チャットボットにキャラクターは必要?|事例・キャラ設定のポイント|トラムシステム
企業のカスタマーサポートに近年導入されているのが、チャットボットによる顧客対応です。24時間稼働可能であることで人件費削減などの効果があり、技術の発展で精度も向上しています。
より人間に近い対応が可能になりつつある中で、チャットボットをよりユーザーに寄り添った近い存在とするために重要となるのがキャラクター設定です。この記事では、チャットボットのキャラクター設定の重要性、作り方などを事例とともに紹介します。
目次
チャットボットのキャラクター事例
チャットボットとは「chat」と「robot」を組み合わせた造語で、自動会話プログラムと呼ばれています。ユーザーのメッセージに対して自動的に対応を行うことで対話し、商品購入や問題解決につなげるのが主な役割です。近年は人工知能を搭載し、語彙や返答を自動学習するまで進化しています。
市場調査を行う矢野経済研究所の調査によると、2017年時点でのチャットボットの市場規模は10億円でした。2020年には90億円、2022年には130億円になると予想されており、市場拡大が急速です。昨今の労働人口減少による人手不足の解決策として、大いに期待されています。
すでに多くの企業が導入しているチャットボットは、人間味を付加するためのキャラクターが設定されているのが特徴です。日本語を勉強しているという設定のカタコトキャラ、ドラマやアニメの人気キャラを模したキャラクター、高校生や小学生のキャラクターなど、ユニークなキャラクターが多数設定されています。いくつか例を見ていきましょう。
CHINTAI「チンタイガー」
賃貸検索サイト「CHINTAI」のマスコットキャラクター、チンタイガーという設定のチャットボットです。LINE公式アカウントで利用することができ、最寄駅や賃料などの希望条件を入力すると、条件に合致したおすすめ物件を紹介してくれます。「日本語を勉強中」という設定が付加されており、やや拙い言葉遣いとなっていますが、それがキャラクターの魅力として機能しています。
ジャパンネット銀行サポート「モネ」
ジャパンネット銀行の女性マスコットキャラクター、モネという設定のチャットボットです。LINEで支店検索や残高照会を行うことができ、雑談も可能となっています。誕生日や出身地はもちろん、地球に来た日や家族まで詳細に設定されており、チャット上で聞くことが可能です。正答率84%と高い精度を誇っており、新たなコミュニケーションツールとして普及しています。
アスクル(LOHACO)「マナミさん」
通販サイト「LOHACO」で利用されているチャットボットで、2014年に導入されました。LOHACO公式サイトとLINEで利用でき、顧客からのお問い合わせに対応します。定期的にアップデートを重ねているのが特徴で、現在ではオペレータ6.5人分の働きができるようになっています。チャットボットの中では比較的歴史が長く、LINEスタンプが販売されるなどユーザーから愛されているキャラクターです。
小学館「安室徹チャットボット」
漫画「名探偵コナン」の人気キャラクター「安室徹」のチャットボットです。単行本と書店のコラボ企画により誕生し、友達申請が20万人を超えるなど人気を博しています。キャラクターの得著に沿った会話が可能で、ターゲットである若い女性が喜ぶセリフも設定されています。
チャットボットにおけるキャラクターの役割
様々な人格を付与されたチャットボットの事例を紹介してきましたが、なぜキャラクターが重要なのでしようか。そこには、複数の理由が存在します。詳しく解説していきます。
ユーザーエクスペリエンスの提供
チャットボットのキャラクターの役割として一番重要なのが、近年注目されている「ユーザーエクスペリエンス」です。製品やサービスを利用することでユーザーに楽しい・心地よい体験を提供し、購買につなげることを目的とするこの概念は、web業界で重要なキーワードとなっています。
人間は、コミュニケーションにある種の「楽しさ」を求める生物です。機械的・無機質的なチャットボットでは、たとえ疑問を解消できたとしてもサービスへの満足度はあまり高まらず、やがて利用しなくなります。チャットボットにある種の人格を付与することで、顧客に楽しくサービスを利用してもらい、売り上げ向上につなげるのがキャラクターの最大の役割です。
キャラクターは企業の顔
キャラクターでチャットボットにインパクトを与えることにより、企業そのものの知名度・好感度を上げることもできます。「24時間365日対応してくれる存在」としてユーザーの信頼も得やすく、看板・宣伝係としての効果は抜群です。グッズ販売などのキャラクタービジネスを展開している企業も出始めており、名実ともに「企業の顔」になりえます。
何気ない会話からニーズを引き出す
チャットボットに親しみやすさを加えることで、今までなかったニーズを発見することもできます。チャットボットでの対話は人間と行うものより抵抗感が少なく、ユーザーが今まで言えなかった要望や意見を話しやすいからです。そのためにも、チャットボットにキャラクターを設定し、「話しやすい、楽しい」と感じてもらうことが重要です。
キャラクター設定のポイント
無機質・機械的なチャットボットにキャラクターを設定することで、ユーザーにとってより親しみの持てる存在となり、また企業の宣伝にも繋がります。しかしながら、キャラクター設定による効果を十分に得るためには、いくつか抑えるべきポイントがあります。
チャットボットの業務範囲の設定
まず注意するべきなのは、「チャットボットに人間と全く同じ役割を負わすことはないできないという」点です。人工知能(AI)を搭載しているといっても、チャットボットにできることは現状限られています。チャットボットにしかできない役割と、それを果たすために最適なキャラクターを意識しましょう。
明確なコンセプト
チャットボットのキャラクター設定は、明確なコンセプトを持って行いましょう。2つ、3つと複数のコンセプトを作らず、1つに絞るのがおすすめです。複雑な感情を持たせることは現在の技術では難しく、ユーザーも混乱してしまいます。
おすすめなのが、チャットボット の利用目的に沿ったコンセプトです。例えば、顧客相談窓口の場合は、「お世話好きで、困っている人を放っては置けない」というキャラクターのコンセプトにすると、親しみやすさが増します。
TPOに合わせた設定
TPOに合わせた設定も、チャットボット のキャラクター作成の際重要です。ユーザーが違和感を持たないように、自然なキャラクターであると感じてもらう必要があります。
例えば、緊急通報を担当するチャットボットボットにも関わらず、能天気で明るいキャラクターを付与してはいけません。「こっちは緊急なのになんて能天気なんだろう」と不満を持たれてしまい、離脱につながってしまいます。悪評を持たれてしまうと、チャットボット運用そのものにも支障が出ます。事務作業担当なら秘書のようなキャラクターを、顧客対応ならフレンドリーなキャラクターをと言ったように、最適な設定を心がけましょう。
まとめ
チャットボットのキャラクターは上手く活用することで顧客満足度をさらに向上させるだけでなく、企業の顔としての宣伝効果も期待することが出来ます。様々なサービスがオンラインで提供されている現代において、ユーザーがいつでも気軽に利用できるチャットボット。チャットボットの導入目的や期待する効果などを明確に定義し、最適なキャラクターを設定しましょう。
WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。