用した自動応答システムです。

お客様やオペレーターなどの利用者が入力するテキスト・音声に対して、事前に登録した想定質問と回答セットの中から近いものを選択して返答します。

チャットボットに使われる人工知能(AI)技術は年々進化を続けており、簡単な質問であれば人間のオペレーターと遜色ない回答が可能です。近年ではさまざまな業種・業界のコールセンターで導入が進められています。

コールセンターのチャットボット導入メリット

コールセンターでチャットボットを導入することで、コールセンター・お客様の双方でメリットがあります。ここからはチャットボットの導入効果やメリットについて代表的な4つを解説します。

オペレーターの負担軽減

コールセンターオペレーターでの対応とチャットボットで併用することで、コールセンターへの入電数を減らすことができます。高い稼働率でオペレーターへの負荷が高かった場合も、入電数の減少により稼働率を適正化することが可能です。

オペレーターは疲労・ストレスなどの負荷が軽減し、余裕を持った応対により応対品質向上・生産性の改善などの効果が期待できます。

顧客満足度の向上

チャットボットはお客様に対して以下のようなメリットがあります。

・待ち時間がなく、すぐに解決する
・電話よりも問い合わせのハードルが低く、気軽に利用しやすい
・コールセンターの営業時間外でも問い合わせができる(休日や深夜~早朝など)
・図表や映像で回答が確認できるので分かりやすい

チャットボットは普段LINEやSNSを利用する感覚で、チャット型式での問い合わせが可能です。電話やメールのように問い合わせ~解決までの待ち時間がなく疑問点や問題点がスムーズに解決するため、お客様の満足度は向上します。

業務効率化によるコスト削減

簡単な問い合わせはチャットボット、高度な回答や処理が必要な問い合わせはオペレーターと上手く棲み分けができていれば、必要最低限の人員配置が可能です。オペレーターは難易度の高い問い合わせに集中して対応するため、余計なオペレーター人員を抱える必要がなくコスト(人件費)削減に繋がります。

また、チャットボットで一部の応対業務を巻き取ることでオペレーターの業務量は軽減します。残業代や教育研修費の削減などにも効果があり、チャットボット導入により新たに生まれた余剰時間・費用で更なる業務改善活動に取り組むこともできるでしょう。

応対品質の均一化

コールセンターの応対品質はオペレーターの応対スキルに大きく依存します。

どんなに手厚い研修をしたとしても、入社したばかりの新人オペレーターがベテランのようにスムーズに応対するのは困難でしょう。また、ベテランオペレーターの場合も特定スキルの属人化といった問題が発生する可能性もあります。

対してチャットボットでは人工知能(AI)が回答データの中から問い合わせに対する回答を選択して回答するため、回答内容のバラつきは発生しません。ミスや漏れがなく、回答内容を均一化できるので、コールセンターの応対品質は安定します。

チャットボットの効果検証の方法

チャットボットは導入するだけではなく、導入効果を測定・検証することが重要です。

お客様の問い合わせに適切に回答出来ていたかを定期的に確認し、よりスムーズに回答ができるように改善活動を継続しましょう。また、オペレーターによる応対への影響(応答率や稼働率の改善があったか、応対品質は向上したか、コスト削減ができたかなど)も合わせて検証します。

効果検証の基本的な進め方は以下の通りです。

①検証する期間やKPI指標、測定方法の選定
②適切な目標値の設定
③データ収集、測定
④チャットボットの導入前後や前回測定分のデータとの比較検証
⑤良くなった箇所と悪化した箇所、および要因を特定し、改善施策を検討

定性的な評価だけでなく、複数の指標で定量的・客観的に測定することがポイントです。定期的に測定・検証を実施することで、チャットボットをより効果的に活用できます。

チャットボットの効果測定ポイント8つ

チャットボットの効果を測定する際はどのような指標を使えばいいのでしょうか。ここからは効果測定で利用できる8つの指標を紹介します。

それぞれの意味や計測目的・計算方法を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

①チャットボット起動数

Webサイトを訪問したお客様のうち、チャットボットの画面を開いた・利用した件数です。

どのくらいの割合でチャットボットが利用されているのかを把握するために重要な指標となります。起動数が極端に低い場合はチャットボットの利用導線や表示方法を見直しましょう。

②チャットボット対応件数

チャットボットが実際に対応した件数を集計します。

前述した「チャットボット起動数」のうち対応件数の割合を見て、チャットボットが活用されているかどうかを検証しましょう。起動数に対して対応件数が低い場合は、表示タイミングや初期メッセージの見直しなどが有効です。

③回答率

お客様の問い合わせに対してチャットボットが回答できた件数の割合です。

チャットボットの場合、あらかじめ登録した想定質問・回答のセットにない問い合わせには回答出来ません。お客様の問い合わせを正しく理解し、回答できたかどうかを一つのKPI指標として測定しましょう。回答率が低い場合は登録データや設定内容の見直しが効果的です。

④解決率

回答した件数のうち、お客様の課題を解決できた件数の割合です。

チャットボットによる回答の最後に「この回答は役に立ちましたか?」などの質問を投げかけ、お客様に「はい」または「いいえ」で回答を求め、「はい」と答えた件数を測定します。

チャットボットの有用性・満足度を確認するための重要な指標です。解決に至らなかった問い合わせは詳細確認し、改善に繋げていきましょう。

⑤有人対応の問い合わせ件数・時間

チャットボットを導入したことにより、オペレーターでの電話応対やメール・SNS窓口など他の応対チャネルでの件数・時間に変化があったかどうかにも注目しましょう。センター全体でチャットボットの導入効果を把握することができます。

特にチャットボットの導入目的として「有人対応窓口の応対件数削減」を掲げていた場合は、目標を達成できているかどうかを定期的に確認することが重要です。

⑥チャットボットからのサイトへの遷移数

お客様の問い合わせを契機に自社商品・サービスの紹介を目的としている場合、チャットボットから特定Webサイトへの遷移率も確認しましょう。チャットボットの誘導で想定通りにお客様がWebサイトを閲覧できているか、その後の問い合わせに繋がったかを確認します。

サイト遷移数を上げ、スムーズに誘導できるようにするためには、適切なユーザストーリーを設定することが重要です。サイト遷移数が思わしくない場合は、ユーザー導線の見直しやコンテンツの最適化を検討しましょう。

⑦チャットボット経由のコンバージョン(CV)率

ECサイトやサービスサイトの場合はチャットボット経由でお客様の行動をいかに引き出せたのか(コンバージョン率:CV率)を意識しましょう。

提供するサービスによって何をコンバージョンとするのかは異なります。代表的なものは以下の通りです。

・資料請求
・PDF資料のダウンロード
・詳細説明、プロモーション用の動画再生
・サンプル申込
・商品サービスへの問い合わせ
・購入

⑧チャットボット対応の満足度

実際にお客様の問題が解決できたかだけでなく、応対内容に満足頂けたかどうかを確認しましょう。問い合わせへの回答をした後、「この回答に満足できましたか?」といったアンケートを表示し、アンケートの回答を収集して測定します。

正確な回答はもちろんですが、最終的な顧客満足度に繋げるには、スムーズな回答、分かりやすさ、使い勝手、親しみやすさなどさまざまな要素が必要です。アンケート結果を元に改善点を特定していきます。

チャットボットの成功・失敗事例

チャットボットは導入すれば必ず効果が出るというものではありません。

先行してチャットボットを導入した企業の中にも大きな効果を得られた企業が多く存在する一方で、残念ながら十分な効果が得られなかった企業も存在します。

ここからはチャットボット導入を検討している、チャットボットをより活用したい担当者の方向けに代表的な成功・失敗事例を紹介します。

成功例①LOHACO

個人向けのインターネット通販サイト「LOHACO」の例です。女性のキャラクターを起用したチャットボット「LOHACOのまなみさん」を活用することで、コールセンターに寄せられる問い合わせ件数を半減させることに成功しました。

回答精度を追及するのはもちろんですが、親しみやすさや遊び心を加えることでチャットボットの導入効果を高めています。

成功例②ヤマト運輸

大手運送会社である「ヤマト運輸」の例で、チャットボットにより「再配達依頼」と「集荷依頼」を自動化しています。LINEを利用したサービスで使い勝手の良さから2020年には3200万人以上もの利用者を獲得しました。

電話受付窓口を縮小できたことはもちろん、再配達となる件数が減ったことにより現場ドライバーの負荷軽減にも繋がった成功事例です。

失敗例①ナビタイムジャパン

乗り換え検索や経路検索を提供する「ナビタイムジャパン」はLINE画面で経路検索ができるサービスを提供していました。しかしサービス利用率は低く、現在はサービスを終了しています。

失敗要因としては以下が挙げられます。ユーザの利用導線や使い勝手などが利用率に直結することが分かるでしょう。

・サービス利用のためにトーク画面を開くのが面倒、分かりにくい
・LINE画面と地図アプリを一緒に開くのが大変
・webサイトや地図アプリなど同等サービスの利便性が高い

失敗例②ソフトバンク

ソフトバンク営業社員の業務支援としてIBM Watsonを活用した社内サービスを開発しましたが、上手く活用・定着できませんでした。商談の準備に必要な情報を検索したり、提案に対するアドバイスをするサービスです。

この例では様々な失敗要因がありますが、一つは現場の営業社員の「生の声」を反映した回答データを作成出来なかったことが挙げられます。

チャットボット・人工知能(AI)は万能ではなく適切な回答データが必要です。営業現場を想定した机上の空論ではなく、現場が本当に求めるデータを準備することに留意しましょう。

また、始めから完成系を目指して風呂敷を広げるのではなく、スモールスタートで継続的にブラッシュアップしていくことも重要です。

まとめ

コールセンターの業務改善や応対品質向上に欠かせないチャットボットは導入するだけでは十分な成果は得られません。チャットボットを最大限に活用するためには、導入後に継続して効果を測定・検証し改善活動に繋げることが重要です。

複数のKPI指標を組み合わせて効果検証を繰り返し、記事の中で紹介した成功・失敗事例も参考に積極的にチャットボットの活用を進めましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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