IP電話・ビジネスフォンの停電対策!UPS・停電機能で緊急時に備える|トラムシステム
ビジネスフォンやクラウドPBXでIP電話を利用する際に行いたいのが、停電対策です。地震や豪雨などの災害、設備トラブルによって急に停電が発生し、業務に支障をきたす可能性があります。
この記事ではIP電話の停電時の対処方法、対策として有効なUPS(無停電電源装置)について解説します。
目次
停電時でもIP電話は利用できる?
停電時は電話機への電源供給が停止するため、IP電話機は利用できません。具体的には、業務用・家庭用の以下の電話機が利用できなくなります。
・光回線を使用したIP電話
・ADSL回線を使用したIP電話
・CATV回線を使用した固定電話・IP電話
・ISDN
・加入電話(コンセントから商用電源を使用する電話機の場合)
ビジネスフォン・PBXも停電時は使えない
IP電話機と同様、電源供給が必須なビジネスフォンとPBXも停電が発生すると停止します。
停電が短時間・計画的なものであれば予め関係者に周知しておくなどの対策ができるでしょう。しかし災害や設備トラブルなどで長時間・突発的に発生した場合には、ビジネスの機会損失などの影響が出る可能性があります。
またPBXや電話機への電力供給が突然絶たれることで機器や回線が破損し、修理や部品・機器の交換が必要になることもあります。
IP電話の停電対策
インターネット回線を利用するひかり電話をはじめとするIP電話は、電源の供給が止まると利用できなくなります。 IP電話の中継を行う通信装置VoIPゲートウェイと、光信号と電気信号の変換を行うONUが同時にストップするからです。
アナログ回線のように電話回線からの電源供給がなく、停電機能付きビジネスフォンも非対応である点を考えると、IP回線は停電に最も脆弱とも言えます。
IP電話を停電時も利用する場合は、UPS(無停電電源装置)を導入し、VoIPゲートウェイとONUに電源を一定時間供給できるようにしましょう。ただしUPSの効果は一時的なもので、電力消費の激しい機器では長持ちしません。早急に復旧を目指すか、代替となる通信手段を準備しましょう。
メタル回線(アナログ/INS64回線)の停電対策
メタル回線を利用したアナログ回線とデジタル(INS64)回線では、停電が発生してもすぐには停止しません。電話回線からの電源供給を受けることができ、ビジネスフォン・PBXも内蔵バッテリーで稼働するからです。
オプションで3時間ほど持続するバッテリーを付けることもできるので、比較的に停電に強いと言えます。
ただしFAXなどの外部回線で稼働する機器は停止するので注意が必要です。稼働させたい場合は別の電源供給手段が必要となります。
アナログ回線の停電対策としておすすめなのが、リチイムイオン蓄電池などの代替バッテリーです。平常時は電源供給で蓄電し、緊急時にはFAXなどの外部機器に電力を放出するので停電時にも全ての機器を利用できます。
代替バッテリーは利用する機器に応じた容量が必要なので、FAX運用時は大きめのモデルが必要です。「停電時にもFAXが必要か」は意見が分かれるところなので、社内で一度検討してみましょう。
INS1500回線の停電対策
メタルケーブルではなく、光ファイバー網を用いたデジタル回線がINS1500です。電話回線の機能・品質を向上させる高速回線なので、企業でもよく採用されています。
INS1500で停電が発生すると、DSUと呼ばれる接続装置が停止します。この状態になるとビジネスフォンとPBXのバッテリーが稼働していても、外線は利用できません。DSUを停電時の引き続き稼働させるには、別の電源から電力を借りる必要があります。
INS1500の停電対策としては、ビジネスフォンやPBXを直接電源供給に使う手段が有効です。DSUは直流で稼働するので、ビジネスフォンやPBXに直流端子があればコードを差し込んで給電できます。ただし当然ビジネスフォンとPBXの電力消費が激しくなります。
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停電機能付きビジネスフォンとは
停電時もビジネスフォンを利用できる「停電機能付きビジネスフォン」もあります。電話回線から流れる微量な電波を利用して、停電後もビジネスフォンを起動させる仕組みです。急なシャットダウンがないので故障や破損のリスクも抑えられます。
停電機能付きビジネスフォンはNTT、パナソニックなど各メーカーで販売されています。ただし電話回線ではなくIP回線を利用するひかり電話には存在しません。アナログ回線と、デジタル回線(INS64、INS1500)のみ対応しています。
見た目は通常のビジネスフォンとほとんど変わりがない機種もあるため、実際に対応しているかどうかは仕様を確認するか、メーカーに問い合わせましょう。
IP電話の停電対策にはUPS(無停電電源装置)が有効
停電による影響を最小限に抑えたい場合にはUPS(無停電電源装置)の設置が最もおすすめです。
UPSは電池や発電装置を備えており、停電時はビジネスフォンや電話機に電力供給することで停止を一定時間阻止します。データセンターに用いられる超大型から、パソコンでの利用を目的とした超小型までサイズは様々です。
給電方法は、以下の3種類が主流となっています。
・高品質な「常時インバータ給電方式」
・シンプルで低価格な「常時商用給電方式」
・両者の中間に当たる「ラインインタラクティブ方式」
あくまで補助電源なので長時間の運用はできません。機器を安全にシャットダウンする間の時間稼ぎとして利用することが可能です。他にも人為的な理由でコンセントを引き抜いてしまったなど、災害以外のトラブル発生時にも機器を守ります。電力を生み出す発電機と併用すれば、かなりの長期間停電に対応可能です。
UPSのメリット
UPSを停電対策として導入するメリットは、以下の通りです。
・人災、天災、電圧変動などあらゆるトラブルから機器を守れる
・起動が一瞬で行われ、停電時の対応スピードが早い
・瞬断(停電の際、電力供給が一瞬途切れること)が発生しないのでサーバーなどデリケートな機器も破損しない。
・IP電話の停電対策としても有効
ビジネスフォンやネットワーク機器の安全性が高まり、停電時の破損やデータ流出のリスクを抑えることが可能です。その性質から顧客情報など繊細なデータを扱う会社・部署での利用に適しています。
UPSのデメリット
様々なメリットのあるUPSですが、以下のようなデメリットもあります。
・平常時に利用する機会がない
・ストレージ、LAN、ルーターなど、万全を期す場合は接続すべき機器が多い
・大規模な機器は数十万円と高額
・「もしも」の時の装置なので、設置計画が後回しになりがち
・アナログ回線では電話回線の電源供給があるので、必要性が薄い場合も
UPS1つだけでは対策は万全とは言えないため、特に中小企業ではその必要性やUPSがない場合に起こり得るリスクなどについても慎重に検討する必要があります。安価な機種を購入する、重要な機器に集中配備するなどコスト削減策導入も視野に入れましょう。
まとめ
災害や電源トラブルなどによる停電は、会社の通信環境では常に起こりえます。絶対に守るべき情報や機器がある、停電後もビジネスフォンを稼働させたい場合は本記事で紹介した対策を実行しましょう。自社の規模や通信設備の状況に合わせ、最適な停電対策を導入してください。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。