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2021.07.20

コールセンター / 事例 / チャットボット / ボイスボット / とは /

ボイスボットとは?メリット・活用事例・仕組み・IVRとの違いを解説|トラムシステム

AIによる自動応答システム「ボイスボット」の導入が各企業で進んでいるのをご存知ですか?IVR(自動音声応答システム)の欠点を克服し、顧客満足度向上やオペレーターのストレス軽減を実現することから、コールセンター・コンタクトセンターでの導入が進んでいます。

ボイスボットの概要、チャットボットやIVRとの違い、メリット、想定される活用事例について解説しますので、現場へ導入する際に参考として下さい。

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ボイスボットとは

ボイスボットとは、音声認識、自然言語処理、音声対話型AIを用いて、顧客の会話内容を解析し対応するシステムです。「AI自動応答システム」とも呼ばれており、電話を利用した問い合わせ業務の自動化を実現します。

対応はiPhoneに搭載されたAIスピーカー「Siri」のよな合成音声で行われるため、まるで人間と会話しているかのような感覚で利用可能です。顧客の発声から直接問い合わせ内容を特定できるため、IVRのように面倒な入力作業を行う必要がなくなり、応対時間も短縮できます、

ボイスボットの仕組み

ボイスボットは、以下のような流れで顧客が伝えたい内容を理解し、オペレーターの力を借りることなく対応を行います。

1.顧客が電話口で「○○の商品が壊れたので修理を依頼したい」と問い合わせ内容を発声する
2.発声を認識した自動音声認識システムが、発声内容をテキスト化する
3.テキストの意味を自然言語処理システムが理解し、内容に沿った回答文を自動作成する
4.合成音声が回答文を読み上げ、顧客に伝える

人間の音声をテキスト化する音声認識、テキストの意味を読み取る自然言語処理、人間そっくりの音声を再現する合成音声など、さまざまな技術が一体となって機能するツールです。

AIによる学習機能も搭載されているため、顧客との対話を通じて精度を向上させることもできます。

チャットボットとの違い

ボイスボットより以前に注目されていたのが、顧客が入力したチャットの意味を認識して返答を行うチャットボットです。

チャットボットも「人間の意思を理解して対応を行う」という点ではボイスボットと同じです。しかし、ボイスボットが人間の発声を内容を解析するのに対し、チャットボットは人間の入力した文章を利用します。

どちらも一長一短ありますが、ボイスボットは普段チャットを使わない高齢者の方でも対応できる、顧客が電話片手にながら作業で作業を完結させられるといった点でチャットボットに勝っています。

一方、チャットボットはやり取りが文字として残るため、後で見返したいという人には適しています。状況に応じて使い分けると良いでしょう。

ボイスボットとIVRの違い

ボイスボットと直接的な競合となるのがIVRです。現在、ボイスボットはIVRに存在したデメリットを解消し、業務改善を進めやすいことから、IVRを代替する存在として期待されています。

両者の違いを具体的に見ていきましょう。

IVRとは

IVRはあらかじめ録音された音声ガイダンスやボタン入力によって問い合わせ内容を把握し、適切なオペレーターに電話を転送するシステムです。「○○の問い合わせを行いたい方は1を、そうでない場合は2を押してください」といった音声案内はIVRシステムによって運用されています。

顧客の悩みや疑問を解消できるオペレーターに回せるため取違いやミスが発生しにくい、オペレーターと顧客の応対時間短縮が見込めるといったメリットがあり、あらゆるコールセンターや問い合わせ窓口で運用されるツールとなりました。

IVRのデメリット

1.音声ガイダンスや入力作業に手間がかかる
問い合わせ内容を特定するための音声ガイダンス、入力作業は複数回行われるため、気軽な質問を行いたい場合でも手間がかかります。

2.オペレーターに繋がるまで時間がかかる
IVRによる問い合わせ内容を確認を行わないとオペレーターと対話できなくなったため、繋がるまでに要する時間が増加してしまいます。

3.シナリオを増やしにくい
正確な内容を把握するには質問の数や分岐を増やしていく必要がありますが、多すぎるとストレスを感じた顧客が離脱してしまうため、限度があります。結果、表層的な聞き込みに留まる場合が多く、不十分な働きしかできません。

コールセンターがボイスボットを導入するメリット

コールセンターにボイスボットを導入すると、以下のようなメリットがもたらされます。IVRと比較しつつ解説しますので、どちらを導入するか迷った時の参考としてください。

業務の効率化

問い合わせの一次対応をシステムが自動で行い、場合によってはオペレーターに繋ぐことなく解決させられます。コールセンターへの電話問い合わせを減少させられるため、電話対応時に必要な後処理などの業務も削減でき、業務効率化が可能です。

ボイスボットは入力作業や音声ガイダンスがなくなるため、IVR以上の効率化が可能となっています。入力作業が不慣れな高齢者の方でも利用しやすくなるだけでなく、合成音声と音声認識でより柔軟な対応が可能です。

平均通話時間(ATT)の削減

コールセンターの業務効率化に欠かせない平均通話時間(ATT)の削減にもボイスボットが貢献します。ボットを利用してヒアリングされた内容は事前にオペレーターへと伝えられるため、顧客のおおまかな用件を理解してスムーズな対応が可能です。

ボイスボットはIVRと比較すると顧客の問い合わせ内容を把握するまでの時間が短く、AIが音声を解析して追加質問なども行ってくれるため、利便性が増加しています。

オペレーターのストレス軽減

ストレスが貯まりやすく離職率も高い傾向にあるオペレーター職。ボイスボットによって直接対応する顧客の数が減少し、システムがある程度のヒアリングも行ってくれるため、業務のストレスを大幅に削減できます。結果、人材の定着率が上昇し、安定したセンター運営が可能です。

ボイスボットはIVRより顧客に与えるストレスが少ないため、激しい口調や暴言が発生する案件が減少し、オペレーターのストレスをさらに削減できます。簡単な内容をボイスボットに任せ、より重要度の高い内容に専念することも可能です。

顧客満足度の向上

顧客満足度も、ボイスボットの導入でより向上していきます。IVRより早く柔軟に対応してくれるボイスボットの登場により、問い合わせ窓口やサービスセンターに対する満足度が向上するからです。

IVRはオペレーターのストレス軽減に効果を発揮しましたが、顧客にとっては手間がかかりストレスをさらに増やす存在であると言う意見も多く見られました。ボイスボットは音声でスムーズな対応を可能にすることで、オペレーターと顧客両方のストレスを削減してくれるシステムなのです。

容易なシナリオ更新

従来のIVRは音声ガイダンスのシナリオを変更する際に時間と費用がかかるため、常に同じものを利用しなければならないというデメリットが存在していました。

ボイスボットはブラウザ上でシナリオの変更を簡単に行えるため、キャンペーン展開中やトラブル発生時には専用のシナリオを用意できます。

機械学習による精度向上

IVRは予め設定したシナリオ通りの反応しかできないのに対し、ボイスボットは顧客の会話内容をある程度理解するだけでなく、機械学習によって精度を日々向上させることが出来ます。

寄せられる問い合わせを全てビッグデータとして保存し、AIがうまく回答できなかった内容をブラッシュアップすることで、対応できるラインナップを増やしていくのです。

ボイスボットの注意点・デメリット

IVRと比べ多くの利点を持つボイスボットですが、導入にあたっては注意点・デメリットも存在しています。運用する際に注意しましょう。

IVRより精度が劣る

周囲の通信環境や雑音によってはAIが顧客の音声を正しく認識できず、タイムロスや聞き間違いが発生してしまいます。

操作ミスがなければ問い合わせ内容を確実に把握できるIVRと比較すると、精度がやや劣っているといえるでしょう。ですが、そのような場合はAIに内容を聞き返すよう設定するなど、工夫次第でカバー可能です。

音声だけで応対する必要がある

ボイスボットが認識できるのは音声のみのため、カタログや図を利用した複雑な説明を理解するのは困難です。よって、簡潔な内容を言葉だけで伝えなければ機能しません。複雑な回答が必要な場合は、人間のオペレーターに通話を回すよう設定しておきましょう。

ボイスボットの活用事例

ボイスボットはコールセンター業界だけでなく、飲食店の予約や宅配サービスなどの様々な現場で活用されています。各業界でのボイスボットの活用事例について見ていきましょう。

飲食店やホテルの予約受付・確認

予約から営業時間の確認にいたるまでさまざまな電話が寄せられる飲食店やホテル。問い合わせ業務を専門に行う従業員はいないため、立て続けに電話対応が発生するとリソースを浪費してしまいます。

そこで、ボイスボットによるシナリオ化が容易な業務の自動化が進められています。予約に関する電話も、時間や人数など必要な情報をヒアリングできればAIのみで対応可能です。ボイスボットで解決できない場合のみスタッフが対応するよう設定すれば、他の業務の手を止めて電話対応にあたる時間数も減るでしょう。

宅配サービス

宅配サービスにおける配達状況の問い合わせや再配達の手配はIVRで行われていますが、将来的にはボイスボットによる代替も可能です。

より短時間で問い合わせや手配を完了させられるだけでなく、事前に設定したシナリオをなぞるだけのIVRにはできないより柔軟な対応も実現します。

資料請求・問い合わせ

IVRで行われている資料請求や問い合わせも、ボイスボットでさらなる効率化が見込めます。名前、住所、電話番号といった必要な情報をほぼヒアリングできるため、完全自動化も可能です。書類の送付依頼、証明書の再発行など従来はオペレーターが必要だった内容にも活用できるのは、ボイスボットならではのメリットと言えます。

まとめ

ボイスボットはAIと合成音声を利用したツールで、従来のIVRより柔軟な対応を実現し、業務効率化や顧客満足度向上をこれまで以上に推進します。結果的にコスト削減にも繋がるため、IVRを業務に利用している企業におすすめのシステムです。チャットボットと合わせて導入し、企業の競争力を高めましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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