国債などの有価証券投資、外国為替や資金取引等を担う市場部門で「UNIVOICE」を導入しました。
クラウドPBXを導入しようとした動機は2つあります。
一つ目のきっかけは、りそな銀行・埼玉りそな銀行が東京本社ディーリングルームで約10年間使用してきた国産のディーリングフォンが、老朽化やメーカーの撤退で保守対応が難しくなり外国製の新機種導入を決めたことです。 それまでは夜間や祝日にディーラーが自宅から海外市場へ電話で発注する「在宅ディール」を行う際には、東京本社ディーリングルームへ電話をし、東京本社のディーリングフォンの転送機能を使って海外のブローカーや銀行、証券会社等へ電話をかけていました。 転送で東京本社を経由することにより、東京本社のボイスレコーダーに通話を録音して取引内容の証跡保存やリスク管理が可能であったのと、国際電話の通話料を自動的に会社負担とすることができていました。 ところが、新しい外国製ディーリングフォンにはその機能がなく、「在宅ディール」の新たな手段を探していました。
二つ目のきっかけはコロナ禍です。 新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年春より、ディーリングルームの業務継続策の一つとして、埼玉県内にある市場部門のバックアップオフィスへ東京本社ディーリングルームのメンバーの一部を移して全滅を防ぐという「スプリットオペレーション」を開始しました。
全国の支店からかかってくる大口預金や融資の金利照会や約定等の電話に対応するチームも東京本社と埼玉に分かれて業務を行いましたが、支店が東京本社にかけた電話は東京本社でしか受けられず、東京に残ったメンバーは人数減で今までより忙しくなり、埼玉へ行ったメンバーは電話対応がなく手が空き気味になるという問題が生じました。 そのため、本当に東京と埼玉の要員が一体で支店対応業務を行えるよう、かかってきた電話に対して東京・埼玉で同時に鳴ってどちらからでも応対でき、かつ通話録音が可能で、録音内容を東京分も埼玉分も一元して管理・保存できる仕組みが必要でした。
大手通信会社から大学発ベンチャーまで幅広く声を掛けて各社のサービスを比較検討しました。
クラウド上(AWS)に全通話録音が可能なこと、その録音データを一括でダウンロードすることが可能であるなど、機能面で優れていることが一番の決め手になりました。 在宅ディール用には「UNIVOICE」のスマホアプリ、コロナ禍での支店対応業務用には「UNIVOICE」の固定電話機を導入しましたが、固定電話機にWiFi接続可能な機種を選べたことも配線工事等が不要で迅速なコロナ対応に繋がりました。
また、弊社側のニーズを一番よく聞いていただき解決策を提示いただいたこと、デモやトライアル等も柔軟にご対応いただけたことも大きかったです。 それに加えて、情報セキュリティ管理に関する金融機関独特の細かな規則をクリアする上で、トラムシステムさんがISMSを取得されていたこと、多くの書類作成にご協力いただけたことも社内のリスク管理部署から承認を得る上で助けになりました。
まず、コロナ対応で東京と埼玉に分かれたチームを一体で運営することが可能となりました。支店からかかってきた電話をNTT CommunicationsのIP Voiceの転送設定を使って「UNIVOICE」へ転送することで、支店がかける電話番号を変更することなく、東京と埼玉の両方で受電できるようになりました。 さらには、電話機を自宅に持ち帰って家庭のWiFiに接続することでテレワークにおいても同様に電話対応が可能となりました。 コロナ対応だけでなく、働き方改革としての柔軟な勤務形態の実現にも役立っています。
スマホアプリを使った「在宅ディール」についても、まずは音質の良さに驚きました。音声の遅延もほとんどなく、普段ディーリングルームで使用している電話と同様の会話が可能です。 導入後、「在宅ディール」以外にも、テレワーク時やお客さま訪問時等の電話としても使い始めました。日常の社内連絡からマーケットでの取引にまで使える全通話録音付きの電話として、どんどん活用の幅を広げています。 通話録音についてはAWS上に纏めて保存されるうえ、管理画面の使い勝手も良いとリスク管理部門からも好評です。
以上、まだ本番運用が始まったばかりですが、今後も「こんなことにも使えるのではないか」と、さらなる活用を検討していきたいと考えています。