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2021.06.15

業務効率化 / IVR / 音声認識 / 支援 / テキスト化 /

【最新版】進むコールセンターのAI化丨活用事例・なくなる仕事・注意点とは?|トラムシステム

コールセンター・コンタクトセンターの業務効率化に対して近年注目を集める解決策がAI(人工知能)です。自動応答や音声マイニングなど国内企業でも導入が進んでいます。

この記事では、AI技術の活用方法やメリット、活用事例、導入するにあたっての注意点などを詳しく解説します。

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AI(人工知能)とは

AI(人工知能)とは「Artificial Intelligence」の略で、人間のような知能をもつコンピューターシステムの総称です。

2000年以降にディープラーニングをはじめとする機械学習技術の発達や、機械学習に利用できるデータ量の増加、半導体チップ・GPUの性能向上などを契機にAIの利活用が急増したといわれています。

現在では多くの業種・業界で導入されており、活用方法はさまざまです。ビジネス現場での主な活用方法としては以下の様なタイプに分かれます。

・画像認識や音声認識などデータを識別して判断する
・顧客行動、需要、異常検出などデータを判断して予測する
・チャットボットや自動翻訳、スマートスピーカーなど言語表現を用いて会話する
・マシン制御、自動運転、ドローン制御など機器を動かす

ニュースなどで見聞きすることも多く、今やAI技術がビジネス・私生活の至るところに浸透しています。

コールセンター業界でAIが注目されている背景

過去には利用用途が限られ一般企業での導入ハードルが高かったAI技術ですが、近年では多くの企業でAI技術の利活用が進み、成功事例も集まってきています。コールセンター業務での活用も例外ではなく、業務効率化や応対品質向上などを進める選択肢としてAI技術を検討する企業が増加しました。

従来コールセンターでは「オペレーター不足」や「応対品質のバラつき」を課題に挙げられています。コスト削減の影響で新規オペレーターの採用が思うように進まない、教育研修をかけられずオペレーター任せの応対になってしまうといった課題です。

これらの課題に対してはチャットボットや自動音声、ノウハウ自動蓄積などのAI技術は相性が良く、解決策の一つとして検討が進められています。

また、顧客接点であるコールセンターには日々多くのお客様の声(VoC)が集まります。VoCは新商品開発、営業・販売戦略検討など幅広い使い道があり、企業活動において貴重な情報源です。

しかし、従来コールセンターではVoC収集・分析には多くの工数がかかり、十分に活用しきれていませんでした。音声認識やデータマイニングなどのAI技術を使うことで、人手での作業を自動化し効率的にVoCを収集・分析できるため、顧客満足度向上や売上貢献などの効果も期待されています。
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コールセンターでのAI活用シーン

コールセンターで実際にAI技術を導入する場合、どのような活用方法があるのでしょうか。ここからは具体的な活用方法として5つ紹介します。それぞれの概要・メリット・解決される課題について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

AIチャットボットによる問題の自己解決

チャットボットとはAI技術を用いた自動応答の仕組みです。お客様が入力したテキスト・音声情報を判断し、あらかじめ用意された回答の中から最も近い回答を返答します。

近年、チャットボットに使われるAI技術は高精度化が進んでおり、オペレーターによる応対と遜色ない回答が可能です。

チャットボットを活用することでお客様の自己解決率は上昇するので、コールセンターへの入電数自体は減少します。応答率・稼働率が改善し、オペレーターの負荷軽減に繋がるため、人材不足に悩むセンターにはメリットの大きい技術といえるでしょう。

設定次第では24時間265日チャットボットを稼働させることもできるので、お客様の利便性や顧客満足度の向上にも繋がります。

自動応答(IVR)による問い合わせの振り分け

自動応答(IVR)とはあらかじめ用意した音声案内を流し、適切な応対窓口に振り分けるための仕組みです。コールセンターを始めとする受付窓口で従来使われてきたポピュラーな技術で、馴染みのある方も多いでしょう。

歴史のあるIVR技術とAI技術を組み合わせた活用方法が、IVRの「バーチャルオペレータ化」する方法です。お客様の問い合わせ音声をAIが理解し、適切な応対部署への振り分けや、合成音声による対話・回答などが可能であり電話版のチャットボットとして利用します。

よくある問い合わせはIVRでの応対にすることでオペレーターの応対業務を負荷軽減・省力化し業務効率化・応対の均質化ができるのはもちろん、お客様の利便性向上にも繋がる点がメリットです。

音声認識・テキスト化によるオペレーター支援

AIの代表的な技術として挙げられる音声認識やテキスト化の技術は、コールセンター業務での活用が進んでいる技術の一つです。具体的には以下のような活用方法があります。

・リアルタイムで通話内容を書き起こし、応対履歴登録を自動化・省力化
・顧客管理システムと接続し、対象となる顧客情報を自動表示
・FAQやトークスクリプト管理システムと接続し、関連するページを自動表示
・SVや品質担当者によるモニタリング業務を省力化

業務効率化や応対品質向上などさまざまなメリットがあります。また、オペレーターがストレスなく応対できたり、研修期間が短縮できたりと、オペレーターの業務負荷軽減・新人オペレーターの早期戦力化などの効果も期待できるでしょう。

テキストマイニングによるノウハウの蓄積

ベテランオペレーターの応対内容をテキストマイニングで分析すると「応対のコツ・ポイント」の抽出が可能です。これらを応対マニュアルやトークスクリプト・研修カリキュラムに組み込むことで、オペレーター全体の応対品質を底上げすることに繋がります。

ノウハウを共有・蓄積していくことで担当者の固定化・属人化を防ぎ生産性を向上させる効果も期待出来ます。応対業務を標準化させていくことで応対のバラつきを無くし、どのオペレーターでも等しく対応できる状態を作り出せるでしょう。

AI感情分析による顧客満足度の向上

コールセンターで用いられるAI感情分析は、お客様の声色、抑揚、大きさ、イントネーションなどを元に感情を読み取る技術です。メールやSNSの応対窓口がある場合はお客様が入力したテキストから感情を判断します。

例えば、応対の長時間化によってお客様がストレスや苛立ちを感じている場合、AIがそれを察知して応対中のオペレーターやSV・品質担当などにアラートを出します。二次対応へスムーズに移行させることで、お客様へのストレスを最小限にとどめたまま応対できるので顧客満足度の向上が可能です。

また、お客様との応対に慣れていない新人オペレーターでもお客様の状態・感情を視覚的に判断できるので、効率的な対応ができます。

コールセンターのAI活用事例

コールセンター業務と相性のよいAI技術は近年多くの企業で活用され、成功実例も多く報告されています。ここからは、コールセンターにおける代表的なAI活用事例を3つ紹介します。

株式会社レオパレス21

単身者向けアパート「レオパレス」の不動産開発・賃貸事業を展開する株式会社レオパレス21は、応対品質の向上とオペレーター支援を目的に音声認識を導入しました。活用方法としては以下の通りです。

・全通話録音を分析し、応対内容を評価する
・リアルタイムで通話内容を書き起こし、質問に応じたFAQを自動で画面に表示させる
・お客様の声(VoC)を収集、分析する

これらのオペレーター支援策の業務効率化により、年間で約2633時間の作業時間削減と、約460万円のコスト削減が見込まれています。

みずほ銀行

みずほ銀行株式会社はAI技術を活用したネット住宅ローンの簡単診断サービス「みずほ AI事前診断」を2020年3月に開始しました。従来住宅ローンの事前審査は人手で2~3営業日かかかる業務でしたが、AI事前診断は最短1分で審査が完了します。

近年のお客様ニーズの多様化や複雑化に伴い、審査担当者には高度なスキルが要求され、業務負荷の高い状態が続いていました。AI事前診断で担当者による審査と同レベルの審査結果を出せるほど高精度な審査が可能になったことで、審査担当者の業務負荷を大幅に減少させることに成功したのです。

またこの例は「物件が売れてしまう前に、早く手続きを進めたい」というお客様ニーズも満たすことができるため、サービスレベルを維持・向上しながら業務効率化を実現させた成功事例です。

三井住友海上火災保険株式会社

年間150万件もの問い合わせに対応する三井住友海上火災保険株式会社のコールセンターでは、オペレーターに幅広い商品知識と高度な応対スキルが必要です。膨大なマニュアルの読み込みが必要なため、約1年にも渡る新人研修が必要だったり、ストレスから離職者が続出したりとセンター運営は限界を迎えていました。

そこで三井住友海上では、IBM社の開発したAIであるIBM Watsonを導入し、保険の手続きに対応するオペレーター業務の支援を強化しました。お客様との通話内容をリアルタイムで音声を認識し、関連するFAQを自動表示させることで、応対業務の効率化を達成しています。

AI化でコールセンターの仕事はなくなる?

テレビや雑誌、ネットニュースなどで「10年後には今ある職種の約半分がなくなる」という話を見聞きしたことはないでしょうか?

コールセンターオペレーターも例外ではなく、特に電話を使ってセールスをする業務は無くなる職業として予測されていることもあり、不安に感じる方も多いでしょう。

しかし、いきなりAIに自分たちの仕事が取って代わられるわけではありません。

人間とAIの得意な所・苦手な所をそれぞれ理解し、不完全なところをお互いが補完しあうような働き方が求められていくでしょう。例えば、AIは決められた作業を忠実にこなすことには長けている一方で、個々のケースに合わせた柔軟な対応は難しいといわれています。

次項以降では、具体的にAIでなくなる仕事と無くならない仕事を解説します。

AI化でなくなる仕事・なくならない仕事

AIが人の仕事を完全に代行できる業務については、AI化によって無くなる可能性が高いです。

例えば、定型的な問い合わせ・受付業務や、不特定多数のお客様を相手にするアポイントメントセールスなどは、チャットボットやFAQ、ネット広告などに置き換わることが予想できます。音声文字起こしやデータ集計などもAIの得意とする分野なので、AI化で無くなる、または業務量が減少する業務です。

対して、AI化でもなくならない仕事は以下のような業務が挙げられます。

・お客様と心を通わせた接客・応対が必要な業務
・人にしかできない共感、親身さや臨機応変な応対が必要な業務
・クリエイティビティを発揮して問題解決するような業務
・マネジメント・経営業務

これらは従来通り人だけで業務をするか、AIが一部の業務を補助するような形で業務は残り続けるといわれています。

コールセンター・コンタクトセンターの今後の展望

AI化が進み人々の仕事にもたらす変化のうち、コールセンターやコンタクトセンターにはどのような変化があるのでしょうか。

お客様の問い合わせスタイルの変化

電話での応対からチャットやSNSなどの応対が中心となり、コールセンターのマルチチャネル化・オムニチャネル化が進みます。

特に10~20代の若年層のデジタルネイティブ世代は電話でのコミュニケーションに苦手意識を持つ方も多く、馴染みのあるSNSベースでの応対にポジティブな感情を抱きます。コールセンターのマルチチャネル化は優先度の高い施策といえるでしょう。

CX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)の重視

モノに溢れる現代社会においてお客様は「高性能な製品」ではなく、製品を使うことで得られる喜びやワクワクといった心理的・感覚的な価値を重視する傾向があります。

コールセンターは購入前の問い合わせや相談から、商品・サービスの注文受付、返品交換、アフターサービスの提供まで幅広く、直接的な応対ができる貴重な顧客接点です。さまざまなタイミングでお客様と接し「優れた経験・体験」を提供できるので、他社との差別化要素となるCXを向上させる接点としてコールセンターは重要度を増していくでしょう。

AI(人工知能)活用の注意点

AIを導入する際に押さえておくべき注意点はどのようなことがあるのでしょうか。大切な2つのポイントについて解説します。

AIは万能ではない

AIは何でもやってくれる万能型のロボット・機械ではありません。したがって、導入すれば自動的に効果が出るということでもありません。

AIは最初から使えるのではなく、大量のデータを集め、答えを導くための学習をさせ、システムをセットアップするといった準備時間が必要になります。

AIブームに乗った場合や、経営陣の意向を鵜呑みにしてAIを闇雲に導入した場合は「結局使えないじゃないか」といった状態になりがちです。AIに過度な期待を持つのは止め、まずは機能や適用業務を限定して始め、徐々に規模を拡大していくようにしましょう。

AIを導入する業務・範囲を見極める

1つ目の注意点に関連しますが、AIは何でもできるわけではなく、得意・不得意があります。

「なんだかよく分からないけれどデータを活用すると良くなりそう」「AIという新しい技術を使ってみたい」などビジネス課題への対策ではなく、AI活用ありきで導入を進めてしまうと多くのケースで失敗します。

どのような業務に課題があり、どう改善したいのか明確にし、現場とAI開発者の間で認識合わせをしておくようにしましょう。

まとめ

ビジネスでも私生活でも触れる機会が増え、AI技術は益々身近な存在になりました。コールセンター業界でもオペレーター支援や管理業務の効率化などで活用事例が多く報告されています。AIで自分たちの仕事がなくなるのでは?と必要以上に心配するのではなく、AIと共に働く意識を持って前向きにAI導入を検討してみましょう。


WRITER

トラムシステム(株)メディア編集担当 鈴木 康人

広告代理店にて、雑誌の編集、広告の営業、TV番組の制作、イベントの企画/運営と多岐に携わり、2017年よりトラムシステムに加わる。現在は、通信/音声は一からとなるが、だからこそ「よくわからない」の気持ちを理解して記事執筆を行う。


UNIVOICEが東京MXの「ええじゃないか」という番組に取り上げられました。

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