オムニチャネル・コンタクトセンターシステムとは?|トラムシステム
目次
コールセンターのオムニチャネルとは
BtoCビジネスのコールセンターでは電話だけではなくてメール、LINE、チャットでも問合せを受付けているセンターが非常に増えてきました。このような複数のチャネル(電話以外のチャネル以外にも複数のチャネルからの自由に選択できる)のサポートを対応することから、「コールセンター」ではなく「コンタクトセンター」と呼ばれる様になりました。また、複数のチャネルの対応を行うことからマルチチャネル・コンタクトセンター、またはオムニチャネル・コンタクトセンターなどと呼ばれています。
オムニチャネル・コンタクトセンターでは一人のオペレータが、複数のチャネルを使い分け、「個客」対応を実現できる状態のことを指します。例えば、LINEでのチャットをしていたお客様が、チャットでのやり取りでは不十分な為、電話での通話に切替えた場合でも同じオペレータが継続して応対することにより、お客様は最適なサポートの体験を得ることが可能となります。
オムニチャネルシステム
次にオムニチャネルの業務を支援するシステムの在り方について解説していきます。まず、想定されるチャネルとしては、以下を想定します。チャネルごとの機能については別途解説します。
・電話 :モバイルを含めたPSTN網からのデジタル電話、IP電話の受電
・メール :インターネット経由で企業のメールサーバにて受信したメールの取り込み
・チャット :Webサイトまたはモバイルからリアルタイムでのテキストチャット送受信
・SNS :Twitter,Facebookへの投稿に対する支援投稿
・SMS :SMSプロバイダを介したリアルタイムショートメッセージ送信
・FAX :FAX受電、FAX送信
・LINE :LINEでのテキストメッセージ送受信、LINEでの通話
・WEBRTC :Webサイトまたはモバイルからのリアルタイムビデオチャット送受信
複数の異なるチャネルが存在しますが、オムニチャネル・コンタクトセンターシステムでは、全てのチャネルを一元管理することが 可能であり、オペレータが同一環境下で利用できる必要があります。その為には、チャネルごとに存在する既存のシステムに加えて、オムニチャネルシステム基盤が必要となります。
オムニチャネルシステム基盤製品の方向性としては大きく2つに分かれています。(上記の構成図は①による実現イメージを表現しています)
①CRMシステム(応対履歴システム)を拡張開発
応対履歴システムでは、電話受電時のCTI連携、メールの自動取り込みについては従来より実装されているシステムパッケージが多かった為、チャットへの対応、SMSへの対応というように、チャネルごとのシステムとCRMシステムとの間を繋ぐAPIを開発提供することにより、結果的にオムニチャネル化を実現しています。
②音声基盤を拡張開発
音声基盤では、音声受信を処理するゲートウェイが存在しますが、音声以外のチャネルに対してもチャネルと接続する為のゲートウェイを開発することにより、チャネルごとのシステムとの接続を行っています。
どちらの場合でも、1つのベンダーだけで完結できることはなく、他社とのAPI接続によって全体を構成する、いわゆる「エコシステム」を構築する必要があります。
オムニチャネルシステム設計の論点
オムニチャネル・コンタクトセンターシステムを実現するには、特に以下の論点が重要となります。
①電話とLINEやチャットなどのテキスト受電を切り替えた際に同一オペレータに接続できる仕組み
LINEでのテキストでのサポートをしていたが、電話でのサポートに切替えたいとなった場合に違うオペレーターに電話が着信してしまうと、サービスが継続できません。同じオペレータに継続して電話が着信する様が仕組みが必要となります。一般的にはCTIの技術を利用して、LINEでの着信時の識別子をサーバに保存しておき、電話での着信時もその識別子をもとに、同じオペレータを発見し、着信させる様な仕組みが想定されます。
②電話とLINEやチャットを組み合わせたACDの仕組み
一人のオペレータが電話もLINEもチャットも応対が可能なスキルを保有していた場合に、どのチャネルを優先的に応対するのかを決めておく必要があります。
応対中は他のチャネルが着信しないようにチャネル間でのACDの仕組みが必要となります。
一般的な実現方法としては、オペレーターのプレゼンス(状態)を管理する方法と、マルチチャネルACD機能を導入する方法が考えられます。
③お客様がチャネルを選択できる様な統一チャネルメニュー
お客様がサポートを依頼したい場合、ホームページやモバイルアプリなどを経て、コンタクトセンターにアクセルしてくることが大半です。そこでは、チャネルの選択が同一メニューから実現できることで、複数チャネルをお客様のタイミングに合わせて自由に選択できるようになります。
④「個客」管理を実現する為のカスタマージャーニー
お客様との応対履歴を管理する上で、どのチャネルからどの様な依頼があったのか、時系列で表現される必要があります。単純な履歴管理ではなくカスタマージャーニーに合わせた、お客様個々を表現できることで、お客様への提案が可能となります。
最後に
電話と電話以外のチャネルが、バラバラに存在し、応対しているコンタクトセンターは、シングルまたはマルチチャネル・コンタクトセンターに留まっています。
オムニチャネル・コンタクトセンターでは、お客様がどのチャネルで問合せをしてきた場合でも、同じ様なサポートの体験を提供しなければなりません。
また、LINEと電話など、チャネルを跨いだサポートが必要となった場合でも、同じオペレータが継続して応対できることで、お客様に対するサービスレベルを継続することができます。
その様な個客体験を提供するシステムは、一元管理されている必要があります。エコシステムを構築する必要がありますので、コンタクトセンター責任者が自社のオムニチャネル・コンタクトセンターの在り方を設計し、複数ベンダーをリードする強いリーダーシップが必要となります。
WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。