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2018.11.26

2024年ISDN回線サービス終了丨早めの切替・対策が必要な理由|トラムシステム

2024年1月にISDN回線の「INSネットディジタル通信モード」のサービスを終了すると、NTT東西が発表しました。普段意識することが少ないISDN回線ですが、利用できなくなることで業務への影響は大きなものになります。この記事ではサービス終了による影響や取るべき対応について説明します。

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ISDN回線とは

ISDN(Integrated Services Digital Network)とは、デジタル信号でやりとりできる回線です。1つの電話番号で2回線分利用できるため、電話を利用しながらFAXやインターネットを利用できます。

ISDNは1988年にNTTによりサービスが開始され、ピークの2001年には加入者数1030万件に達していました。その後、光回線を利用したひかり電話が主流となると、ISDN加入者数は年々減少し、現在は2018年280万件となってます。

2024年にISDN回線はサービス終了

NTT東西は、加入電話・INSネット(NTTが提供するISDNサービスの総称)をIP網へ移行すると発表しました。

加入電話、INSネットの需要の低下と公衆交換電話網(PSTN)内の設備機器維持の限界が2025年頃に迎えるのが移行の理由です。今までの固定電話はPSTNを経由して通話をしていましたが、移行後はIP網を経由しての通話することになります。

2017年10月17日にNTT東西から発表されたスケジュール上では、2024年1月に切り替えを開始、2025年1月までに全国の局内の切り替えを完了させる見込みです。

IP網への移行にともない、ISDNサービスの一部である「INSネットディジタル通信モード」が2024年1月に終了します。「INSネットディジタル通信モード」とはデータ伝送に特化した通信モードです。パソコンや専用端末を利用し、センター⇄エンド間通信が主になります。

終了までのスケジュール

「INSネットディジタル通信モード」終了までのスケジュールは、下記のとおりです。

2021年1月まで
ーメタルIP電話サービスについて利用者に周知を開始

2021年〜2023年
ー 固定電話を集約している加入者交換機とIP網内設備の交換機を接続し物理的にIP網と接続

2024年1月
ーINSネットディジタル通信モードの終了
ー固定電話発の通話をIP網経由へ順次切り替え
ー固定電話(加入電話・INSネット)サービスの終了及び、メタルIP電話サービスの開始

2025年1月
ーIP網へ切り替え完了

2024年から開始されるメタルIP電話とは、メタル回線、IP網を利用した電話の呼び名です。利用者の宅内での工事は不要で電話機等の端末はそのまま使用可能です。

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サービス終了の影響

ISDN回線サービスの終了に伴い、現在の利用者は新しいサービスや他サービスへの移行・乗り換えが必要になります。具体的な影響を整理します。

・一般家庭への影響
ISDN回線は帯域幅がせまく通信速度が遅いため、一般家庭においては帯域幅が広く高速なADSLや光通信回線への乗り換えがほぼ終了しています。したがって、2024年のISDNサービス終了には影響が出ないと言われてます。

・企業への影響
企業が利用する業務領域では、以下のような特定の分野への利用が依然として大量に残されています。

・POSシステム(企業の本部と店舗間のPOS端末通信)
・CAT端末(クレジットカード会社と店舗間のカードの有効性を確認するための通信)
・EDI(電子商取引におけるメーカー・卸・小売間での商品受発注データ通信)
・警備端末(警備会社と自宅や企業との監視映像通信など)
・レセプトオンライン請求(診療報酬等の請求データ通信)
・銀行ATM(銀行のセンター拠点と店舗ATM間のデータ通信のバックアップ)
・G4FAX(マルチコピー複合機によるFAX送受信)
・企業内WAN(企業内ネットワークでのデータ通信のバックアップ)
・ラジオ放送(番組中継や他局への番組素材配信など)

INSネットディジタル通信モードのサービスが終了すると、上記のようなシステムが利用できなくなります。POSレジなどで利用していた場合、商品の発注ができなくなったり、企業間でデータ連携を取っている場合は、生産ラインの停止等の深刻な影響が発生する可能性があります。

サービス終了に向けて、今やるべきこととは

新しいEDIシステムへの切り替えを行う場合、EDIを利用してデータ通信を行っている取引先と切替タイミングや通信方式等を相談し、業務に影響が出ないように切替作業、テスト等を実施する必要があります。

EDI利用企業がサービスの終了間際に駆け込みで対策しようとした場合、EDIに精通したベンダーのSEが不足し、切替作業まで時間がかかったり、プロジェクトが滞る事態が想定されます。そのため、新サービスへの切替検討は早めに始めるようにしましょう。

ディジタル通信モードの提供終了までに端末更改が間に合わない利用者への当面の対応策(補完策)としてメタルIP電話のメタル回線を利用した通信が考えられています。しかし、このメタルIP電話回線は、通信環境によっては伝送遅延が現状より最大10倍になると検証結果がでていることから注意が必要です。

特に、クレジットカード会社⇄店舗間のCAT端末通信の場合、それだけサービスに影響がでる可能性があり、実用的ではありません。

まとめ

2024年1月に終了する「INSネットディジタル通信モード」は様々な業種で利用されています。まだ時間があると考えがちですが、実際の検討、切替作業、テスト等を考えると余裕を持って始める必要があります。自社や取引先の利用状況を再度確認し、連携を取りながら対応を行っていきましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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