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中小企業の働き方改革丨就業規則の見直し方と改革のメリット・影響|トラムシステム

働き方改革の関連法の施行が2019年4月から順次始まり、中小企業は働き方改革の求める水準を満たすために様々な取り組みを始めています。働き方改革とは何か?中小企業にとってのメリットは何か?働き方改革に対応していくためにはどうしていくべきなのか?自社の働き方改革への対応に向けた具体的な取り組み方法を解説しています。

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働き方改革とは

働き方改革とは、これまで長い間日本に浸透していた労働環境を大幅に見直すことで、従業員の労働環境の改善を行い、日本経済が発展できるよう政府主導で行っている取り組みのことです。

2016年9月に安倍晋三首相が内閣官房に働き方改革実現推進室が発足したことに端を発しており、2019年4月から働き方改革関連法が順次施行される予定になっています。

この働き方改革関連法は、労働基準法など8つの法律の総称であり、

・働き方改革の推進
・長時間労働の是正、柔軟な働き方の実現
・雇用形態に関わらず、公正な待遇の提供

の大きな3つの柱を実現する改正は、企業にとっても従業員にとっても大きな変革を与えることを意味しています。

特に中小企業は大企業と比べると経済力や体制面で乏しいところがあり、中小企業への経済的負担を軽減するため、働き方改革関連法は段階的に施工される予定となっています。内容によっては猶予期間が設けられているため、今から内容についてよく理解した上で、準備をしておくことが重要になってきます。

働き方改革の背景や目的など、具体的な内容について以下の記事を参考にしてください。

中小企業にとってのメリット

それでは、この働き方改革によって中小企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的な例を参考にしながら内容を理解しておきましょう。

・長時間労働の抑制による従業員の生産性向上
長時間労働が是正されることで、従業員は短縮された労働時間内で業務をこなしていくことを求められます。そのため、これまでのしごとのやり方では業務時間内に仕事を完了させることが困難になることから、自発的に時間内に業務が完了するよう改善が行われます。
その結果、各従業員の生産性が向上し、企業活動へ大きな貢献をしてくれることが期待されます。

・社会的評価の獲得と助成金の活用
働き方改革が求める水準を満たすことで国からお墨付きで質の高い労働環境を提供できていることを公言できるようになります。対応できていない中小企業との大きな差別化ができることでしょう。また、働き方改革に対応して一定の条件を達成することで、国が定める各種助成金も活用することができます。

・優秀な人材の確保
質の高い労働環境を提供できるようになることで、これまで以上に質の高い従業員を採用できる機会が増えます。例えば、フルタイムでは働けない優秀な主婦の方や何らかの事情があって常勤が厳しい方にも柔軟な対応ができれば、新しい戦力として迎えることができることでしょう。

特に最近は昔のように仕事だけに時間を使うことよりも、家族サービスや自分の趣味に時間を使いたいと考える従業員も増えてきているため、ライフワークバランスを満たせる環境はこういった方に対して有利な条件で交渉ができるようになります。

中小企業の定義

中小企業に該当するかどうかを判断する基準は以下の2点です。

・資本金額、もしくは出資額
・労働者の数(常時働いている従業員の数)

業種によってそれぞれ条件が異なってきますが、以下の条件を満たす場合に限り中小企業と定義されます。

・小売業:資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、または従業員が50人以下
・サービス業:資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、または従業員が100人以下
・卸売業:資本金の額または出資の総額が1億円以下、または従業員が100人以下
・その他:資本金の額または出資の総額が3億円以下、または従業員が300人以下

中小企業を対象とした働き方改革関連法の施行スケジュール

中小企業を対象とした働き方関連法のスケジュールは以下の通りとなるため、目を通しておきましょう。中小企業に対して優遇措置が設けられている項目とそうではない項目があるため、正しく理解して期日内に対応できるよう進めていきましょう。

・中小企業への優遇措置が設けられている項目
− 残業時間の上限規制: 2020年4月〜
− 月60時間を超える残業の割増賃金率の引き上げ: 2023年4月〜
− 不合理な待遇格差をなくすための規約整備: 2021年4月〜
− 従業員に対する待遇に関する説明義務の強化: 2021年4月〜
− 行政による助言、指導などや行政ADR規定の整備: 2021年4月〜

・大企業と同じ条件の項目: 2019年4月〜
− 年5日間の有給休暇付与の義務
− 高度プロフェッショナル制度の導入
− フレックスタイム制の拡充
− 勤務時間のインターバル制度の導入(努力義務)
− 労働時間の客観的位置づけの義務づけ
− 産業医、産業保健機能強化

中小企業がまずやるべきこととは

働き方改革の趣旨や改革関連法については理解しているが、実際にどのような手順でどのような改革をやっていけばよいかわからない、という経営者の方も多くいらっしゃることでしょう。ここからは、中小企業が働き方改革を実施していくことで、まずすべきことを整理していきます。

1.改革・法律の内容をよく理解する

中小企業がまずやるべきこととして、今回の働き方改革に関する改革内容、及び関連法の改正内容を正しく理解しましょう。

今回の取り組みで法律の改正まで行われていることから、昔のままの管理体制で経営していると法律違反となり、罰則となる可能性があるため、できるだけ早く内容を理解するように取り組む必要があります。働き方改革関連法の詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。

2.現在の状況を把握する

働き方改革及び関連法について正しく理解した後は、具体的に対応するためにまずは自社の現状を把握します。まずは従業員の残業時間の確認とその残業時間に対してしっかりと残業手当が支払われているかどうかを確認します。

特に残業時間が計上されているのに支払われていないといったことがないか、残業時間が計上されていないのにもかかわらず働いているということがないかどうかを厳しく確認します。

また、従業員の年間で支給されている有給休暇に対して実際どのくらい消費されているかを有給取得率で確認しておきましょう。今回の関連法の改正で年5日間以上の有給休暇付与が義務付けられているため、最低5日以上消費されているか必ず確認しておく必要があります。

3.改善策を考える

自社の現状について正しく把握した後は、対応できていない項目に対して具体的な改善策を検討していきます。

例えば、残業時間が正しく計上されていなかったり、正しい情報が入力されないような管理方法を取っていることが判明した場合には、タイムカードなどの導入により勤務管理方法を改善する方法を検討します。特に残業時間については注目されやすい項目となるため、36協定の見直しなども視野に入れて抜本的な改革を断交しましょう。

今回の働き方改革の影響は中小企業だけではなく、取引先の大企業も対象となっていることから、大企業の労働環境改善のため、コストカットなどのしわ寄せが中小企業に集まることも想定されます。状況によっては取引内容の見直しも必要になってくるため、柔軟な対応ができるよう予め社内で検討しておきましょう。

中小企業の働き方改革のポイント

中小企業が働き方改革を成功させ、メリットを享受するためにはどのように進めていけばよいのでしょうか。
具体的な内容で押さえておくべきポイントを整理しておきましょう。

目的の明確化

まず最初にするべきことは、働き方改革を行う理由、目的を明確化することにあります。

働き方改革が目指すのは労働環境を改善することによる従業員や企業(組織)の活性化を図るものではあるものの、経営者と従業員双方が働き方改革を行う目的を理解することが大切です。そうでなければ、国が定める法令を遵守して罰則規定を回避するためだけの取り組みになってしまいます。

働き方改革が企業の人材活用を最大化させるきっかけの一つとして捉え、従業員に対して経営者が自分の言葉で真摯に伝えた時に初めて、企業と従業員が同じ目標を持って活動ができるスタートラインに立つことができるのです。

特に最初の段階では、従業員に対してしっかりとした説明と目指すべき方向性の意識合わせをしておかなければ、経営者が一方的に押し付ける自己満足のための施策として捉えられかねません。働き方改革による魅力を感じてもらえるよう、働き方改革を行う目的を経営者と従業員で共有しながら進めていきましょう。

ITツールの導入

働き方改革の目的を明確にしたところで、それを解決するための方法を検討していきます。

社内の制度の改善に加えて、テクノロジーの進化によりこれまでは人の手で管理していた業務もITツールの導入により大幅に改善できる機会が増えてきました。例えば、前述したような残業時間を管理するタイムスタンプも今はITツールを活用することで少ない投資で必要な機能を利用することができるようになっています。

従業員が使用しているPCスペックが低い場合はそのPCを買い換えるだけで生産性の向上が見込まれます。FAXを紙ではなくすべて電子化して必要なものだけ印刷するということであれば、業務効率の向上に加えてコストカットも見込まれます。

現在直面している問題に対して、様々なITツールを駆使することで解決をしていくことができるため、ITツールの導入検討も積極的に行っていきましょう。

各種補助金の活用

働き方改革では、国が様々な補助金、助成金を提供しているため、条件を満たして活用するようにしていきましょう。例えば、厚生労働省では、以下のような助成金を提供しています。

・業務改善助成金
中小企業の生産性向上を支援することを目的に、最も低い賃金の引き上げを図る制度であり、生産性向上のための設備導入や最低賃金を一定額引き上げた場合に支払われる助成金です
・職場意識改善助成金
病気休暇や市教育訓練、ボランティア休暇が規定されておらず、労働者に対する研修や就業規則の作成、変更、テレワーク用機器の導入など、指定される取り組みを行った企業に対して支払われる助成金です
・キャリアアップ助成金
非正規労働者への正社員化を促進するものや賃金規定の見直しや健康診断制度の制定など、指定された取り組みを行った企業に対して支払われる助成金です
・人材開発支援助成金
労働者のキャリア形成を促進するため、職務内容に関連した専門性の高い知識や技能の習得に対して取り組みを行った企業に対して支払われる助成金です
・トライアル雇用助成金
職業経験や技能、知識などの理由により安定的な就職が困難な求職者に対して、一定期間試行雇用した場合に支払われる助成金です。

外部資源の活用

自社のリソースでは対応することが困難な場合には外部資源の活用も視野に入れましょう。

例えば、最近流行りのコア業務へ集中できるようそれ以外の業務のアウトソーシングやRPAソリューション導入による自動対応、労働基準法や36協定の内容に対応したアラームや勤怠状況の可視化ツールの導入などが挙げられます。

また、抜本的に改革するために働き方改革に精通した企業が自社の改革推進をサポートしてくれる「働き方改革コンサルタント」への業務委託という方法もあります。自社リソースが潤沢にあるケースはほとんどないため、こういった効果が高いと想定されるサービスやツールを最大限活用して働き方改革の目的達成のために取り組んでいくことも必要になるでしょう。

従業員の不安を解消する

社内の改革を遂行していくと同時に従業員のケアも忘れないように実施していきましょう。例えば、従業員が陥りやすい主な心理的な不安と対策例は以下のとおりです。

・残業時間の削減により収入減が心配
→決まりきった仕事ではなく、より質の高い仕事へ注力できる環境を構築し、達成状況に合わせて報酬アップをする制度を整えます。労働時間ではなく、できあがった成果に対して報酬を払うといった制度を設けることで、短時間でも高い報酬を得られる機会を作ります。

・在宅制度や時短勤務を希望することで自分本位と思われたくない
→経営者や上司などが積極的に活用することで制度の利用を推進します。また、在宅制度や時短勤務などでは対面で話す機会が減少するため、社内コミュニケーションが図れるような機会の創出や多様な働き方に対する理解を深めるための説明機会を作ります。

・導入されるIT機器やパソコン操作が不得意で自信がない
→従業員一人ひとりの得意不得意をアンケートや上司からヒアリングを行い、従業員の適材適所の適正化を図ります。いきなりIT機器の導入をするのではなく、段階的に移行するプランを策定して心理的な不安要素を排除していく。トレーニングを複数回開催して定着支援を行う。

まとめ

働き方改革の推進により、従業員の労働環境の改善、生産性の向上や残業規制によるライフワークバランスの実現、正規労働者と非正規労働者の格差撤廃など多くのメリットがある一方で、企業は様々な対応が求められています。まずは今回の改革の内容と遵守する内容を正しく理解した上で、労働環境改善に向けた計画を立案、改善を行っていきましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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