オフィス移転に伴うビジネスフォンの引越しの流れ・移設のポイント|トラムシステム
オフィスの引越し・移転の際、必ず行うべきなのがビジネスフォンの移設です。レイアウトの決定・電話プランの見直し・工事業者との打ち合わせなどを行い、業務に支障をきたさない電話網を構築する必要があります。 本記事でビジネスフォン移設の流れ・ポイント・注意点を解説します。
目次
オフィス移転に伴う電話移設の流れ
オフィス移設の際に意識して欲しいのが、「ビジネスフォンはすぐに移設できない」という点です。通信キャリアには電話回線の移設手続きを、工事業者にはビジネスフォンの移設工事手配を依頼する必要があり、事前の調整が重要になります。
また、電話回線の移設手続き開始から工事日決定までは約1ヶ月ほどの期間がかかるケースもあるため、余裕を持ってスケジュールを立てる必要があります。まずはビジネスフォンを移設する際の流れを解説します。
ビジネスフォン利用に適した物件を探す
まずは、移転先となる物件探しを行いましょう。ビジネスフォン移設を考慮する場合は以下の条件を満たす必要があります。
・OAフロア(床が2重となっており、ネットワーク配線のスペースが用意されてフロア)である、またはOAフロアに改装できる
・電源容量が豊富である
・光ファイバー回線が利用できる(ひかり電話の場合)
回線数が制限されている、特定の電話回線が利用できないオフィスも存在するので、「利用予定の回線が使えるか」は厳重にチェックしてください。不動産業者と連携しながら、最適な物件を探しましょう。
レイアウトの考案
物件が決まった後は、ビジネスフォンのレイアウトを考えます。工事業者に全て任せることもできますが、オフィスで働く社員の意見を取り入れたほうが完成度が増します。専門知識や難しい図面は不要で、レイアウト図にパソコン・主装置(PBX)・ビジネスフォンの配置場所を◯印をつけるだけで構いません。
レイアウトを決める際、考慮すべきポイントは以下の通りです。
・主装置(PBX)をどこに配置するか(クラウドPBXの場合は必要なし)
・社員の動線や作業をするスペースが確保されているか
・ケーブルがしっかり収まっていて、邪魔にならないか
使いやすいビジネスフォン環境は何かを考えながら、案を完成させましょう。完成したレイアウト案は、工事業者と打ち合わせの際に持参してください。プロの目線からレイアウトをチェックし、アドバイスや修正を行ってくれます。
電話回線とビジネスフォンの移設手続き
レイアウト案が固まれば、電話回線とビジネスフォンの移設手続きを開始します。電話回線移設手続きは通信キャリア、ビジネスフォン設置工事は工事業者と別々に申し込みましょう。ただし、多くの工事業者は電話回線移設手続きと配線工事を代行してくれるので、打ち合わせなどの簡略化のために全て任せてしまうことも出来ます。
各手続きの申し込みは
・電話回線の手続きを1ヶ月半前
・ビジネスフォンの手続きを1ヶ月前
に行うとスムーズに進みます。電話回線の工事日決定には1ヶ月ほどの時間がかかるので、先に申し込めばスケジュールが調整しやすいためです。電話回線配線はオフィス移設の前日、ビジネスフォンの工事日はオフィス移設当日に設定するのが一般的となっています。IP電話の場合は、インターネット回線開通手続きも必要なので注意しましょう。
引越し日の決定
手続きが完了すれば、工事業者との打ち合わせに入ります。レイアウト案を確認してもらい、移転先のオフィスを下見しながら、各種機器の配置場所決定・価格見積もり・移設日決定を行いましょう。移設日は、事業への影響を抑えるため休・祝日に行うのが一般的です。
できる限り複数業者に見積もりを依頼する「相見積もり」を行うことをおすすめします。各業者の熟練度・価格の安さ、アフターサービスの充実度を確認しながら、自社にあった最適な業者を選定できます。依頼する業者を選んで移設計画を作成し、契約書にサインをすれば契約成立です。
工事
契約書に記された予定日に、移設工事は始まります。基本的な引っ越しの流れは、以下の通りです。
1.オフィス移転前日
・電話回線設置
2.オフィス移転当日
・ビジネスフォンと主装置(PBX)を撤去し、新オフィスへ移設
・デスクなどの什器を搬入している間、電話回線ケーブルを主装置(PBX)に収容し、開通試験を行う
・什器設置搬入後、ビジネスフォンやFAXを設置
・最終動作確認後、工事完了
複数の業者が作業を行うため、混乱することのないよう的確な指示を与えてください。最終動作確認の際には、ビジネスフォン利用に支障がないか入念にチェックしましょう。
ビジネスフォン移設時にやるべきこととは
ビジネスフォン移設の際は、電話設備の見直しを行なってください。電話機の増台や回線の変更など、通常は手間がかかる作業を、移設と同時に実行する良い機会となります。ビジネスフォンの台数・回線・主装置(PBX)をチェックし、新オフィスに移転する際改善できるポイントがあるか確認してみましょう。工事業者に相談すれば、「現オフィスの電話設備に対する不満をどう解消するか」が具体化できます。ビジネスフォン移設時にチェックすべきポイントは、以下の通りです。
移転先の電話番号の確認
まずチェックするべきなのが、「移転先でも同じ電話番号が使用できるか」です。電話局のエリアをまたぐと、同一市内でも電話番号が変更される場合があります。ホームページ・名刺・看板に記載された電話番号も変更が必要となり、追加費用が必要です。ただし、この機会を利用して、顧客にもっと親しんでもらえるような電話番号に変更することもできます。
電話番号が変更となった場合は、新しい番号を社員や顧客に周知させ、トラブルのないようにしましょう。旧番号にかけた際、電話番号の変更と新番号の告知を自動音声で行うサービスもあります。利用したい場合は、通信キャリアや工事業者に相談してください。
電話回線の変更
電話回線も、オフィス移転時に見直すのが効果的です。現在のオフィスでは、以下の回線が主に使われています。
・アナログ回線
・デジタル回線(ISDN、ADSL)
・光回線
アナログ回線は、1回線で1通話のみ・通話料金も割高というデメリットがあります。デジタル回線は、ADSLの新規申し込み受付が終了しており配線ができません。
オフィス移転の機会を利用し、光ファイバーによる高速通信が可能・パソコンとネットワークを統合できるなど利点の多い光回線に変更するのがおすすめです。ただし、物件によっては光回線が利用できないケースもあるので注意してください。
ビジネスフォンの設置台数の見直し
ビジネスフォンの台数も、一度見直してみましょう。利用頻度が高い場合は増台、低い場合は減台し、最適な数になるよう調整してください。ビジネスフォン設置台数の目安は、以下の通りです。
・社員数の3分の1(社員10人の場合は3〜4台)
・デスク+会議室の数(デスク5台、会議室2室で7台)
業績が好調で人員増強や規模拡大を計画している場合は、目安よりも多少多めに設定するのがおすすめです。
クラウドPBXの導入を検討
小規模オフィスの場合は、ビジネスフォンを統括する主装置(PBX)をクラウドPBXに変更するのもおすすめです。インターネット上で通信・通話を行うクラウドPBXは、従来の主装置(PBX)に比べ、以下のようなメリットがあります。
・電話回線の配線が不要
・導入コストが安い
・外出中でも、会社の代表電話番号で通話できる
オフィス移転時のコストも大幅に節約できるので、頻繁にオフィスを移す企業では特におすすめです。
スムーズな引越しのためのポイント
最後に、オフィス移転時に引っ越し作業をスムーズに行うポイントを解説します。
・トラブルがあっても対処できるよう、余裕を持ったスケジュールを設定する
・内線外線番号表を作成し、確認しながら作業できるようにする
・どこに配置する電話機か、シールや印をつけてわかりやすくする
・新しい番号のアナウンスや転送手配を行い、スムーズに移行できるようにする
これらは専門知識がなくても実行できるので、オフィス移転の際必ず実行しましょう。トラブルを回避し、短期間で電話設備が利用できます。
まとめ
オフィス移転の際は、ビジネスフォン設備の見直し・工事計画の作成・工事業者への手続きなど、様々な作業が必要です。電話網のシステムを改善するチャンスでもあるので、光回線やクラウドPBXの導入も積極的に導入しましょう。工事業者と協力・相談しながら、業務に適した通信設備を構築しましょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。