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2022.12.21

テレワーク /

企業のテレワーク廃止はなぜ?注意点や継続するためのポイントも解説|トラムシステム

テレワークには様々なメリットがありますが、全ての企業にとって最適な働き方ではありません。アフターコロナを見据え、完全テレワークを終わりとして通常のオフィスワークに戻す試みが行われています。

この記事では、なぜテレワークの廃止を決定する企業が増えているのかや、継続する手段について解説します。
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なぜ企業はテレワークを廃止するのか?

日経BP総合研究所イノベーションICTラボが2022年10月に行った調査によると「直近1ヶ月でテレワークを週3日以上継続している」と答えた方の割合は37.6%でした。これは、2020年春に計測を開始して以来最低の数値で、企業のテレワーク離れが進んでいる現状がうかがえます。

企業がテレワークを廃止する要因として、以下の5点があげられます。

コロナ禍による暫定措置だったため

テレワーク推進の動きは以前からあったものの、多くの企業は2020年4月の緊急事態宣言に対する一時的な措置として導入しました。多くの国民がワクチン摂種を終え、感染リスクや重症化リスクが低下した今、「オフィスワークに戻してもリスクは低い」と考える企業が現れても不思議ではありません。

コストがかかるため

テレワークは通勤手当やオフィス賃貸料を削減できるとして脚光を浴びたものの、必ずしもコスト削減に繋がるとは限りません。労働基準法により、テレワークで発生する費用は会社負担が基本です。パソコン、ビジネスツール、文房具などを支給すると、企業にとって相応の負担となります。

オフィスの縮小や解約を行わずにそのままにした場合、オフィス賃貸料とテレワーク関連費用を二重に支払うことになります。テレワークの費用対効果が低いと判断した企業がオフィスワークに一本化するのは、むしろ合理的と言えるでしょう。

テレワークにデメリットを感じたため

コスト面以外でも、テレワークにデメリットを感じる企業もあります。例えば、以下の点がデメリットとしてあげられます。

・公私のメリハリがつけづらい
・モチベーションが低下しやすい
・長時間同じ場所での作業が続くことで心身に不調をきたす

経営者だけでなく、社員からも「わが社の業務に適応できないためやめるべきだ」と声をあげるケースが存在します。テレワークを維持するメリットを可視化できなければ、やがて制度そのものが廃止されてしまうでしょう。

コミュニケーションが確保できないため

画面越しにコミュニケーションを行うテレワークでは、業務に必要なコミュニケーションを確保できないと考える企業が増加しています。机を並べて働く際にはできていた以下のようなコミュニケーションが、テレワークによってできなくなった現場もあるでしょう。

・業務の合間に行う何気ない雑談
・一言二言で終わる簡単な業務報告
・目標達成や受注をチーム全体で喜ぶ

コミュニケーションの減少が業務効率や生産性の低下を招くと考える企業は少なくありません。テレワークでもオフィスワークと同レベルのコミュニケーションを維持できると証明されなければ、やがて廃止へと至ります。

社内の平等性やチームワークを保つため

テレワークでは、社員1人1人がどのように勤務しているのか確認することができません。中には「ちゃんと自宅で業務を遂行できているのだろうか」と疑問に感じる社員もおり、チームワークに悪影響を与えます。

また、テレワークを選択できない職種で働く社員や、事情により自宅で働くことが難しい社員の中には「自分たちはずっとオフィスで頑張っているのに不平等だ」といった声もあります。

テレワークを推進することで社内の結束やチームワークに乱れが生じると判断されれば、縮小もしくは廃止へと向かうでしょう。

働く人からは継続を望む声が多い

このように廃止もしくは縮小の動きがあるテレワークですが、社員全員がそれを歓迎するわけではありません。「テレワークを廃止するなら退職する」「働き方改革に逆行する行為だ」とむしろ継続を望む社員の声が数多く聞かれます。

公益財団法⼈ ⽇本⽣産性本部が2022年7月に発表した「第10回 働く人の意識調査」では、次のような結果が示されました。




このように、多くの人が「テレワークで仕事の効率がある程度上がった」と回答し、今後も引き続きテレワークで働くことを希望していることがわかります。

企業がテレワーク廃止前に実施するべきこと

社員の希望に反するテレワークの廃止は、モチベーションの低下や人材の流出につながりかねません。「生産性が上がらない」と廃止する前に、規模を縮小して継続できないかどうか、本当に廃止すべきかどうかなどを検討することが重要です。

以下のようなテレワーク改善施策を実行し、生産性や業務効率にどのような影響を与えるのか調査してみましょう。

ツールの見直し

メールや電話など、オフィスワークで用いていたツールだけではテレワークを成功には導けません。以下のツールを改めて整備し、テレワーク環境下でのコミュニケーションや情報共有に用いましょう。

・文字とアイコンで気軽に会話できるチャットツール
・対面コミュニケーションをオンラインで実現するWeb会議システム
・社内外でアクセスできるクラウドストレージ
・スマートフォンで内線通話や通話転送を可能とするクラウドPBX
・オフィスにいなくても出勤、退社時間を記録できる勤怠管理システム

ツール導入の費用負担が気になる場合は、厚生労働省や経済産業省が主催している助成金制度を利用することができます。窓口で専門家にも相談できるため、テレワークに関する助言をもらい、問題を解決しましょう。

コミュニケーション方法の見直し

社員同士に物理的な距離があるテレワークは、どうしても対面のコミュニケーションが減少してしまいます。テレワークでは、コミュニケーションは無意識にではなく意識的に行うものであると理解し、次のような方法でコミュニケーションの活性化をめざしましょう。

・雑談専用のチャットグループを作る
・Web会議システムでランチミーティングやオンライン飲み会を開催する
・オンライン会議ではできるだけ全員に発言の機会を持たせる
・週1回など定期的に出社日を設ける

管理職へのテレワーク教育

管理職の場合「テレワークで社員をマネジメントするのが難しい…」と苦手意識を持つケースもあります。近年は、管理職についている社員を対象に、テレワークでのマネジメントについて研修を行い、以下のようなことを指示する企業も増えています。

・業務の指示は明確に与える
・部下一人ひとりに対して適切な距離で接する(過剰な干渉や放置を避ける)
・業務以外の雑談や相談をする機会を定期的に設ける
・1on1など個別に話をする機会を定期的に設ける

「テレワークではマネジメントがうまくできない」と諦めるのではなく、テレワークでの部下の管理方法や組織としての一体感の出し方を考えてみることが重要です。

テレワーク廃止にかかるコストの試算

テレワークの費用対効果を検証するため、廃止した場合に発生するコストを試算してみるとよいでしょう。テレワーク関連費用だけで済んでいた複数のコストが突如必要となり、以前より高騰する可能性もあります。

例えば、テレワーク手当てを月5,000円支給していた社員がオフィスワークに復帰し、毎日500円使ってオフィスに毎月20日出勤すると仮定します。交通費を支給する必要があるため、テレワーク廃止前よりもコストが増大していると言えるでしょう。

目には見えにくいコストを見える化し、本当にテレワーク廃止が効率的なのか、コスト削減に繋がるのかの検証が必要です。

評価制度の見直し

テレワークでは他の社員の勤怠や働きぶりを観察しにくいため、新たな評価制度を取り入れる必要があります。

・業務効率やアウトプットのスピードなど明確な評価項目を設定する
・目標管理制度(MBO)を取り入れ、目標達成度と業務の評価を行う
・目標管理にAIを用いてデータにもとづいた公平な分析を行う

社員が「テレワークの人たちがどれだけ働いているか分からない」「正当に評価されているのだろうか」と不満や疑念を抱くような状況を放置せず、透明性の高い評価制度を設計して平等性をもたらしましょう。

社員の個別の事情への対応

「テレワークかオフィスワークか」という二択では、社員の個別の事情には対応できません。働き方にさらなる柔軟性をもたせる以下のような制度を追加で取り入れれば、テレワークの継続に納得感を与えられます。

・副業を許可する
・企業内保育所を設置する
・時短勤務や週4日勤務制度など多様な働き方を整備する

オフィスワーク中心の社員がメリットを享受できる制度があれば、テレワークに対する不満も和らぎ、様々な事情を抱える優秀な社員が定着しやすくなるでしょう。中長期的なコスト削減が実現し、風通しの良い企業文化ももたらされます。
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ハイブリッドワークという選択肢も

テレワークを継続か廃止かで社内の意見が割れている場合には「ハイブリッドワーク」という選択肢もあります。ハイブリッドワークとは、テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方で、出社と在宅を社員自身が柔軟に選択できます。

「特定の出勤日以外はテレワークとする」や「テレワークとオフィスワークを社員が自由に選択できる」など形態は企業によって様々です。

サテライトオフィスやフレックスタイム制度も取り入れれば、時間帯や場所もある程度自由に選択できるようになり、さらにハイブリッドな働き方に繋がります。

メリット

ハイブリッドワークのメリットとして、以下の4点があげられます。

社員が主体性を持って働ける

テレワークかオフィスワークかを企業が完全に決めてしまうのではなく、社員が自分のパフォーマンスを最大限発揮できる働き方を自主的に選択可能です。本人の意志による主体的な勤務が可能となり、企業に対する満足度やエンゲージメントが向上します。

生産性が向上する

データ入力は静かな環境で集中できるテレワーク、細かな打合せが重要な業務はオフィスワークなど、社員は状況に応じて最適な働き方を選択できます。結果、個々の業務に対する生産性が向上し、企業の競争力強化にも繋がります。

ワークライフバランスを実現できる

ハイブリッドワークを採用すれば、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなり、家族と過ごす時間を増やすなどのワークライフバランスを実現できます。家庭の都合などにより従来あれば退職せざるを得ない状況の社員も、ハイブリッドワークで個別の事情に応じた働き方に変更すれば、勤務を継続できます。

デメリット

ただし、以下のようなデメリットもあるため、導入する際はデメリットをどのように克服するか対応を協議しておきましょう。

勤怠管理が複雑となる

社員があらゆる場所や時間帯に働くようになるため、タイムカードなど従来利用していた勤怠管理は機能しなくなります。勤怠情報をクラウド上に保存する勤怠管理システムや素早い情報共有ができるグループウェアを導入し、ハイブリッドワーク導入時に混乱が起きないようにしましょう。

社内コミュニケーションが不足する

テレワークとオフィスワークが混在する状況となるため、社内コミュニケーションはテレワークのみの状態よりも不足しやすくなります。社員同士がほとんど交流がない状態や、テレワーク社員とオフィス勤務社員間の情報共有が綿密に行われない状態は、生産性や業務効率低下につながります。

コミュニケーションツールの多様化や定期的な交流イベントの開催など、ハイブリッドワーク中の社員同士が交流できる体制を構築しましょう。

セキュリティ管理の重要性が増す

社員の働き方が多様化するほど、重要資料流出やパソコン盗難などのセキュリティリスクが増大します。セキュリティガイドラインを策定して全社員に順守させる、データは暗号化する、アクシデント発生時の対応マニュアルをまとめるなど、厳重なセキュリティ対策を講じてリスクを減らしましょう。

まとめ

コロナウィルス流行の収束をきっかけに、テレワーク体制の見直しや縮小が進んでいるものの、重要なのは「社員全員にとって最も良い働き方はなにか」です。テレワークの廃止か継続かのみで議論を終わらせず、ハイブリッドワークの導入など働き方改革に繋がる施策を前向きに考えていきましょう。


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WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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