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オムニチャネル・コンタクトセンターシステム|SNS|トラムシステム

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SNSを使った応対業務とは?

旧来は、企業が顧客とやりとりするのに利用してきたチャネルといえば、主に電話でしたが、インターネット通信により、メール、チャット、そしてソーシャルメディアなどを利用した他チャンネルかが進んできました。特にソーシャルメディア(以降SNS)については一般Consumerだけではなく企業もSNSを使った広告を繰り広げていることはご承知の通りです。SNSのチャネルを介して、企業が顧客との関係を良好なものに進展させ、売上につなげていこうという考え方を「ソーシャルCRM」といいます。

よって、SNSを使った応対業務はソーシャルCRMの一つとして定義していきます。SNSに書き込まれている自社製品サービスに関する疑問やつぶやきに対して、それらを解決する回答をそのメディアに企業のコンタクトセンターからアップすることで、自己解決が高まり、結果としてSNS利用者の満足度を高めることになる活動全般が期待されます。

具体的なソーシャルCRMのシステムに入る前に、SNSの利用状況を確認してみます。日本のSNS利用者は2017年末に7,216万人、2019年末には7,732万人へ拡大しています。また、ネット利用者の76%がSNSを利用している状況です。

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引用元:http://ictr.co.jp/report/20171011.html

また、下のグラフをご覧頂くとSNSアクティブユーザの年代構成をみるとLINEは全般的、Twitterは若年層、Facebookは中年層に広まっていることがわかります。

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引用元:http://www.riskybrand.com/research/mindvoice_181024/

各SNSの利用目目的としては、TwitterやInstagram、Facebookを通じて情報収集をしていることがわかります。LINEとその他の利用目的を明確に分けているのですね。特に、Twitterは趣味の情報やニュースが入手でき、情報発信用途でも活用されていると言えます。

匿名で投稿でき、つぶやき形式の短い文章を中心としたスタイルは、“本音”でのコミュニケーションが実現されている為、企業にとって自社サービスを利用者の趣味に関連させたり、新製品や新サービスのニュース発信のために有用なメディアと活用が進んでいます。

Twitterを利用していると、自分のフォローや自分が呟いたコメントに関連する企業サービスの案内が登録されていますね。

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引用元:http://www.riskybrand.com/research/mindvoice_181024/

顧客・企業のメリット

では、なぜソーシャルCRMが企業にとって有効なのでしょうか?
最も大きな理由は、顧客の生の声を直接確認できる点です。
上記のデータの通り、SNSを使って企業や製品サービスについての様々なコメントが行き交っています。ソーシャルメディアで語られている会話の3割程度は企業の商品やサービスに関する会話であるというアメリカでの調査結果もあります。
SNSが無い時代には、敢えてアンケートやインタビュー調査をするか、コールセンターに寄せられた意見、クレームをオペレータが入力し、それをVOC(Voice of Customer)として取りまとめる必要がありました。
また、コールセンターに寄せられる意見・クレームというのは本当に一部の利用者のみで、氷山の一角と言っていいと思います。大半の顧客は、コールセンターにわざわざ連絡をすることなく製品サービスの判断をしてネガティブな意見を持った場合には、自社の製品サービスの利用を辞めてしまっています。
また、コールセンターでの顧客満足度は特定の1人に影響しますが、SNSでの顧客満足度は1人のクチコミを通じて多くの潜在顧客への満足度を左右する可能性があります。

一方で、顧客側としては、SNSでは、先の通り、気楽に本音を発言できることから、製品サービスについて同じ価値観をもつ利用者を見つけやすくなるというメリットがあります。

企業がSNSに展開されている顧客の本音を拾い活用する方向性は2つあると考えます。

1.顧客の行動を分析し、製品サービスに活用するためにソーシャルメディアを活用する
2.SNSを電話以外のデジタルチャネルとして、メール同様に顧客にアプローチするチャネルとして活用する

1点目の代表的な使い方の例はファミリーマートのTwitterです。Twitterで新商品の宣伝をして、その感想をTwitterから集め商品開発に活用されています。(以下はファミリーマートのTwitter一例)

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2点目のコンタクトセンターへのアクセスチャネルとしてSNSを活用している代表的な例が“ダスキン相談室”です。
深夜でも、気になった時にいつでも相談できるのがこの相談室の魅力です。ダスキンコンタクトセンター時間外の質問には翌営業時間に回答する運用となっています。これにより、夜帰宅後や掃除をしようと思った時に質問をしたり回答を確認することができます。メールの問合せ運用と似ていますが、SNSならではの特徴として他のユーザーが質問した過去の履歴から自分の知りたい掃除情報を探すことも可能です。

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引用元:https://twitter.com/duskin_osouji(2019年は停止中)

では、次にソーシャルCRMの問合せ回答を実現するシステムはどの様に構成され、導入する上でどのような考慮が必要になるかについて解説していきます。

オムニチャネルシステム

まず、オムニチャネルの業務を支援するシステムについて、チャットを含めて以下の様なチャネルを有機的
にコントールし、お客様とオペレータとのコンタクトを効率的に運用システムシステムが想定されます。

・電話 :モバイルを含めたPSTN網からのデジタル電話、IP電話の受電
・メール :インターネット経由で企業のメールサーバにて受信したメールの取り込み
・チャット :Webサイトまたはモバイルからリアルタイムでのテキストチャット送受信
・SNS :Twitter,Facebookへの投稿に対する支援投稿
・SMS :SMSプロバイダを介したリアルタイムショートメッセージ送信
・FAX :FAX受電、FAX送信
・LINE :LINEでのテキストメッセージ送受信、LINEでの通話
・WEBRTC :Webサイトまたはモバイルからのリアルタイムビデオチャット送受信

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上記では、SNSとLINEを別にご説明致しました。以降のシステム構成についても同様に、SNSのターゲットチャネルとしてはTwitterやFacebook等を想定し、LINEは別途解説致します。

ソーシャルCRM対応機能

SNSに書き込まれている自社製品サービスの顧客の声を収集し、回答する応対の機能と顧客の声を分析レポート化するVoC機能が必要となります。実現イメージは以下の通りです。

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ソーシャルCRMシステム実現イメージ

①SNSをクローリングし、情報収集する(ソーシャルリスニング)

SNSに書き込まれている自社の製品サービスに関する発言について、ソーシャルリスニングの実施方法は、Webサイトから会話のテキストデータをクローリングし、会話の内容を評価・分析の上VoCレポート化する、という流れです。Yahoo!の「リアルタイム検索」などを使ってもできますが、ソーシャルメディア分析ツールを使うとより効果的な情報収集と分析が可能となります。

②電話同様にCRMシステムに取り込む機能

情報取集結果をコンタクトセンターのオペレータが確認できる仕組みが必要となります。電話・メール応対の
コンタクトセンターで利用しているCRMシステムをできれば活用したいので、そのシステムに収集データを
取り込むことで統一的な管理が実現できます。

③質問、クレームに対する回答を記載し、SNSにアップする機能

SNSへの書き込みに対する回答については、電話・メールでの回答履歴やFAQをもとに作成することが多いと思われますので、それらを参照の上、SNSつぶやきに対しての回答を用意します。
作成した回答は、①で収集したツールを使って該当の箇所にアップにします。

④VOCとしてレポート分析する

発言の件数、それらを「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」に分けたり、具体的に何に対してポジティブなのかを深掘りしていくことになります。
ここでは、テキストマイニングツールなどを活用したレポート分析が使われることになると思います。

ソーシャルCRMシステム設計の論点

ソーシャルCRMシステムを導入する上では、以下の様な観点での事前検討が必要です。

①SNSへのソーシャルCRM業務の目的・期待する効果

書き込み内容を収集してVoCレポート化するだけとするのか、サポートチャネルとしてSNSを位置づけ、個人の書き込みに対してコンタクトセンターから反応回答をするのか?
それぞれの期待効果を十分に吟味する必要があります。

②どのSNSをターゲットとするのか?

Twitter,Facebookどちらをターゲットとするのか?その他のSNSの必要性と合わせてターゲットのSNSを検討

③情報収集の仕組み

Yahoo!やGoogleを使うのか?専用ツールを使うのか?

④応対画面

発言内容をコミュニケータ応対画面にどの様に取り込むか、返信を記載するインターフェイス
管理者として必要な画面の定義

⑤サービスレベル

先のダスキンの様なTwitterを使った問合せを受ける場合に回答までのサービスレベル時間を定義し、Twitter上に公開しておく必要があります。

⑥運用体制

電話でのスキル定義同様に対応商品や問合せ内容に応じてスキルを定義し、スキルルーティング出来る設計が必要です。

⑦管理者の確認方法

発言内容に対する回答案をオペレータが記載した後、管理者のチェックを受けて最終的に回答送信するフローとなる様に、オペレーターから管理者への承認依頼・管理者から最終的に顧客への回答送信となるフローを実現する必要があります。

⑧回答テンプレート

回答開始時、終了時などの定型文と、回答内容に応じたテンプレート作成が必要です。

最後に

SNSの書き込みに対する企業のとらえ方は様々です。SNSに展開されている顧客の本音を、どの程度真摯にとらえて、製品サービス化に役立てるのか、企業戦略の一部としてソーシャルCRMは有効活用できる可能性があります。
SNSでの1人の顧客のつぶやきがN人の潜在顧客に付加価値のあるクチコミとして共有・拡散することがありえます。つまり、1人のお客様からの満足度の向上が結果的に複数の新規獲得・リピート促進・CS向上に効果を引き出すことができる可能性があります。
上記を参考にソーシャルCRM業務の活用法について検討してみてください。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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