【要望別】コールセンターシステムの構築方法と便利機能を紹介!|トラムシステム
コールセンターシステムは、ただ導入するだけでメリットが得られるものではありません。導入目的を達成するためには、事前の業務プロセスや稼働状況の分析と、入念なシステム設計が必要です。この記事ではコールセンターシステムを構築する際のポイントを要望別に紹介します。
目次
コールセンター開設の流れ
コールセンターは、顧客からの問い合わせや意見を集約し、顧客満足度の向上やサービス改善のために大きな役割を持ちます。一方で、自社にあった最適なコールセンターの立ち上げのためには様々な検討項目があり、段取り良く進めていくことは難しいのが実情です。コールセンターを開設する場合、一般的には以下の手順で検討を進めていきます。
1.ゴールと目的の設定
2.現状調査
3.詳細設計
4.システム構築
5.運用体制構築
具体的な開設手順は以下の記事で詳しく紹介しています。
【要望別】コールセンターシステム構築のポイント
コールセンターシステムは、ただあればいいというわけではありません。多くの企業やコールセンター管理者は、ある具体的な目的や課題解決のためにシステム構築を行います。
ここからは、多くのコールセンターにおいて要望・課題として挙げられていることと、それを解決するためのポイントについて解説します。
1.目的別に窓口を分けたい
「お客様には対して公開する電話番号は一つだが、窓口は目的別にしたい」という要望に対しては、IVR機能とACD機能を活用してシステム設計することになります。
コールセンターへの着信時にIVR機能を使うと、
“こちらは○○○コールセンターです、ご注文の方は1を、お問合せの方は2を入力して下さい”
という案内を流し、お客様が入力した番号(DTMF)にもとづき、該当するスキルを保有するオペレータにACD着信させる設計となります。
2.お客様をできるだけお待たせしたくない
コールセンターの顧客満足度要因の第1位は必ずと言っていいほど、直ぐに電話が繋がることです。直ぐに電話が繋がる様にする為に考慮すべき点は主に以下の3点です。
・電話回線数はどの程度にするか
・何名くらいのオペレータが必要になるか
・IVRによる業務(スキル)グループはどの程度にわけるか
回線数やオペレータ数は多すぎるとコストが高くなってしまう一方、少なく見積もってしまうと、「繋がらないコールセンター」として顧客満足度を下げてしまいます。
既に稼動しているコールセンターに新しくコールセンターシステムを導入するような場合、これまでのシステムで取得した実績データを元に統計的な計算を行うことで、最適値を予測することが可能です。
(電話回線数の予測はアーランB、オペレータ数の予測はアーランCという計算方式で求められます。興味のある方は検索してみてください)
ただし、最適な回線数やオペレータ数を予測してシステムの設計をしたとしても、繁忙期や時間帯によってはお客様をお待たせすることが発生することはあります。そのような場合に備えて、お客様をお待たせする場合の案内を工夫することが可能です。
例えば待っている間の時間に、音楽やその企業の告知メッセージが流すことができます。それ以外には、ホームページに掲載されているFAQやマニュアルのURLをSMSにて送信するといった高度な案内を実現することもできます。
3.オペレータへの入電頻度のバランスをとりたい
IVR機能とACD機能を利用すれば、事前にお客様の目的や情報を知ることができます。そして、その入電に対応できるスキルを保有しているオペレータが複数存在する場合には、誰にその入電を繋ぐのかを決める必要があります。その設計方法として基本的な設定方法が「リングオール」と「ラウンドロビン」です。
リングオールは現在受け付け可能なオペレーター全員にコールを鳴らし、ラウンドロビンは受け付け可能なオペレーター1人ひとり順番にコールを鳴らします。
その他、待機時間が最も長いオペレーターを呼び出す設定や、スキルの高いオペレーターから優先的に入電を渡すことも可能です。特定のオペレータにばかり入電が集中することの無いようにバランスを考慮した設計が必要になります。
4.入電時にお客様が誰かを自動的に判断してほしい
携帯電話のサポートセンターなど会員制の問合せセンターでは、お客様からの入電があると、オペレータは先ずお客様のお名前等の個人情報を確認します。この作業だけでも数十秒時間を浪費してしまいます。
この課題を解消するためには、CTI機能の導入が有効です。
CTI機能により、電話番号の情報をコンピュータで稼動させているCRMシステムに引き渡すことが可能です。電話番号を受け取ったCRMシステムは電話番号から、そのお客様情報(個人情報や過去の問合せ履歴など)を自動的に検索し、オペレータの見ているCRMシステム画面に表示させることが可能です。
これにより、入電時に「○○○様、いつもありがとうございます」といった応対が可能となり、個人情報の確認時間も削減される他、顧客満足度も高まることが期待されます。
4.トータルKPI管理をしたい
コールセンターでは、KPI管理を毎分・毎時・毎日実施しています。
・入電データ(入電数や待ち数、待ち時間など)
・オペレータに振り分けられた入電処理の件数や通話の時間
・通話終了後に、CRMシステムに履歴を入力するような後処理時間
といった項目が代表的な項目です。コールセンターシステムの標準機能によって取得できる項目ばかりですが、具体的にどのようなデータを蓄積・活用したいかは事前に設計しておく必要があります。
例えば、お客様がどのような目的で電話をしてきたのかを分析したい場合には、それを取得できるようにPBXの設定またはCRMシステム側で予め組み込む必要があります。
コールセンター開設時の注意点
コールセンターシステムは、パッケージソフトウエアのようにインストールすれば直ぐに使えるというものではありません。
上述した通り、多くの便利機能が標準装備されているシステムが多い一方、各機能だけを見るとその必要性の判断は難しいものです。
そこで重要になるのが、実際の業務プロセスやコール量を想定したシステム設計です。
残念ながら、システムベンダーは顧客のコールセンター業務について必ずしも理解している訳ではなく、各機能をどのように組み合わせて利用すべきかといった観点での提案が行われることも少ないのが現状です。
CTIやACDによって顧客満足度や業務効率の向上効果が期待できたとしても、システムベンダーからの提案がないまま標準的な機能だけで構築されてしまっては勿体ないことです。
標準機能だけしか利用していないコールセンターで「なぜ便利な上位機能は使わないのか?」という質問をすると、「知らなかった、システムベンダーが教えてくれなかった」と回答するケースは少なくありません。
コールセンターシステム構築の際に主導権を握るのは、ベンダーではなく自分たちであることを理解し、システム設計を行いましょう。
まとめ
使いやすいコールセンターシステムを作るためには、自社のコールセンターのあるべき業務や業務プロセスを理解し、システム設計に変換することが必須です。目標設定から現状分析、設計構築といったコールセンター開設の流れをしっかりと理解し、開設後のことも考慮に入れた上で進めるようにしましょう。

WRITER
トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人
広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。