クラウドPBXの利用料金の仕組みとコスト管理の注意点|トラムシステム
大幅なコストカットができるとして、さまざまな企業に導入されているクラウドPBX。しかし、製品本体の価格、料金体系の仕組み、オプション機能の価格、クラウドPBXで必要となるIP電話の価格など、「具体的にどのぐらいコストがかかるのか?」をよくわかっていない方も多いです。本記事でクラウドPBXの料金とコストに関する解説を行います。
クラウドPBX導入で期待できるコストカット
ビジネスフォンを利用するためには、回線を振り分け、内線・外線を繋ぐ役割として「交換機」と呼ばれるものが必要です。その交換機として、現在一般的に出回っているのがPBX、IP-PBXそしてクラウドPBXがあります。
クラウドPBXとは、従来のPBXと同じ機能・サービスをインターネット経由で利用できるサービスのことで、インターネット環境されあれば電話環境を構築できるという特徴があります。サービスを提供するベンダーに申し込めば、3日〜1週間で利用可能になり、PBX機器をオフィスに設置するオンプレミス型に代わって、急速に普及が進んでいます。
クラウドPBXには様々なメリットがありますが、最も大きいのが「コストを大幅に削減できる」点です。
・導入に必要な初期費用が安い
・パソコンの設定のみで設定が完了するので、機器搬入費、工事費用は無料
・維持コストは、月ごとの利用料金のみ
・保守費用も必要なし
導入の際の工事費用、機器搬入費用、保守費用が掛かるオンプレミス型と比べて、非常に低コストです。小規模な会社なら、数万円の出費で導入することができます。オフィスの移設やレイアウト変更の際も、費用はほとんどかからず、通信費を抑えたい企業にとって非常に魅力的なサービスです。
クラウドPBXの利用料金
メリットの多いクラウドPBXですが、導入の際には料金体系を理解する必要があります。資料にしっかり目を通し、余計な出費をしないようにしましょう。当然ですが、大規模にサービスを導入するほど、各料金のコストは上昇するので注意が必要です。利用料金の相場を確認しながら、コストを抑えた導入を行なってください。
初期費用
クラウドPBXは機器搬入費・工事費用は不要ですが、その代わりに初期費用が設定されています。サービスによって変動しますが、10,000〜50,000円が相場です。初期費用が数十万円掛かるサービスも存在しますが、大規模コールセンター向けの設計である、機密性が高い、機能が充実しているなどの特徴があります。各サービスの初期費用の相場は以下の通りです。
・ひかりクラウドPBX 15,000円
・MOT/TEL 29,000〜59,800円
・BIZTEL 50,000〜300,000円
月額利用料
クラウドPBXは導入後、月額利用料を請求されます。相場は5,000〜50,000円です。回線の数を増やすと、月額利用料もそれに従って増加します。クラウドPBXは利用する限り利用料が発生するので、高額になりすぎないよう注意してください。各サービスの月額利用料の相場は以下の通りです。
・ひかりクラウドPBX 10,000円〜25,000円
・MOT/TEL 3,980〜9,800円
・BIZTEL 21,000〜80,000円
通話料
電話を利用すれば、当然通話料がかかります。クラウドPBXは固定電話だけでなくスマホや携帯電話にも対応しており、料金はそれぞれ違います。通話料の相場は、
・固定電話の場合:8円/3分
・携帯電話の場合:15円〜16円/1分
・フリーダイヤルの場合:10円/1〜3分
です。フリーダイヤルは長時間かける方も増えるので、10円/3分のサービスを選びましょう。
オプション利用料
クラウドPBXは、オプション機能を追加料金で利用することができます。その分コストも上昇するので、「どのようなオプションが本当に必要なのか」を常に考えましょう。コールセンターでは、IVRや通話録音などさまざまな機能が必須となるため、それらが基本セットに含まれているサービスがおすすめです。
ーオプション利用料の相場
・自動録音機能 2,000円〜
・IVR機能 5,000円〜
・電話会議機能 5,000円〜
・電話番号追加 100円〜
・ウィスパリング 5,000円〜
・モニタリング 3,000円〜
IP電話機
クラウドPBXを固定電話で利用する場合、インターネット回線を利用して通話するIP電話機が必須です。サービスを提供するベンダーから購入・レンタルするケースが多いですが、使いたい機種がない・価格に不満がある場合は、自前で入手して導入するのもおすすめです。ただし、導入するIP電話機クラウドPBXサービスとマッチングするかはきちんと確認しましょう。
ビジネス用のIP電話の価格は、新品で10,000〜50,000円、中古で7,000〜20,000円ほどとなっています。コストを考えれば安価な製品を選びたいところですが、安すぎると電話帳・ディスプレイ表示・フリーファンクションボタンなど、業務で使う際に重要となる機能まで省略されてしまうので注意しましょう。コストと機能のバランスを考えた機種選びが重要です。
一括購入だけでなく、リースという手段もあります。リースとは、リース会社に毎月料金を払い、電話機を借りる手法のことです。購入するより安価に利用できますが、3〜7年の契約期間は毎月リース料が必要となります。機器の返却や処分もできないので注意しましょう。
ーリース料 月額 例(7年契約の場合)
・5台 7,000円
・10台 13,000円
・20台 22,000円
・50台 55,000円
・100台 10,100円
クラウドPBXの選び方とコスト面の注意点
最後に、クラウドPBXを選ぶ際、コスト面で注意すべきことを解説します。
・オンプレミス型の方が安くなる場合がある
・必要な機能のみを導入する
・複数のサービスを比較・検討する
・固定電話の廃止も検討する
まず、数百人単位での運用だと、オンプレミス型の方が安くなる場合があります。導入時は工事費用や機器設置費用がかかりますが、導入後は通信費(と保守・メンテナンス費用)のみで運用できるからです。本当にクラウドPBXの方が安くなるのか、オンプレミス型と比較しましょう。
また、無駄なオプションをつけず、必要な機能のみを導入することも重要です。ベンダーから勧められることもありますが、本当に必要なのかをしっかり吟味してください。
真剣にコストカットしたい場合は、複数のサービスを比較・検討し、最適なものを選びましょう。ベンダーに「他の業者から見積もりを取っている」と伝えれば、値下げに応じてくれる可能性もあります。
携帯端末が主流となっているこの時代、小規模な企業なら固定電話の廃止もおすすめです。クラウドPBXはスマートフォンやタブレットにも対応しており、内線通話も可能です。社員が保有している端末を業務で利用するBYOD(Bring your own device)もベンチャー企業を中心に広がっています。
まとめ
クラウドPBXは、うまく導入すれば企業の通信費を大幅に削減することが可能です。料金体系を調査し、様々なサービスを比較・検討して、最適なクラウドPBXを導入しましょう。
WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。