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AWSとは丨メリット・コスト・使い方・注意点をわかりやすく解説|トラムシステム

日本の企業の56.9%が利用するなど、急速に普及が進むクラウドサービス(平成30年版 情報通信白書の調査より)。様々なクラウドサービスの中でも特に普及が進んでいるのが、インターネット通販大手amazonが提供するクラウドコンピューティング世界シェア首位、AWS(アマゾンウェブサービス)です。

ネットワーク、サーバ、ストレージのようなコンピューター機能をクラウド上で提供することにより、手軽かつ迅速に情報インフラを構築できます。AWSの特徴、使い方、注意点を分かりやすく解説しますので、導入を検討している方はぜひご覧ください。

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クラウドコンピューティングとは

AWSについて知る前に、まずクラウドコンピューティングの概要を理解しましょう。

クラウドコンピューティングとは、コンピューターの機能、サーバー、ソフトウェアを、ネットワーク上からダウンロードして利用するクラウドサービスです。Googleの有名なメールサービス「Gmail」も、クラウドコンピューティングサービスに該当します。

ちなみに、クラウドサービスの「クラウド」とは、技術者がネットワークの向こう側をクラウド(雲)のイラストで表す習慣から名づけられました。

社内にサーバーやソフトウェアなどの情報システムを設置するオンプレミス(自社運用)方式と比較すると、クラウドコンピューティングは以下のようなメリットがあります。

・出来上がったプラットフォームを借りるだけなので、低コストかつ導入がスピーディ
・使った分だけ料金がかかる従量課金制なので、初期費用や月額料金など無駄な費用が発生しない
・インターネットに接続されていれば、パソコン、タブレット、スマートフォンなどデバイスを問わない
・システムを提供するプロバイダーが一元管理しているので、セキュリティやシステムのアップデートが自動で行われる

その利便性から、電気のようなインフラでしばしば例えられます。「スイッチを押して電気を付けるような感覚で使える、スイッチを消した電気のように使わなければ料金が発生しない、家電やパソコンなど電気を動力とするならデバイスでは問わない、電力会社によって常に管理されている」のようにです。

クラウドコンピューティングのタイプ

クラウドコンピューティングは、タイプによって3つに分類されます。どこまでをクラウドで提供し、どこまでを自分で用意するのかが基準です。どの形式が最適なのかは、プロバイダーと相談して決定しましょう。

・OS、ハードウェア、ネットワークのみをクラウドで提供するIaaS(Infrastructure as a Service)
・Iaasの機能に加え、ミドルウェアをクラウドで提供するPaaS(Platform as a Service)
・OS、ハードウェア、ネットワーク、ミドルウェア、アプリケーション全てをクラウドで提供するSaaS (Software as a Service)

分かりやすく、「土地を立てて家を建てる」ことで例えるとこのようになります。

・家を建てるための土地のみを借り、その他は自分で建築するのがIaaS
・土地と家を借り、家具や調度品を自分で調達するのがPaaS
・土地と家と家具を全て借り、後は住むだけの状態がSaaS

ある程度自由にシステムを構築したい場合はIaaS、システム構築をプロバイダーに委ねたい場合はSaaS、その中間がPaaSと覚えましょう。

パブリッククラウド・プライベートクラウドとは

クラウドコンピューティングのタイプを決定した後は、パブリッククラウド・プライベートクラウドのいずれかを選択する必要もあります。それぞれに特徴・メリット・デメリットがあるので、把握したうえで選択できるようにしましょう。

パブリッククラウドは中小企業向けのクラウドサービスで、一言で例えると「共有」です。プロバイダーから提供されるOS、ソフトウェア、回線が、全ユーザー共用となっています。「様々なテナントが入居している雑居ビル」をイメージすると分かりやすいです。

サービスの調達が手軽・コストが安い・管理をプロバイダーに委任できるというメリットがあります。反面、カスタマイズが困難で、自社専用のシステムやセキュリティを導入できないのがデメリットです。

大企業向けのクラウドサービスであるプライベートクラウドは、「占有」と例えられます。利用するOS、ソフトウェア、回線が企業専用になっており、自由にカスタマイズ・コントロールできるのが特徴です。

「単一の企業が入居しているオフィスビル」のイメージとなります。高度なセキュリティ・企業の特徴に合わせたシステムを導入できるメリットがありますが、高コスト・仕様変更の労力が膨大なのがデメリットです。

AWSとは

様々なクラウドサービスがひしめいているクラウドコンピューティング業界で、シェア3割(2018年時点)と圧倒的な規模を誇るのが、amazonのAWSです。元々はamazonの膨大なデータを処理するために開発されたIT インフラストラクチャで、2006年から販売が開始されました。

提供から10年以上が経過しているクラウドサービスですが、2019年の成長率は37%と驚異的なスピードで売り上げを伸ばしています。コンピューティング、ストレージ、データベース、分析、ネットワーキング、モバイル、開発者用ツール、管理ツール、IoT、セキュリティ 、エンタープライズアプリケーションなど、多様なクラウドサービスをリーズナブルに利用可能です。

AWSのメリット

AWSは「初期費用が無料、コンピューター機能を迅速に提供できる」というクラウドコンピューティング特有のメリットに加え、以下の4点で他社サービスと差別化されます。

・amazonが過去10年で70回以上の値下げを行っており、低コストで利用できる
・最先端のクラウドサービスが160個以上と豊富に用意されている
・データセンターが世界中に設置されており、データ障害や大規模災害時にリスクを分散できる
・ISO 27001、SOC、PCI Data Security Standardなど、様々なセキュリティ標準の要件を満たしている

日本語によるサポートも24時間365日対応となっており、「信頼性の高いクラウドコンピューティングを利用したい」という場合におすすめのクラウドサービスです。

AWSのデメリット

AWSのデメリットとして挙げられるのが、以下の3点です。

・運用の自由度は低い
・メンテナンス日には、プロバイダーのスケジュールに沿ってシステムが停止される
・初期費用が掛からない代わりに維持コストが高く、システムを大量に導入するとオンプレミス方式より高額になる

大企業で運用する場合は、無視できないデメリットになります。大和証券やオリンパスなど日本国内の大企業は、プライベートクラウド方式を選択することでデメリットを回避しています。

代表的なサービス

AWSは様々なクラウドサービスが存在しますが、代表的なものをコンピューティング、ストレージ、データベースの3つの観点から紹介します。

1.Amazon EC2
AWSが提供する仮想サーバーです。WindowsやLinuxなど、OSの仮想サーバーを実行できる環境が数秒で用意できます。データをAMIという形式でコピーすることができ、AMIから新しいEC2を構築することも可能です。

2.Amazon S3
AWSによって提供されるオンラインストレージです。非常に安価ですが、高耐久性・高可用性・豊富な容量を兼ね備えています。WEBサーバーとして利用できる「静的Webサイトホスティング機能」も保有しています。

3.Amazon RDS
セットアップ、オペレーション、スケールが簡単なデータベースです。MySQL、PostgreSQL、Oracleなど6種類のデータベースを、管理画面から設定するだけで利用できます。

AWSの使い方

AWSは、以下の手続きをこなせば簡単かつスピーディに利用できます。

・電話番号とクレジットカード番号の入力、サポートプランの選択(ベーシック、開発者、ビジネスの3つ)を行いAWSのアカウントを取得
・AWSマネジメントコンソール(管理画面)にログイン
・ホーム画面で利用したいサービスをクリックし、利用開始

導入する際に疑問点があれば、公式サイトでメールやチャット(平日 10:00~18:00 / 土日祝日除く)での問い合わせが出来ます。60を超えるサービスが無料利用枠として解放されており、お試しで使いたい場合におすすめです。

料金体制は3つ存在しており、用途に応じた選択が可能です。

・クラウドサービスを利用した分だけ利用料金が発生する従量課金
・1年あるいは3年利用期間を予約することで、料金が割引させるリザーブドインスタンス
・入札価格がサービスの市場価値を上回っている限り、利用権を得られるスポットインスタンス

基本的にはクレジットカードでの支払いになるので、支払額が許容範囲を超えないようにしてください。AWSの公式サイトで、各クラウドサービスの利用額が「AWS 料金表」にまとめられているので、料金を試算したい場合はチェックしましょう。ただし、全てUSドル表記となっているので、日本円でいくらになるか計算する必要があります。

AWS利用時の注意点

最後に、AWS利用時の注意点をまとめます。手軽に導入出来るクラウドサービス=簡単に運営できるクラウドサービスではありません。プロバイダーやコンサルタントのアドバイスをよく聞き、効率的な運営ができるようにしましょう。

最適なサービスの選択

AWSは160個以上のクラウドサービスを展開していますが、必要なのは自社にとって必要なものだけです。よって、「クラウドサービスで何がしたいのか」を事前に明確化する必要があります。自社の人員だけで判断が難しい場合は、導入支援・運用代行を行ってくれるプロのコンサルタントに依頼するのがおすすめです。

セキュリティ設定

AWSを導入する際は、以下のようなセキュリティ設定を行うのがおすすめです。

・パスワード認証に頼らず、公開鍵認証を設定する
・最新のセキュリティパッチが導入されているか、常にチェックする
・外部から侵入されないよう、ポートを不用意に開かない

amazonによって管理されているとはいえ、AWSはオープンネットワークに存在するクラウドサービスです。セキュリティに欠陥があった場合、社内の情報システムや機密情報まで攻撃が及びやすいので注意しましょう。AWSでは「責任共有モデル」というルールがあり、OS、ミドルウェア、アプリケーションのセキュリティは利用者が管理することになっています。

まとめ

クラウドコンピューティングを利用すれば、自社の情報システムを安価かつスピーディに導入できます。様々なサービスが提供されていますが、豊富なクラウドサービス・高耐久性・高可用性を兼ね備えるAWSが最もおすすめです。効率よく運用したい場合は、導入・運営を代行してくれるコンサルタントに依頼しましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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