コールセンターのテレワークはなぜ難しい?言い訳せずに在宅化する方法|トラムシステム
コロナウィルスや働き方改革の影響により、様々な業界でテレワークが進められています。一方で、コールセンター・コンタクトセンターにおいてはテレワークがなかなか進んでいない状況があります。この記事では、コールセンターのテレワークが難しい理由と、課題を解決しながらテレワークを実施するための方法を解説しましょう。
目次
コールセンターのテレワーク化とは
従来企業のオフィスにコールセンターを設置し、現地のオペレーターをセンター内のブースに配置し業務を行なっていました。しかし、近年ネットワークやインフラ技術の進歩や、人員不足による企業側の労働者の確保が難しくなってきたため、在宅や多拠点での業務体制に移行する企業が現れてきています。
コスト削減と人員の確保、オペレーターの人員確保や離職率の低下など、企業やオペレーター双方にメリットがあり、コールセンターの在宅・テレワーク化は現状の打開策として期待されています。
コールセンターの実態は「3密」?
コロナウィルスの影響もあり、コールセンターにおいてもテレワークが必要という声が強くなりつつあります。その背景にあるのが、コールセンターオフィスの「3密」です。
多くのコールセンターは高層ビルのワンフロアにあることが多いので、窓は開けられません。またコールセンターという業種の性質上、個人情報を扱う機会が多いため出入り口にはセキュリティーシステムがあり、部屋の扉も基本的に閉まっています。
センターの規模が大きくなると、1つの部屋に100人以上のオペレーターがいて、前後左右、手を伸ばせば隣の人に触れる距離となり、ソーシャルディスタンスを取ることは難しい状況となります。
コールセンターのテレワークが難しい理由
テレワークを推進する声が聞かれる中「コールセンターでのテレワークは難しい・不要だ」という声も。一部の業界の声としては、オフィスでの業務強行を前提に、テレワークしないことを正当化する論調となっていて、コールセンターのテレワークが難しい状況に陥っています。
その理由として最も大きいのが「個人情報」です。「個人情報に自宅からアクセスするわけにはいかない」というのが、テレワーク反対派の意見です。
実は「個人情報保護法」に定められた安全管理措置を講じていれば何の問題もなくテレワークを行えるもの。しかし、そのための準備・施工などが間に合っていないのでテレワークに移行することが難しいと判断しています。
次に「応対品質の低下」が懸念されているからです。
管理者がトラブルに気づきにくいため適切なフォローができず、顧客満足度を低下させる、また共有された情報の理解度をチェックしにくいため応対品質にムラが発生するなど、応対品質の低下が懸念されます。
オフィスで勤務する従来型のコールセンターでは行える対面でのディスカッションや情報共有がないために、これらの問題が発生すると見られています。
「労務・勤怠管理」も理由の1つ。オペレーターが自宅で1人で業務を行う在宅コールセンターでは、次のような課題が出てきます。
・在宅オペレーターに対してどのように評価するべきか
・モチベーション低下や悩み事などをどのように早期発見するか
・どのように遠隔で教育を行うか
在宅オペレーターのスキルアップ方法や悩みごとを相談しやすい環境の整備、人事評価の方法など、マネジメントの整備が必要となります。
コールセンターをテレワーク化する方法
コロナウィルスの影響もあり、就職・転職時には企業のテレワーク実施有無やコロナ対策の内容を重視する人も増えています。
在宅コールセンターは、地方に住んでいるなど立地的な理由や、育児や介護など家庭の理由でオフィスに出勤できない人材の確保にも繋がります。
今後も安定した人材を確保しながら、センターを運営するためには「できない」「不要だ」と最初から否定するのではなく、どうすればテレワーク化できるのかを考えることが大切です。
ここからは、コールセンターをテレワーク化する方法について紹介していきます。
ITツールの導入する
スムーズにコールセンター業務を在宅で行うためには、事前に必要なツール・システムを導入し、在宅業務に適した体制を整えておくことが重要です。ここではカスタマーサポートのテレワーク化に必要なツールを紹介します。
クラウドコールセンターシステム
カスタマーサポートの在宅化を検討しているなら、クラウドPBXをベースにしたコールセンターシステムの導入がおすすめです。電話交換機であるPBXをクラウド化したシステムで、インターネット回線を使用し、設定された全端末でシステムを使用できます。
会社の代表番号や直通番号の発着信ができ、またベンダーによる万全のセキュリティ対策も搭載。インターネット回線さえあれば使える手軽さから、多くの在宅カスタマーサポートの業務で活用されています。
問い合わせ管理システム
電話やメール、チャット、SNSなどで届いた問合せ内容を一元管理できるシステムです。画面上でオペレーターの対応状況をリアルタイムに確認できるため、対応漏れや重複対応を防げます。
また、誰が対応した案件なのかひと目でわかるため、その後の対応者の割り振りもスムーズです。他にもテンプレートを用いたメールの返信など、効率化の仕組みが充実しています。
ビジネスチャットツール
ビジネス利用に特化したチャットツールです。業務の効率化や生産性を向上させるためには、円滑なコミュニケーションが必須です。気軽に社員同士がコミュニケーションを図れるチャットツールは、特に在宅ワークに欠かせません。タスク管理、ファイル共有など業務で役立つ機能が搭載されています。
業務のやり方・アサインを工夫する
現行の業務をそのままテレワーク化するのが難しい場合には、テレワークを実施する業務を切り分けたり、業務のやり方を工夫したりすることも必要です。
例えば「自宅だと子供がいて電話業務はできない」という場合には、チャットやメールでの問い合わせ業務をアサインするなどの方法があります。また、テレワーク実施者には通常の顧客応対以外の業務を割り振ることもできるでしょう。
また、コールセンターでは幼い子どもを育てながら働く人も多く活躍していますが、「在宅勤務だと保育所に子供を預けられない」という声を聞かれることもあります。その場合には、企業で託児所を設置する、自宅で子育てをしながら業務ができるよう制度を作るなどの対策があるでしょう。
まとめ
コスト削減や人材不足の解消など、コールセンター業務のテレワーク化には大きなメリットがありますが、企業側の環境の整備やオペレーターの環境などによりテレワーク化に対しての課題が発生しています。できないという思い込みを捨て、どうすればできるかを考えてテレワーク化を推めていきましょう。
WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。