クラウドPBXや電話システムについてIT・通信のプロが解りやすく解説|voice

ビジネスフォンやクラウドPBXを電話・通信のプロがわかりやすく解説!

\ クラウドPBX資料 /

無料ダウンロード

フリーワード検索

フリーアドレスオフィスの事例7選!導入手順・失敗しないポイントも解説|トラムシステム

会社の生産性向上やコミュニケーション活性化の解消に、フリーアドレスの導入は有効な施策の1つです。しかし、導入後に制度が形骸化してしまったり、結局廃止になったりすることもあります。

オフィスに関する施策は費用や時間がかかるため、課題を前もって把握し、対策を講じておきたいものです。本記事では、フリーアドレスオフィスの事例や、導入手順、失敗しないためのポイントについて解説します。
サムネイル画像

オフィスのフリーアドレス制とは

フリーアドレスとは、オフィスレイアウトの種類の1つで、社員は自分の固定席を持たずに自由に席を選択して働く形式です。

カフェのように大きなテーブルに複数のイスが配置されており、社員はノートパソコンやスマホ、Wi-Fiなどを使って業務を行うのが一般的です。部分的にフリーアドレスを実施するケースもあります。

フリーアドレスでは、作業に集中したいときは周囲に人の少ない静かな席に座る、コミュニケーションが必要な業務をする場合は関係者の近くに座るなど自分の業務に合わせて場所を選びます。

リモートワークが進んで社内の空席が目立つ、組織のコミュニケーションを活性化させたい、といった課題の解決に有効な施策として導入する企業も増えています。

フリーアドレスのメリット

フリーアドレスを導入することで、主に次のメリットが得られます。

・コミュニケーションが活性化する
・オフィス空間を有効活用できる
・社員の主体性が向上する
・組織改編・人数変更に柔軟に対応できる

フリーアドレスではオフィスのレイアウトに目が向きがちです。しかし、実際にはオフィスの配線を極力減らして無線化する、紙の文書やハンコの廃止などの業務プロセスを変更するといった施策が必要な場合が多いです。

結果的に、組織全体の働き方が大きく変わるケースも多いため、働きやすく生産性が高い組織を目指してフリーアドレスの導入を試みるケースもあります。

フリーアドレスのメリットやデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。

フリーアドレス制導入の成功事例

フリーアドレスの導入で、成功する企業もあれば失敗する企業もあります。成功する企業はどのような観点で導入し、どのように運用しているのでしょうか。ここからは、フリーアドレスの導入に成功した企業の事例を紹介します。

日本航空株式会社

2015年、日本航空株式会社では、1人あたりの総労働時間を1850時間/年にすることを目標に「ワークスタイル変革」を宣言しました。その後もダイバーシティやテレワークなどを通じ、誰もが活躍できる会社を目指した取り組みを行っています。

その一環として行われたのが、フリーアドレス制の導入です。導入前は常時在席率が全体の70%ほどで、机の半分は書類が占めているなど、オフィス空間に無駄が多く見られました。

ペーパーレス化を推進し、フリーアドレスにしたことで、利用可能なオフィススペースが増え、小さな打ち合わせスペースを新しく設けることができるようになりました。結果、社内のコミュニケーションも活発になりました。

さまざまな取り組みにより、生産性が向上して労働時間も減少し、社員の満足度も向上するといった成果が生まれています。

参考:

日本航空「ワークスタイル変革」
日本航空「社員がイキイキと働ける環境をめざして 日本航空が実践する働き方改革」

キユーピー株式会社

キユーピー株式会社では、生産性の向上や社員の働きやすい環境作りを目的に、フリーアドレスに早くから取り組んでいます。

通常、フリーアドレスは営業部門やマーケティングなどの部門を中心に行われますが、キユーピーでは地方の工場の間接部門にも導入を進めました。

その結果、部門を越えた情報共有・コミュニケーションが円滑になったことで、商品開発のスピードが大きく上がりました。通常数年の期間を要する基礎研究の結果から商品開発に至るプロセスを、最短1年にすることができたという事例もあります。

参考:

キューピーグループ「統合報告書2019」
日本経済新聞「フリーアドレスで研究員を刺激 キユーピーやピジョン」
Talknote「「フリーアドレス」の効果を知ってますか? 成功事例7選と失敗事例から学ぶ」
日経クロステック「工場の間接部門でフリーアドレス導入進む、トヨタ流業務改善の一環として自発的に現場が導入」

ピー・シー・エー株式会社

ピー・シー・エー株式会社では、2021年12月の本社ビルの全面改装時に、各フロアにコンセプトを持たせるというユニークなフリーアドレスに取り組んでいます。

コロナ禍の2020年から在宅勤務を開始した同社では、約8割の社員が在宅勤務になり、オフィスの空洞化が生じました。オフィスの必要性が問われる状況の中、「元のように出社したくなるように」との思いでオフィスの改装が行われました。

改装のキーワードは「必要な働き方を求めてオフィスを旅する」です。カジュアルでオープンな空間を持つフロアや、個室や少人数用に区切られた席を中心としたフロア、屋外のような雰囲気で気分を変えて仕事ができるフロアなどを作りました。

大きな変革にあたり、社員からも不安の声も多く出たそうです。しかし、新しい働き方について何度も説明の場を作り、目的や思いを共有したことで狙い通りの使い方をしてもらうことに成功しました。

参考:

ピー・シー・エー
KOKUYO「導入事例」
KOKUYO「インタビュー」

カルビー株式会社

カルビー株式会社は、フリーアドレスの導入は2009年と早くから取り組んできた企業です。「部屋の中に閉じこもっていては良いものは生まれない」と考えてフリーアドレスを開始しましたが、社風や紙資料などが当初の壁になっていたそうです。

1つ1つの課題を解決していくうちに、ダイバーシティやリモートワークなど働き方改革へもつながりました。フリーアドレス化は短期的な成果だけでなく、中長期的な環境変化への対応にも効果があったと評価しています。

席決めは完全に個人の裁量に任せるのではなく、希望をもとにシステムによりランダムで決定されているなど、マンネリ化を防ぎ、コミュニケーションを広げるための工夫がされています。

参考:

カルビーCULTURE
まもりの種「フリーアドレスから働き方改革へ。オフィス改革を進めるカルビーの思想」
日経xwoman「毎日ダーツで席が変わる カルビーのオフィスに潜入!」
文春オンライン「カルビー『フリーアドレス』オフィスは在宅勤務推進への一歩」

株式会社内田洋行

オフィスファシリティの専門企業である株式会社内田洋行は、フリーアドレスを「生産性高く躍動的な組織を実現するための装置」と位置付け、自社で導入しながら研究を続けています。

国内企業のオフィス面積と1人あたりスペース、固定席とフリーアドレスの比率、コラボレーション用スペースの比率、席やスペースの稼動率などを調査し、ベンチマーク数値に基づいて改善目標を立て、レイアウトを一新しました。

しかし、フリーアドレスは「変わりたくない」という心理との戦いだったようです。合意形成や定着のプロセスをよく考えることや、導入後の運用・評価・改善をしっかり行うことを重視しました。

結果、80%以上の社員がコミュニケーションが増えたとの回答を得られたそうですが、こうした情報を可視化することも大切とのことです。

参考:

内田洋行「フリーアドレス2.0の実際」
JBPRESS「オフィス変革に必要なのは生産性の成果目標」

パーソルキャリア株式会社

人材事業を営むパーソルキャリア株式会社では、新しい働き方に対応するため、オフィスの8割をフリーアドレス化するという目標を掲げています。社会の変化の中、人材との面談もオンラインが増え、オフィスの機能見直しや最適化が急務でした。

オフィスを整理・刷新し、固定席の8割をフリーアドレスに変更しました。また、空いたスペースをニーズの高まった動画撮影スタジオとして活用する、同社グループ社員なら自由に使えるカフェスペースを作るなど、オフィスの機能を大幅に刷新しています。

社長室の前にもフリーアドレス席を設けたことで、経営層と社員の接点を作り、コミュニケーションの活性化にも成功しました。

参考:

パーソルグループ「パーソルグループ 新しいはたらき方に対応しオフィスリニューアル」
PLUS「フリーアドレス導入における、よくある目的とは?達成するためのポイントを紹介」

ダイヤオフィスシステム株式会社

ダイヤオフィスシステム株式会社では、働き方改革の一環としてフリーアドレスが導入されました。働き方改革のプロジェクトチームが主導となり、トップダウンではなく社内の声に耳を傾けながら導入を進めていきました。

導入では、島型の席だけでなく、集中できるブース席やカウンター席、立ったまま仕事ができる席などさまざまな席を用意しました。それでも席が固定化することがあるため、グループ単位で場所をローテーションさせるなど運用を工夫しています。

フリーアドレス導入と並行して業務のペーパーレス化にも取り組んだ結果、紙書類を保管したり探したりする手間が削減された、書類の必要性を見直す頻度が高くなったといった効果もありました。

参考:

ダイヤオフィスシステム「本社オフィスをリニューアルしました」
ダイヤオフィスシステム「【事例紹介】周囲を気にせず集中できる!個室型ワークブース」
働き方改革事例集「テレワークで残業時間を3割削減」
アシスト「NO.26 ダイヤオフィスシステム」

失敗しないフリーアドレス導入の手順

フリーアドレスの導入に関する課題は会社によってそれぞれ異なり、導入後の運用で失敗してしまうケースもあります。ここからは、フリーアドレス導入の手順やポイントについて解説します。

1.導入目的を明確にする

まず最も大切なポイントは、なぜフリーアドレスを導入するのかという目的を明確にすることです。きちんと明文化し、説明ができるように準備しておきましょう。

フリーアドレスは働き方への影響が大きいため、好ましく思わない層がいるのが普通です。また、一時的には喜ばれても、期待したような働き方に変化せず、固定席の頃と同じような座り方になってしまうこともあります。

導入目的を社内に共有・浸透させることがフリーアドレスの成功に大きく関わります。説明の機会や社員の声を聞く機会なども合わせて検討しておくとよいでしょう。

2.導入対象となる部署・座席数を決定する

導入対象になる部署や座席を予め決めておきましょう。感覚的に決定せず、可能な限り席数や面積はデータをもとに算出し、関係者と協議した上で決定します。

会社の雰囲気や役職、部署によっては固定席のほうが働きやすい場合もあります。自社にとって好ましい状態は時期と共に変わりますので、必要な部署から部分導入していくのも1つの方法です。

3.運用方法・ルールを決定する

フリーアドレスはオフィスのレイアウトを変えるだけではうまくいきません。導入した目的に対して成果を出している企業では、その運用やルールについてもよく考えられています。

社内で運用ルールを明文化し、社員用のポータルサイトなどでいつでも確認できるようにしておきましょう。また、社内の研修や説明会などの場を設け、フリーアドレスの目的やメリットを意識して業務に取り組んでもらうことが大切です。

フリーアドレスでは、次のような課題が生じるケースが多く見られます。フリーアドレスの効果を最大限発揮するためには、あらかじめ対策しておきましょう。

誰がどこにいるかどうかわからない

フリーアドレスは社員が自主的に席を決定するため、所在がわからなくなることも多いです。所在がわからないと、急ぎの用がある場合の対応や伝言がうまくいかなくなります。

座席管理用のツールの使用や、場所の報告ルールを定める、ホワイトボードに記載しておくなど、所在確認のためのルールやインフラを整備しておきましょう。

私物や書類の管理に時間を取られる

フリーアドレスでは個人用のロッカーや棚で私物や書類を管理します。しかし、都度ロッカーに取りに行ったり保管しに行ったりするのは、長い期間で見ると大きな時間のロスになります。

私物や書類の管理には専用のルールが必要です。個人情報などの取り扱いが関わることもあるため、どの書類を個人で持ち、どの書類を専用スペースに保管するか明確にしておきましょう。

座席や机の上に私物を置いて占有すると迷惑になるため、禁止だと明言することも大切です。また、文具や消耗品は一カ所で管理し、皆で共有するようにルールを整備しておくと管理が楽になります。

結局席が固定化してしまう

フリーアドレスでは働き方に応じて席を自由に決定できますが、働き方に大きな変化がない場合や、個人の性格などにより席が固定化してしまう場合があります。

席が固定化してしまう場合は、グループ単位で場所をローテーションさせたり席をランダムで決定する日を設けたりと、会社権限で変化をつけて様子を見てみましょう。

集中力・生産性が低下する

フリーアドレスにしたことにより、集中力や生産性が低下してしまうことがあります。フリーアドレスはコミュニケーションが増えますが、一方で社内が騒々しくなってしまうこともあり、周囲への配慮も求められます。

デスクワークなどに集中する人のためのエリアや、複数人の打ち合わせ用のコミュニケーションスペースなどを用意して、業務内容にあわせて働く場所を選択できる環境を作りましょう。

4.デスクやツールを準備する

働きやすい環境作りは、フリーアドレスの満足度を大きく左右します。デスクやツールを整備するだけでも、コミュニケーションの頻度や雰囲気は大きく変わります。

デスクも、広く多人数が座って仕事ができるカフェスタイルのデスクや、スタンディング用デスク、横並びでコミュニケーションを取りやすいカウンター型デスクなどさまざまです。目的や社内のニーズに合わせてデスクの種類や数を考えましょう。

また、パーティションや荷物置き用のワゴンなどもあると便利です。また、冬場は上着を置くためのハンガーなどがあると喜ばれます。

5.社員参加型でPDCAサイクルを回す

うまくフリーアドレスを取り入れている企業では、社員がフリーアドレスの導入や成果測定に参与する機会が多い傾向があります。フリーアドレス化を「自分ごと」として考えてもらうためにも、社員の声を聞く機会や、会社の考えを説明する機会を設けましょう。

現場からのオフィス環境への課題に対して、PDCAサイクルを回していくことで、より満足度の高いオフィスに変わっていきます。社員も積極的にフィードバックを行ってくれるようになり、社内の一体感も高まるでしょう。

まとめ

フリーアドレスの導入に成功した企業では、レイアウトの変更だけでなく、ルールやファシリティ、ツールなど細部にも配慮して導入プロジェクトが進められています。会社としての目的をしっかり伝え、社員の声に耳を傾けながら導入を計画、推進していきましょう。


プロフィール写真

WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

注目記事Recommend Post

  • 業界別クラウドPBXのおすすめ理由丨飲食・IT・学校・人材派遣など

    2021.12.28

  • ダイヤル回線とプッシュ回線とは?仕組みや違いを解説

    2020.11.30

  • 【基礎】ビジネスフォン主装置とは丨役割・種類・選び方を解説