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2021.05.14

わかりやすいテキストマイニング丨できること・分析手法・活用例を解説|トラムシステム

ビジネスで発生する文章データを自然言語処理と呼ばれる技術で分析し、有益な情報を得るのがテキストマイニングです。AIや機械学習の発展、ビッグデータの登場によって実用レベルに達した技術で、市場動向や消費者意識を探るうえで非常に重要となっています。テキストマイニングの例や手法を本記事で学びましょう。

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テキストマイニングとは

テキストマイニングは、AIが自然言語解析を用いて文章を単語ごとに分割し、出現頻度や相関関係を分析することで、マーケティングや顧客満足向上に繋がるヒントを企業に提供します。

以下のような理由から、アンケートやインタビューなど人力で行う作業よりもはるかに効率的と言われています。

1.分析に必要な労力が大幅に減る
人力では100枚のアンケートでも分析するのにかなりの時間を要しましたが、ツールを利用したテキストマイニングなら短時間かつ自動で完了します。

2.ビッグデータを解析できる
SNSの書き込みといった膨大なデータ量が存在するビッグデータから情報を抽出可能で、従来の分析では発見できなかった消費者ニーズやキーワードを発見できます。

コールセンターやコンタクトセンターでも大々的に導入されており、テキスト化した顧客との通話履歴をテキストマイニングで分析して、業務効率改善や他部署への情報提供を行っています。

マイニングの意味

マイニングは「採掘する」という意味があり、テキストマイニングでは「大量の文章データから有益な情報を抽出する」と解釈されています。

AIによるテキストマイニングは、人力では到底処理しきれないほどの情報の中から効率よく情報をピックアップする、つまり「採掘する」ことが可能です。企業が消費者心理を読み取って競争に勝ち抜くためには、専用ツールを導入したテキストマイニングが重要となります。

テキストマイニングの種類

テキストマイニングには「探索的データ解析」と「文書分類」の2種類が存在しています。

・探索的データ解析
未知の情報や正確な回答がない質問の答えを探るデータマイニングです。テキストを単語ごとに分割し、時系列変化や出現頻度などさまざまな観点で分析が行われます。

・文書分類
テキストデータを内容に基づいて分類するデータマイニングです。定義されたテキストデータ内から新たな法則や傾向を発見し、目的に合わせて利用します。

テキストマイニングの対象データ

テキストマイニングで分析対象となるビッグデータは構造化・定量データと非構造化・定性データの2種類です。

・構造化・定量データ
数値などで表現できる比較的取り扱いの簡単なデータ

・非構造化・定性データ
人間の感情など数値で表現できない扱いが難しいテーマ

テキストから非構造化・定性データを抽出するのは現代技術をもってしても簡単ではないため、構造化・定量データがよく用いられます。

例えば、問い合わせからクレームの件数を把握することできても、クレームそれぞれの不満度をデータ化するのは簡単ではありません。テキストマイニングでは構造化・定量データにスポットを当て、以下のデータからより効率的に情報を抽出しています。

・インターネット掲示板、口コミサイト、SNSなど外部で消費者が行うインターネットへの書き込み
・自社サイトへの問い合わせ文、アンケートの自由記述、コールセンターでのやりとりといった内部で蓄積される情報

全てを細かく分析するのは時間がかかるため、目的に応じた媒体を選択し、テキストマイニングで概要を理解した後、細かい分析に移るのが一般的です。

テキストマイニングのメリット・出来ること

これまで活用するのが難しかったテキストデータを企業経営に生かせることから、テキストマイニングは注目されています。どのようなメリットがあるか見ていきましょう。

市場・顧客ニーズをすばやく察知・把握

商品やサービスの販売数を伸ばすには、市場や顧客ニーズの適切な理解が欠かせません。

しかし、インターネット上の書き込みや社内サイトへの問い合わせに溢れている顧客の声(サービスへの満足、不満足、要望など)を分析することは簡単ではありません。

そこで活用される技術がテキストマイニングです。

テキストマイニングによって不正確な分析やバイアスのない有益な情報を抽出し、ニーズを素早く察知できます。実際の販売に大きな影響を及ぼす前からテキストマイニングで動向を分析できるため、サービスが売れない理由や機会損失をいち早く発見し、アクションを起こせるのです。

ノウハウの属人化を防ぐ

企業で保管される報告書や業務連絡といったテキストデータには、社内業務の効率化やミスの防止に役立つ情報であるナレッジが豊富に含まれています。しかし、ただ保管しているだけでうまく活用できていない企業が多いのも現状です。

このような場合でも、テキストマイニングを利用すれば、例えば営業成績が優秀な社員のナレッジを発見して共有するなど、知識やノウハウのマニュアル化などが可能になります。

ビッグデータを活用した将来予測

企業経営に影響を及ぼす変化には予兆があり、それがテキストによるやり取りにも現れます。この原理を利用すれば、ビッグデータの活用による将来予測が可能です。

商品の売れ行きだけでなく、株価変動や選挙結果といったより高度な事象について一定の予測が立てられるようになります。これらのデータをもとに、生産量の調整や販売停止の可否など状況に応じた柔軟な判断ができます。

データの関係性を客観的に分析

テキストを人間が分析した場合、主観的な判断や関連性の高い情報の見落としなどが頻繁に発生します。

AIによるテキストマイニングであれば、ただ人間が読んだだけでは得られない発見や関連性の高い情報同士の結びつけが可能です。企業はより正確な情報を入手できるようになり、人材を温存してより重要度の高い業務に回すこともできます。
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テキストマイニングの身近な活用事例

テキストマイニングはすでに身近な場面で活用されており、企業運営の助けとなっています。どのような場面で活用されているか見ていきましょう。

顧客アンケートの結果分析

企業では、自社製品やサービスの品質向上のため、または自社や共催セミナーなどでのセミナー評価のため、定期的に顧客向けにアンケートを実施しています。これまでは顧客が記入した手書きのアンケート結果を担当者が手作業で集計してExcelなどで数値を集計して結果報告していることがほとんどでした。

テキストマイニングを使うことで、定量データではなく定性データの中から顧客のニーズを発掘したり、集計や分析時間の大幅な時間短縮の目的のために利用されています。

チャットボットなど質疑応答ツールの精度向上

チャットボットと呼ばれる顧客が知りたい情報を打ち込むと答えを返してくれるツールの精度向上でテキストマイニングが利用されています。

顧客が不明点を解消したいと考えた場合、これまではコールセンターへ直接問い合わせをしたり、FAQコンテンツを確認したりする必要があり、自分がほしい回答をなかなか見つけられずに不満が思うケースが多くありました。

チャットボットでは、自分でFAQコンテンツを調べる必要はなく、知りたい内容(単語や文章)を打ち込むだけで回答を見つけることができ、顧客満足度の向上も期待されています。

このチャットボットは予め質疑応答の対応表を作っていますが、顧客の打ち込んだ検索ワードや課題解決の割合、解決できなかった質問などをテキストマイニングで分析し、その結果をチャットボットのチューニングで利用して精度向上を図っています。

SNS・ブログなどの分析・情報抽出

日々、顧客の声が大量に生み出されているSNS、ブログなどのソーシャルメティアの情報分析にテキストマイニングが利用されています。

どういったキーワードが多いか、キーワードの時系列はどのように変わってきているのか、どのような不満や改善点があるかなど、大量のテキスト情報に対してテキストマイニングをすることで、自社製品やサービスの分析だけではなく、今後のマーケティング活動に必要な顧客ニーズの発掘が可能です。

例えば、自社で積極的に販促活動をしていることがどのくらい顧客に浸透しているのか、どういった態度変容のときに自社ブランドを想起してくれるのか、など客観的な顧客分析ができるのも特徴です。

論文や特許などの動向分析

論文や特許などの分析でテキストマイニングの技術が使われることがあります。論文や特許といった技術文書は専門用語が多く使われていたり、他の技術文書との関連性が分かりづらかったりしますが、テキストマイニングでその関係性を導き出すことが可能です。

例えば、多く使われている単語や語句が見つかれば、今後のマーケティング活動に活かすきっかけになるかもしれません。また、競合他社の特許状況を分析することで、他社の投資傾向を予測して自社の経営戦略に活かしている企業もあります。

テキストマイニングの流れ

(1)「形態素解析」「構文解析」などを用いた自然言語処理
テキストマイニングは、まず分析対象のテキスト情報に対して、分析がしやすくなるよう自然言語処理を施します。

形態素解析とは、テキスト情報内の文章を単語単位に分割して、その分割された単語の品質を特定します。英語の場合は予め品詞が明確に定義されているため分析は容易ですが、日本語はあいまいな文章が多くあるため、高度な処理が求められます。

構文解析とは、形態素解析で分割した品詞を利用して単語と単語動詞の修飾/被修飾を特定します。例えば、「このサービスは機能が豊富だけど見た目がダサい」といったように一つの文章の中に相反した評価が書かれていたとしても、機能は豊富で高評価、デザインはダサくて低評価のように自動で判別してくれます。

このような前処理により、文章を意味がある単語とその関連性を整理します。

(2)「センチメント分析」などを用いた分析
自然言語処理を施したテキスト情報は分析しやすい単語ごとにきれいに整理されています。料理に例えると、野菜が調理しやすいように水で洗われて皮が剥かれており、これから調理(マイニング分析)しやすい状態になっている状態です。ここから、テキストマイニングを行う目的に最も適した手法で、分析を行っていきます。
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テキストマイニングの主な分析手法

テキストマイニングでは、いきなりテキスト情報に対して分析を行うことが難しいため、最初に分析がしやすいように前処理を行ってから分析を行うのが一般的です。

ここからは、テキストマイニングを行う前の前処理や具体的な分析手法を紹介しながら、テキストマイニングの根幹の部分について詳しく解説していきます。

センチメント分析

センチメント分析とは、顧客や消費者の感情、気持ちを分析する方法です。販売した製品やサービスを実際に購入して使用した顧客や消費者が、ボジティブやネガティブなど、どういった感情を持ったのかを分析していきます。特に顧客の心情が直に反映されやすいブログ、twitterなどのSNSなどに多く使われています。

ただし、「やばい」のような、使われる文章や年齢層によってポジティブにもネガティブにも判断ができてしまうものもあります。こういった表現は一度人が内容を解釈してから、テキストマイニングの辞書をチューニングすることで、分析精度を上げていく作業が必要になってきます。

共起分析

一文の中に登場する単語のセットを分析する手法です。例えば「トマト」という単語に対して「赤い」という言葉がセットで使われるといったように、関連性の高いワードの組み合わせを見つけていきます。特定のサービスに対してセットで利用されるワードを分析し、課題や改善点のヒントを得るための分析手法です。

共起の関係性を視覚的に判断するために作られるのが共起ネットワークで、単語同士の結びつきの強さを分かりやすく判別できます。ただし、全ての関係性を一度に表示しても理解しづらくなるため、情報の取捨選択が必要です。

対応分析

対応分析とは、縦軸と横軸で表現されたクロス集計やローデータといったデータを散布図にして分析する方法です。クロス集計やグラフを比較した結果を見ただけではわかりにくいような場合に用いられる手法であり、見た目でわかりやすくできる点がポイントです。対応分析はブランドイメージのような分析によく利用されます。

主成分分析

主成分分析とは、ビックデータに代表されるような多くの分析対象がある場合に、データを分析しやすくするためにできる限り分析対象となる項目を減らす手法です。この技術を「次元の縮約」と呼びます。

主成分分析を行うことで、ビックデータであっても項目を必要最小限に絞ることで見やすくすることができる反面、情報を一部切り捨てて分析することになるため、すべての情報を反映した結果と言えないという弱点もあります。

まとめ

テキストマイニングはコールセンターをはじめ多種多様な企業で分析手法として導入されており、AIを搭載したテキストマイニングツールは企業経営に欠かせないものとなっています。サービスのニーズ把握や売上の将来予測を行いたい、ナレッジを発見して積極的に発見したいとお考えの方はテキストマイニングによる分析を始めましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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