IT導入補助金とは丨概要・申請期間・申請方法・対象などを解説|トラムシステム
中小企業・小規模事業者等が、生産性の向上を目的として導入するITツール(ソフトウェア、サービス等)にかかる経費の一部が補助される制度「IT導入補助金」。実際に利用するためにはどのようにすれば良いのでしょうか。この記事では、IT導入補助金の概要、補助金の内容、基準、申請方法などについて詳しく解説します。
目次
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、正確にはサービス等生産性向上IT導入支援事業として実施されてる支援制度で、中小企業・小規模事業者等が業務の効率化・売上げアップを目的として、ITツールを導入する経費の一部を補助するものです。IT導入補助金の目的は、中小企業・小規模事業者等が自社の経営状態や課題を把握した上で、それらの課題やニーズに適したITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入することで、業務の効率化や売上の向上を目指すことです。
IT導入補助金の運営団体、実績、補助の対象となるITツールや事業者についてはこちらの記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
申請スケジュール
2018年度の募集は全部で3回行われ、以下の日程で実施されました。
画像出典:https://www.it-hojo.jp/overview/
事業実施期間 交付決定後~2018年9月14日(金)
事業実施期間 交付決定後~~2018年11月16日(金)
事業実施期間 交付決定後~~2019年1月31日(木)
申請期間の前には、説明会などが設けられており、事業者が補助金の主旨や対象となるITツールなどを正しく理解した上で申請をできるようになっています。注意すべき点として、補助対象となるのは、交付決定の通知後に発注・契約・支払い等を行ったITツールです。通知前に導入したツールについては対象外です。
申請~交付決定までの流れ
IT導入補助金の申請は、IT導入支援事業者を通して行います。IT導入支援事業者とは、ソフトウェアやサービスの提供、代理申請や制度の普及活動などを行う企業で、事務局業務を運営している一般社団法人サービスデザイン推進協議会からの認可を得ています。申請までの流れは次のようになります。
導入するITツール・IT導入支援事業者の選定
まず、導入するITツール、IT導入支援事業者を選定します。選定手順としては、事務局のWebサイトの「経営診断ツール」を利用して、自社の経営課題を把握します。具体的には、「経営診断ツール」では、財務情報や事業計画に関する設問に回答することで、事業の経営状態を客観的に再認識します。次に、診断結果を元に「ITツール選定ナビ」を利用して、自社の状況を改善するITツールを選択、その後そのツールを取り扱うIT導入支援事業者を選びます。
「SECURITY ACTIONへの宣言」の実施
「SECURITY ACTION」とは、セキュリティ対策への取り組みを中小企業・小規模事業者等が自ら宣言する制度で、本補助金の申請条件となっています。具体的には、「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」の中の、
一つ星:「情報セキュリティ5か条」に取組むこと
または、
二つ星:「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で自社の状況を把握したうえで、「情報セキュリティポリシー(基本方針)」を定め、外部に公開したこと
の宣言が申請の必須条件になっています。「SECURITY ACTION」は事務局のWebサイトから実施可能です。
商談
選定したIT導入支援事業者と商談を行います。
事業計画の策定
IT導入支援事業者のサポートの下、交付申請の事業計画策定を行います。
交付申請
交付申請は、具体的に以下の手順で行われます。
1.申請マイページへのログイン
IT導入支援事業者からの招待を受け、マイページにログインし、代表者氏名などの基本情報の入力をします。
2.必要情報の入力
マイページにて、「経営診断ツール」の診断結果のID、「SECURITY ACTION」のアカウントIDの情報、事業計画情報などを入力します。
3.宣誓・承認
IT導入支援事業者から申請内容の確認依頼がきたら、宣誓と最終承認を行います。
4.交付申請の提出(IT導入支援事業者が実施)
最終承認が行われた後は、IT導入支援事業者が交付を代理申請します。交付申請に関する以上の手続きは、全て申請マイページから行います。
5.交付決定通知
交付決定通知は、申請マイページを通して事務局から送られます。また、代理申請を行ったIT導入支援事業者に対しても別途通知が行われます。
交付決定~事業実施・補助金交付までの流れ
ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)
交付決定通知を受け取ってから、ITツールの発注・契約・支払いを行います。
※交付決定前に発注・契約・支払いを行ったツールは補助対象外となるため注意してください。
事業実績報告
ITツールの導入が完了した後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことを証明する書類を提出します。具体的には、以下の流れで行います。
1.事業実績報告書の作成
IT導入支援事業者は、中小企業・小規模事業者等は事業実績報告に必要な情報及び証憑を取りまとめてIT導入支援事業者へ提出。IT導入支援事業者はそれらを元に事業実績報告を作成する。
2.事業実績報告書の承認
中小企業・小規模事業者等は、申請マイページから作成された事業実績報告書を確認、承認する。
3.事業実績報告書の提出
IT導入支援事業者は、報告書を代理提出する。
補助金交付
事業実績報告の完了後、補助金額が確定すると申請マイページから金額を確認することができます。内容確認後、補助金が交付されます。
事業実施効果報告
事業実施効果報告は、補助を受けた事業者が申請マイページから必要な情報を入力し、それらを元にIT導入支援事業者が報告書を作成、代理提出します。
申請時の注意点
補助金の交付申請について、注意すべき点をいくつか紹介します。
生産性向上を目的とした計画の作成
IT導入補助金の目的は、ソフトウェアやサービスを導入することで企業の生産性を向上させることにあるため、交付申請時に生産性向上を目標として計画を作成することが求められます。具体的には、以下のような目標値を示す必要があります。
計画の作成はIT導入支援事業者のサポートを受けながら行うため、補助を受ける中小企業・小規模事業者等にとって大きな混乱や負担にはならないでしょう。
IT導入支援事業者との密な関係
交付申請やその後の成果報告などはIT導入支援事業者を通して行われるため、制度を利用する中小企業・小規模事業者等とIT導入支援事業者は継続して密な関係を持つことになります。また、生産性向上に関する情報の報告については、売上、原価、従業員数や就業時間などの情報を報告することが含まれており、これらはIT導入支援事業者から事務局に代理申請・報告されます。
経理要件・証拠資料の整備
生産性の向上のためITツールを導入する事業(補助事業)に関する経費については、帳簿・証拠資料の整備が求められます。証拠資料の例としては、以下のとおりです。
これらの資料は、2024年3月31日までの間に事務局からの求めがあった場合、いつ確認されてもいいように整備しておく必要があります。
まとめ
2018年度のIT導入補助金の予算は総額500億円となり、10万社以上の利用を想定しているとのことです。一方で、補助金は当然どのような会社でも受けられるものではなく、申請が通りやすい計画書などを作成する必要があります。補助金を有効活用し、自社の生産性を向上させるためには、ITツールとIT導入支援事業者の選定が重要であると理解しておきましょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。