クラウドPBXや電話システムについてIT・通信のプロが解りやすく解説|voice

ビジネスフォンやクラウドPBXを電話・通信のプロがわかりやすく解説!

\ クラウドPBX資料 /

無料ダウンロード

フリーワード検索

働き方改革とは丨法案の内容・目的や期待される効果を解説|トラムシステム

政府が掲げる働き方改革では、これまでの労働者の働く環境を劇的に改善することで高い生産性の実現と労働者を守るという目的を目指し、制度の浸透に向けて様々な取り組みが行われています。働き方改革とはどういったものなのか、働き方改革の生まれた背景や目的から期待される効果までを詳しく解説しています。

サムネイル画像

働き方改革とは

働き方改革は、政府が掲げる一億総活躍社会(少子高齢化が急速に進んでいる日本において、50年後も人口1億人を維持し、仕事や家庭、地域で誰もが活躍できる社会)の実現を目指すための取り組みのことです。

たびたびメディアで報道されているような、長時間労働による過労死、非正規労働者に対する理不尽な待遇、女性軽視による男女雇用機会の不平等など、日本の労働環境に関する弊害はいたるところで生じています。こういった劣悪な労働環境や古い経営者の考え方など、すでに慣習となってしまっていたり、法律や条例が制定されたとしても形だけで機能していないといった事例も少なくありません。

そこで、これまでの日本企業の労働環境を大幅に見直すことを目的に、政府が積極的に働きかけを行い、改善していこうと様々な施策が打ち出されてきています。

働き方改革が必要な背景と改革の目的

働き方改革が掲げられた背景には、日本が抱える大きな課題が深く関係しています。

・少子高齢化による労働人口の減少
日本の労働力となる生産年齢(15歳以上65歳未満)の人口が、1995年を頂点として減少傾向となっており、近い将来の労働力不足が懸念されています。

一方、生産年齢人口の中には出産や離婚、親の介護などにより、働きたいと思っていても働けない方の割合も少なくありません。労働環境を改善することで、こういった働きたくても働けない層に働ける環境を与え、将来の労働者不足に対して備えようとしています。

・長時間労働問題による過労死
古くから労働者が企業に対して様々な犠牲を払いながら労働力を提供することが一般的とされてきました。世界の長時間労働の割合と比較しても日本の長時間労働の割合は高く、その結果、長時間労働が原因となってうつ病患者の増加や過労死が誘発されて社会的な問題になっています。

そのため、働き方改革を皮切りに企業の従業員に対する労働環境を改善することで、こういったうつ病患者や過労死の発生件数を抑制し、健康でかつ長期的に働けるような環境を築いていきたいと労働環境の整備が取り組まれています。

・日本の生産性の低さ
労働生産性とは、労働者が1人あたりどのくらい成果を発揮できるかを表している指標であり、国の経済成長と密接な関係があると言われています。

日本の労働生産性は諸外国と比べると特に低く、常態化した生産性の低い長時間労働や非効率な業務運用が原因であると考えられています。そのため、高い国の経済成長を維持するために、労働環境を改善することで日本の労働生産性を向上させるための取り組みが始まっています。

働き方改革で期待される効果

それでは、働き方改革が浸透して改善が行われたとすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。企業側及び従業員側双方で考えてみましょう。

企業側のメリット

働き方改革で従業員の労働環境が改善されることで、長時間労働による負荷がなくなることで従業員に心理的な余裕が生まれることから、いままで以上の高い生産性が期待できます。

費用の観点からも長時間労働により発生していた残業代をカットすることができるため、浮いた予算を有効活用することで新しい取り組みや設備投資等、積極的な企業活動が可能となります。

また、働き方改革により職場環境が改善されることで、働きやすい企業として社会的な評価を受ける恩恵があります。新卒採用や中途採用など、コストをかけずに優秀な人材が集まってくることも期待できます。

従業員側のメリット

労働環境が改善されることで、身体的/心理的ストレスから開放されることから、健康な生活を送ることができるようになります。

定時退社やフレックス制を活かすことで習いごとに参加したり、家族サービスを充実させたり、有給休暇を使った海外旅行など、ワークライフバランスの実現が期待されます。

柔軟な働き方が実現できれば、従業員ごとのライフスタイルに合わせて業務に取り組むことができます。特に結婚や出産、育児なども会社をやめないで働き続けることができます。

また、雇用体系の違いにより同じ仕事をしていても不公平な待遇で苦しんでいた非正規労働者の処遇も改善が見込まれることから、非正規労働者であっても公正な条件で長期的に働き続けることができるようになります。

国が主導する働き方改革

政府が掲げる働き方改革に対する3本柱は、以下の通りです。

・同一労働同一賃金
正規労働者と非正規労働者の格差問題は多くのメディアで問題として報じられており、日本の非正規労働者の賃金は正規労働者の60%程度であると言われています。欧米諸国が80%程度の格差であることを考慮すると大きな格差があることがわかります。

このような格差が続くようであれば非正規労働者の生活基盤が安定しないことから、ライフワークバランスを保ちながらゆとりある生活を営むことが困難と言えます。

働き方改革では、同じ内容の仕事を行うのであれば、正社員でも非正社員でも同じ対価を支払いましょうという制度を設けることで、このような格差に歯止めをかけようとしています。

・残業時間上限規制
戦後、高度成長期を経ることで、これまでの日本では残業や休日出勤もやむを得ないという風土があり、多くの労働者が時にはプライベートを犠牲にして働いてきました。

また、現在の日本の労働基準法においても、労働時間は1日8時間、週40時間という上限が設けられていますが、労使間で三六協定を締結した上で労働局に届け出ると事実上無制限に残業をすることが可能でした。今回の改革では、残業時間の上限にキャップを設け、どのような状況であったとしても、月100時間、年間平均80時間を超えてはならないと設定されています。

・脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)
働き方改革の最後の1柱は脱時間旧制度です。主に1,000万円以上の対価をもらっているコンサルタントを中心に時間ではなく成果物に対して給与を払うようにしていこうというものです。

一部の企業・職種で勤務の開始・終了時間や勤務時間を社員が自由度を持って決められるフレックスタイム制や裁量労働制が採用されている一方、未だ多くの企業では決まった時間に社員一斉に勤務を開始・終了する固定時間制度です。しかし、同じパフォーマンスを発揮できるのであれば、人と同じ勤務時間にする必要がなく、決まった時間に働く必要もなくなります。

このように、専門性の高い職業に関しては、時間ではなく作り出される成果物の質に対して給与を支払う制度を設けることで、優秀な人材に働きやすい環境を用意することで高い専門性を維持させることが狙いと言えます。

働き方改革関連法

今回の働き改革関連法では、労働基準法や労働基本法といった8つの法律が改正対象となっており、この改革に伴い施工される労働法令は2019年4月以降、順次企業に適用されていきます。

働き方改革関連法の8つの項目概要は以下の通りです。

1.残業時間の罰則付き条件規制

昨今、大きな問題になっている労働者の過労死などを防ぐために、残業時間を原則45時間かつ年360時間に抑えること、また繁忙期であっても月100時間、年720時間を超えてはならないとして、違反者には罰則の適用も行われます。

2.5日間の有給取得義務化

年10日以上の有給休暇がある労働者は、必ず5日間の有給休暇を取らせなければなりません。

3.勤務間インターバル制度の努力義務

労働者の健康維持のため、勤務から次の勤務まで少なくとも10時間体を休める時間を確保することが努力義務として制定されます。

4.割増賃金率の中小企業猶予措置廃止

中小企業に適用していた月の残業時間が60時間を超える場合、割増賃金率を50%以上にしなくてはならないというものを例外なく実施するというものです。

5.産業医の機能強化

従業員の健康管理に欠かせない産業医の提供が企業に義務付けられるものです。

6.同一労働、同一賃金

7.高度プロフェッショナル制度の創設

この2つは既に解説している通り、同じ労働であれば対価は同じであるべき、年収1,000万円以上の専門性の高い労働者には時間ではなく成果物に対して給与を与えようというものです。

8.フレックスタイム制が3ヶ月可能に

これまでは1ヶ月単位でしか取得できなかったフレックスタイムが2ヶ月や3ヶ月単位で取得できます

各種補助金・助成金

最後に、今回の働き改革で政府が提供している補助金や助成金について理解を深めておきましょう。

●職場意識改善助成金

中小企業の労働時間などの職場意識を改善するため、改善に関わる計画及び措置を実施した中小企業に対して助成金を支払うというものです。支給額はコースによって異なりますが、概ね20万前後〜50万円、高いと100万円まで国から支給されます。

・職場環境改善コース
所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進を図っている中小企業に対して実施の一部を負担するものです。
・所定労働時間短縮コース
所定外労働時間を短縮する努力を行った中小企業に対して支払う助成金です。
目標としては週2時間以上短縮し、40時間以下まで抑えることを目標に定められています。
・時間外労働上限設定コース
時間外労働の上限を設定する取り組みを行っている中小企業に対して支払う助成金です。
・勤務間インターバル導入コース
勤務時間の間隔を確保する取り組みを行っている中小企業に対して支払う助成金です。
9時間以上11時間未満、もしくは11時間以上の確保が必要です。
・テレワークコース
住宅やサテライトオフィスで働くことができる環境を構築している中小企業に対して支払う助成金です。
最近はサテライトオフィスも普及してきており、様々なライフスタイルに合わせた柔軟な取り組みを推進するコースです。

働き方改革の促進のため国が用意している助成金以外にも、例えば東京都は働き方改革宣言企業を募集しており、最大で100万円支給されます。

まとめ

政府主導で進められている働き方改革は、これまで日本に浸透していた悪しき習慣を断ち切り、労働環境を改善することで企業、従業員双方にとってメリットが多い施策と言えます。今後の政府の動きに注目しつつ、自社の労働環境改善のきっかけとして検討してみてはいかがでしょうか。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

注目記事Recommend Post

  • コールセンターの「顧客満足度」(CS)を向上させる4つのポイントを解説

  • ISDN(INS)とは?ISDNの歴史と終了の背景を解説

    2018.12.07

  • 法人のオフィス・事務所移転時の電話手続きとは?工事や番号変更も詳しく解説

    2022.03.18