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2019.02.05

WebRTCで何ができる?メリット/デメリットをわかりやすく解説|トラムシステム

コミュニケーションツールの多様化に伴い、遠方間でもビデオチャットを使って会議を行う場面が多くなってきました。これらのインターネットでのコミュニケーションを実現しているのが、WebRTCと呼ばれる技術です。この記事では、WebRTCの基本的な概念、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

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WebRTCとは

WebRTCとは、Webブラウザ上で音声や映像、データなどをリアルタイムでやり取りする技術です。必ずしもサーバーを通さなくても良いため、高速にP2P間のやりとりができるようになり、プラグインをする必要なしにWebブラウザ上でビデオチャットなどを利用することが可能となりました。

WebRTCはWeb Real Time Communicationの略語です。2011年にGoogleによって提唱され、World Wide Web Consortium(W3C)によりAPIレベルの標準化が進められています。

WebRTCが普及している理由としては、インターネットを活用したコミュニケーションの高度化とインターネット技術のAPI化と言われています。

ビジネスの場でのコミュニケーションは、もはや昔のように電話だけではありません。メールやFAX、ビデオチャットなどで遠方間の会議も可能になりました。そのような流れからビデオチャットスタイルの次世代アプリケーションの開発現場にもスポットが当たるようになりました。

また技術開発の現場でのAPI化も一因です。

最近のアプリケーション開発の現場では、エンジニアは一から開発することはなく、APIを使って開発を進めています。そこで提唱されたフリーパッケージがWebRTCです。これがオープンスタンダートして普及したことで、キャリアやベンダーに関係なく、あらゆる人が使える技術として普及しました。

WebRTCのAPIは2つの仕様で構成されています。
・カメラ/デバイスへのアクセス(Media Capture and Stream)
・ビデオ/オーディオ/データ通信を行う(Real-time Communication Between Browsers)
1つ目は言葉の通り、ブラウザやカメラにアクセスするためのAPI規格です。
2つ目はWebRTCの本体とも言える仕組みです。これにより一方向通信から双方向通信を実現しています。

WebRTCのメリット

双方向通信を実現させた技術であるWebRTCを活用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。

1.機材の購入が不要

WebRTCを利用するにあたり、新しい機器などを購入する必要はありません。

最低限パソコンかスマホがあれば利用することが可能です。WebRTCは既存のインターネットの技術を組み合わせて開発された技術であるため、新たなハード機器を買う必要がないのです。

2.アプリケーションのインストールが不要

新しい機器を買う必要もなければ、新しいアプリケーションをインストールする必要もありません。

WebRTCは技術的仕様でも記載した”Real-time Communication Between Browsers”にあるように、ブラウザの中で完結できる技術です。主要ブラウザであるChrome、Firefox、Safari、Edgeでも問題なく動くようになっています。

3.通信がとても軽い

通信がとても軽いこともWebRTCの特徴です。これはサーバーを介さずにデータ通信ができることで実現されています。

一般的な一方向通信は「TCPプロトコル」を採用しています。このプロトコルではサーバーを介したデータ通信であり、クライアントからサーバーに接続を開始してから相手が受け取ったかを確認するまでが一連の流れになります。この一連の流れを何度も行うことでデータの通信を行います。

一方、WebRTCは「UDPプロトコル」を採用しています。TCPプロトコルとは違い即座にデータ送り、そのデータは送りっぱなしとなります。通信の開始や終了の処理がない分、通信が速くなるということです。

WebRTCのデメリット

たくさんのメリットを持っているWebRTCですが、場面によっては一方向通信の方が適している場面もあります。どのような場面にWebRTCを利用した方が良いのかを理解するためには、WebRTCのデメリットも理解しておきましょう。

1.セキュリティ

WebRTCは、プロトコルにUDPを採用しています。これにより通信の軽さを実現している反面、セキュリティ面で信頼性が低下してしまうことに繋がります。

上述した通り、TCPはクライアントからサーバーに接続を開始してから、相手が受け取ったかを確認するまでが一連の流れです。つまり、相手がデータを受け取ったかを都度確認することができることで、到達性を担保しています。

一方、データを送りっぱなしとするUDPは、相手が本当にデータを受け取ったかを確認することができず、その分の信頼性が低下してしまうということです。

2.接続人数の限界

接続人数に限界があることもデメリットの一つです。

例えば、何かのライブ配信にWebRTCを利用しようとした時、配信側は視聴側の分まで変換を行う必要があります。つまり、視聴者が増えれば増えるほど配信側の負担が増えていきます。

負担が増えればサーバーダウンなどの問題にも繋がることを考えると、ビジネスで大人数でのWebRTCの利用は現実的ではありません。

3.回線の問題点

回線の問題点もあります。この問題の解説については、まずNAT(Network Address Translation)について解説しましょう。

パソコンは、他のパソコンと識別するためにIPアドレスと呼ばれるアドレスが振り分けられており、このIPアドレスには”グローバルIPアドレス”と”プライベートIPアドレス”があります。

グローバルIPアドレスは、全世界に通用するIPアドレスで、プライベートIPアドレスはあるネットワーク環境の中でしか通用しないという違いがあります。

つまり、あるネットワーク環境から他のネットワーク環境にデータを送るときには、プライベートIPアドレスからグローバルIPアドレスに変換して、受け取った側でまたプライベートIPアドレスに変換する必要があります。そしてこのIPアドレスの変換作業のことを、NATと呼んでいます。

WebRTCのデメリットは、複雑なネットワーク環境によってNATが困難であることです。中継としてサーバーを設置する、といった対策を取ることも出来ますが、そうするとWebRTCのメリットである通信の軽さが失われてしまうという本末転倒な事態となります。

まとめ

新しい技術として期待されている反面、まだまだ限定した場面での利用という印象は否定できません。ただし、様々な企業がこの技術の潜在的可能性に期待して参入しています。制度的にも技術的にも洗練化されていき、インターネット技術のスタンダードになっていくことを期待しましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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